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月別アーカイブ:2011年 5月

R&D 第6章 開発管理の要点 5、6

成功する企業には新商品開発がある

6.開発管理の要点  - 新商品の果実を結ぶ -

6-5.新技術導入と開発管理

〔ピカ一技術者の存在とは〕

● 学際的な複合化技術で勝負
 研究開発要員は、科学技術的な『知識の獲得力』と、知識を駆使した『創造的思考力』といった個人的資質が要求されます。技術力そのものは人間の能力であるに違いありません。ですから技術は、会社の『役員』や『従業員』および『関係する人々』がもたらします。
 ですが研究開発要員のすべてが、必ずしもスーパーマン的なエキスパートであることを要求されるわけではありません。
 たしかに昔は、超スーパー・スター的な技術者がいました。またそんなスターにかぎって「残業、徹夜は厭わず」とも、ちゃんとヒット商品をかっとばしたものです。今でも、どこかにそんな存在の技術者がいるかもしれないと、期待する経営者がおられるだろうことは、十分に推察できます。
 しかし現在の研究開発情勢は、多分野にわたる『情報をミックス』し、『統合』して『練り上げ』なければ、確信のもてる方向性がだせなくなっています。新 商品を『モノにする』には、いろいろな方面の学術的知識が混合された、つまり『学際的』に『複合化』した技術が要求されることになります。
 また研究開発業務は『発想』『実験』『仮設計』『試作』『試験』『性能確認』などのプロセスが、細分化・専門化されています。
 中小企業のワンマン経営者が「俺は一人で開発している」といっても、仕事の内容としてはこのように分化しているものです。

● お互いに情勢の変化に気付く
 つくれば何でも売れるという『モノのなかった時代』はもう遠っくに過ぎ去りました。現在はいかに、スーパースター的技術者やワンマン経営者であっても、特定分野の専門技術者が『一人だけ』では、新商品開発の勝負になりません。
 にもかかわらず、処遇の面で「相当な無理」をしてでも、外から技術者をスカウトしたいと思っているトップもいます。社内で「たった一人の研究開発要員」であっても、何とか高級技術者(?)を確保したい気持ちが残っているからです。
 新商品開発を強く望む、中小企業の文系経営者などは、とりわけこの傾向が強くあるのではないでしょうか。
 また現在、このように複雑な研究開発事情にあることは、技術者自身も知っています。ですから「月給を倍にする」といっても「オンリーワンの条件」では、容易にスカウトに乗ってきません。
 中小企業には『処遇が悪い』から、技術者が集まらないだけではないのです。『倍の月給』が長続きするわけもなく、大きなプレッシャーがあるばかりです。つまり『掃きだめに鶴』の条件では、やがて『鶴もカラス』になることを恐れているわけです。
 また逆に、鶴も「甘やかすと幻の鳥、鳳凰になる」ことも忘れてはなりません。鶴スーパーマン氏は、処遇面などで優遇されると、掃きだめ側の「妬みを買っ て」スタッフとしての「協力が得られなく」なります。そんな開発環境では、鶴スーパーマン氏が「舞い上がって鳳凰」になってしまう、図表6-13のような イメージが現実にあるのです。
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〔金の卵を生ませる〕

● 要は体制次第で
 ただオンリーワンの開発環境であっても、会社としてそのピカ一技術者に新商品開発に必要な情報が集中され、彼をヘルプさせる体制がとれるなら、事情は相当に違います。
 例えば、異分野を含めて広く『情報収集が可能な環境』があり、ピカ一技術者に情報を『受け止める能力』があれば、カラスが「大勢でわあわあやっている」大きな『烏合の衆』がいるよりも、よほど効率的な開発ができることもたしかです。
 成功している『ベンチャービジネスのリーダー』や『大企業のプレイングマネージャー』がこのピカ一技術者の例です。また同じく、社外の英知を導入するアウトソーシングの場合でも『大学の研究者』や『試験研究機関の研究員』、『コンサルタント』や『シンクタンク』などがもたらす情報や知識も、ピカ一技術者が受け止めて社内に伝播していくのです。
 これからの高齢化社会では、中小企業も優秀な『人材を確保』が可能になってきたので、ピカ一技術者を中心とする研究開発チームがつくれる機会が増えたといえます。
 たしかに大企業で優れた研究者が、中小企業の『経営環境に向かない』場合もあるので、元『○○開発部長』『××主任研究員』といったネームバリューだけに頼った人材確保には、問題が残ることもあります。
 だけど定年退職者にかぎらず、社会・経済情勢の変化によってリストラに遭遇してしまったような『優れた人材』に巡り合えるチャンスがきたこともたしかです。
 さらに仮にピカ一技術者が確保できても、その人材を『開発部長』などといった管理職位に就けて、何もかも全部を「預けっ放し」にするのは危険です。そのわけは「名選手、名監督ならず」の名言もあるからです。
 かつての名選手は、自分の選手時代と目の前の選手を比べ「なんだ、たったこれだけのことができないのか」「君でも十分にできると思ったんだが」とやってしまいがちだからです。これは、『人事考課の対比誤差』という、誰にでも起こしがちな誤りと同じ理屈です。
 将に図表6-14のように「昔の技術で現在の技術を指導、統制」しようとしたが、うまくいかないときは「監督も選手も」双方ともに悲劇です。しかもお客様である観客層が、新世代に位置づけられるケースでは、会社にとっての悲劇は倍増するわけです。
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● 開発技術者の管理基準
 研究開発の仕事は、マネジメントの仕事と性質が全く異なります。文系の人は、研究開発の『仕事を評価』し難いと誤解しがちです。その理由は、研究開発の仕事を評価する唯一の基準が「開発計画に明記」してある開発期限であることに気付かないのです。
 評価基準は既に計画されているのですから、マネジメントのP-D-C-Aサイクルにおいて、期日内に開発「できるか?否か?」を照合C(チェック)するだけでいいのです。難しいことはなにもありません。
 研究開発そのものに対する評価は、消費者やユーザーが決めてくれます。要するに「新商品が売れない」という厳しい評価は、新商品の『企画に対して』出されます。が、会社の開発管理は、どの技術者にも「自分の仕事」をさせ、「開発スケジュール」を守らせてやればよいのです。ですから管理のためのモノサシは、いたってシンプルにあるわけです。
 中小企業などで技術系管理者が人材不足なら、社内で最もマネンジメント技量に長けているはずの『社長自身』が、開発管理の機能を果たします。そしてトップのリーダーシップが有効に機能すれば、鶴はやがて輝く「金の卵を生む」でしょう。

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R&D 第6章 開発管理の要点 3、4

成功する企業には新商品開発がある

6.開発管理の要点  - 新商品の果実を結ぶ -

6-3.予算管理の要領

〔お金の側面から計画〕

● 開発倒産なんてありえない
 一頃は、研究開発に力を入れ過ぎた『開発倒産』といったうわさを耳にしたものです。しかしこのような例は「開発投資が過ぎた」というよりも、投資に見合う売上高や利益がなかった、つまり計画に対する見込み違いだったとみるべきです。
 もちろんそれも「売れない新商品を開発した」という意味で、新商品開発の失敗に違いないでしょう。が、企業経営に「見込み違いはつきもの」です。
 その不確定要素に対処するために経営管理があり、P-D-C-Aサイクルの先頭に経営計画を立てるのです。新商品の研究開発計画はあくまでも、経営計画の一部にすぎません。ですから開発の失敗が、企業本体の経営管理を狂わせ「倒産の直接的な原因になる」というのでは、まさに『管理不在』というべきです。

● 開発予算の位置づけ
 予算というものは『数字で書いた計画』ですから、経営計画の構成として『売上高予算』『仕入・生産高予算(製造予算)』『諸経費予算』などがあります。
 企業の予算制度によって、その位置づけが違ってくるでしょうが『リスクの伴う』新商品の開発予算は、製造予算などの『売上原価予算』に埋没させないほうがいいのです。いくら小規模であっても、独立予算にしていると状況の変化による管理がし易くなります。
 開発の成否は、はじめの『売上見込み』との対比です。たしかにはじめから「新商品の売上収入が見込めない」のなら、もともと開発計画など立てません。開発予算などないのですから、「支出を切り詰める」どころか、はじめから予算管理などないのです。

● 予算執行者の思い
 予算管理というと、どんな予算でも「経費の切り詰め」など、随分と窮屈な印象があります。が、予算管理は研究開発を『金銭的に計画』し、一定期間内に研究開発の実施を『金銭的に統制』するプロセスのことです。
 ここでの窮屈な印象は、統制でなく計画の中身である『予算不足』に対する感情であって、予算管理制度自体が窮屈なものではないのです。要するに、予算執行者である研究開発要員の予算額への恨みです。
 しかし「有り余る資金を自由気ままに使ってよい」という「研究開発環境なんてない」はずです。当然、研究開発テーマに相応する必要投資の額というレベルがあるものです。
 また逆に「存分に使え」といわれても、無駄遣いでもしないかぎり会社のお金なんて、そんなに使えるものではありません。ですから「金は十分に出す」といわれるよりも、研究者の立場からは、きっと「人材と時間をくれ」といいたいところでしょう。

● 研究開発予算の構成
 一般的に研究開発予算は、図表6-7のように『人件費』『外注委託費』『試験材料費』『関係経費』等で構成されます。また試験研究設備など、資産勘定の 『設備予算』が別に組まれることもあります。つまり予算の範疇には『人材と所要時間』『単位人件費と開発工数』という損益勘定の『年次経費』と、減価償却 される『繰延べ経費』が含まれます。
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● 研究開発する人の管理
 ですから「金をくれるより人をくれ」という現場から要請があったとしても、企業経営的にみれば、『予算管理の側面』も『要員管理の側面』も同義です。つ まり『人の管理』も『お金の管理』も、開発管理の面からは同じだということです。「人は出せない」が「お金ならいくらでも出す」という開発環境なんてないわけです。
 研究開発要員の状況は、業種や開発目標によって違いはあるでしょう。また中小企業では、設備不足なので『信頼性試験』などに『意外な外注委託費』が必要になるケースもあるでしょう。が、研究開発費予算の中では一般的に、人件費が大部分を占めているはずです。
 零細企業によくあるケースでは、社長が「一人で研究開発費に没頭」しているが、会計処理的には『役員報酬』が人件費でないためか、自分のはたらきが開発コストである感覚がなくなります。ですから新商品価格の設定にも、自分の開発コストを入れずに計算します。
 しかし社内で一番付加価値の高い仕事をしなければならない人が、開発コストに計算されない『只働き』をしているようでは、会社の飛躍的発展など望めません。

● アウトソーシング時代でも
 人件費はコストですから「開発資金は自由に使え」といわれても「金を使う人間がいなければ」意味がないことになります。アウトソーシングの時代、外注委託費予算をたっぷりとって、社外の機関に『委託開発』すれば「金はいくらでも使えそう」に感じます。
 しかし研究開発という仕事は、社内の開発体制が万全でなければ、いわゆる「丸投げ外注」ができません。社外の開発会社を活用する『企画会社』などの場合でも、外注先に仕様書を提示するだけではないのです。
 工場など、生産設備をもたない企画会社では、目的達成の『手段、方法を指示』し、開発費の『見積もり評価』ができ、『技術的指導』ができる社内要員が、新商品開発の全工程を進展させていくのです。そういった開発過程の中に、外部パワーが織り込まれているのに過ぎません。
 ですから、「儲かっているうちに、大先生にお願いして新商品を開発して貰う」とおっしゃる経営者がいたとしたら、その考えは間違いです。開発の丸投げで、自社に都合のいい新商品が生まれてくるはずがないのです。
 人件費の次に大きな開発予算は、研究開発設備ではないでしょうか。ですが変化の激しいとき、設備自体の陳腐化や研究開発テーマの急変などにより、高級な設備が不要になることがあります。ですから予算面で研究開発設備は、経営資源を固定化する減価償却費とするよりも、長期リースや短期レンタルなど、一般経費に組み込いれることを考えるのが得策かもしれません。

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R&D 第6章 開発管理の要点 1、2

成功する企業には新商品開発がある

6.開発管理の要点  - 新商品の果実を結ぶ -

6-1.開発環境の整備

〔経営者精神と技術者意識〕

● R&Dへの投入資源
 企業は、『人』・『モノ』・『金』・『情報』・『技術』といった、多種多様な資源を最大限に活用しつつ経営を進めま す。新商品に関する研究開発(research and development:R&D)についても、『技術者』・『施設』・『設備』・『開発資金』といった、この分野専用の経営資源が注ぎ込まれる環 境のもとで推進していかねばなりません。
 その経営活動の中において研究開発環境は、図表6-1のように考えられます。これはやや理想的な感があります。が、程度の差こそあれこのような開発環境の整備は、会社が主体となって構築していくものです。
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 ただ、こうでなければ「研究開発はできない」といっているのではありません。むしろこれらの諸条件と内容は、開発環境を考えるうえでの一種のチェック・ポイント、いわば留意点だと思っていただいて結構です。

● 開発資金と開発成果の因果関係は
 さて会社が考える、効率的な経営資源の投入は、なんと言ってもまず開発資金です。これは純粋に研究開発に要する費用だけでなく、開発対象たる新商品や新サービスが「稼げる」ようになるまでの『運転資金』すなわち『つなぎ資金』など、総合した資金力としてみておかねばなりません。
 開発に投入する資源は、開発成果との因果関係が確実にあります。ただ研究開発の成果は、無数の要因が絡まった結果として現れるため、投入資源の大きさだけで「成果を測る」ことはできません。
 しかし逆に、投入資源と成果の間に「因果関係が全くない」つまり「頑張りさえすれば、必ず良い結果が出る」というような、安易な答えは絶対にないので す。要するに図表6-2のように、開発への投入資源と成果の間の因果関係が不明確な中で、開発者の頑張りにベストの成果を引き出させるために、いわゆる 「マネジメントの巧拙」が効くというわけです。
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● 隣の芝生は必ずしも
 会社の開発投資には、いろいろな形態があります。場合によっては、優秀な人材の引き抜きをするために使われる資金かもしれません。何はさておき、閑静な環境に「中央研究所を設置したい」と考える経営者もいるでしょう。
 研究開発者にとっては、豊富な調査費、実験材料費等の「試験研究費を使わせている」と思える隣の芝生があると思えるかもしれません。が、残念ながらこれらの開発資金には「これだけ投入すれば」「これだけの成果が上がる」という保証がありません。
 しかしそれは当然であって、もしも『投入成果が数値的に表示できる』なら、この世に失敗とかリスクという言葉がなくなります。経営の神様や伝説的な名経営者もいなくなれば、逆にお金のないベンチャー起業家の努力など、世の中に必要としなくなります。
 だからこそ、中小企業には新商品開発が、大企業と十分に戦える成功要因になるのだともいえるわけです。

● ハングリー精神だけではもたない
 ただ、ベンチャー企業の親父さんが『命を懸けたねじり鉢巻き』で、ヒット商品を開発したエピソードは、たしかに多くあります。これには多少の誇張があるにせよ、普通の企業が開発環境の状態を顧みず、ハングリー精神だけに成功要因を求めるわけにいきません。
 人間は誰でも「いい仕事をしたい」のですから、技術者には個人的な自己実現欲があるものです。中には「研究開発の仕事が飯より好き」な人もいます。また時には、思考の集中度を増すために、ハングリーな環境で「背水の陣を敷いて頑張る」人もいるでしょう。
 しかし「どんな環境であっても頑張れ」というのは、経営者の論理です。一般ビジネスマンには、いわんや昨今の若者にはそんな精神論は通じません。だからこそ新商品開発管理の、企業経営的な意義があるともいえるのです。

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ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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