ものづくり事業部

月別アーカイブ:2011年 6月

第1回 実際原価計算の課題

激しい価格競争はいつまで続くのか
 近年円相場の変動が大きく、3年ほど前と比較すると30%以上高くなり、昨年の年初と年末で対ドルが約6円、対ユーロで25円高くなっています。さらに、東日本大震災後には、対ドルで80円を下回ることも発生してきました。
 日本の製造企業は、海外から資源を輸入し、国内で加工し、輸出することによって、収益を上げてきました。
 円相場の大きな変化は、国内で生産した商品について、企業努力に関係ないところで、価格競争力を失わせることになってしまいます。その結果、大手製造業 だけではなく、中堅・中小の製造企業も、為替変動による影響を受けにくく、人件費の安価な中国を中心とするアジア諸国へと生産拠点を移してきています。円 高が続くかぎり今後も、この傾向は続くでしょう。
 価格競争は、国内中心から海外を中心としたグローバルな競争へと進んでいくことになるでしょう。これは、利益の確保のために、国内外の生産の体制や地域 における生産技術力、量産に対応した設計力など広範囲な企業の資本や人材などの資源の活用と継続的なコストダウンが求められることになるのです。

続きを見る >

販 売 第7章 販売ルートの考え方 1

成功する企業には新商品開発がある

7.販売ルートの考え方  - 新製品の収穫を得る -

7-1.流通ルートとともに

〔マーケティングルートの特性〕

● いろいろなルートの形態
 開発製品や役務つまりサービスは、新商品として広く市場で販売するために、マーケティングルートに流すことになります。ここでマーケティングルートとは、開発企業から個別の消費者またはユーザーへ、商品を流通させる『経済社会の仕組み』文字どおり商品が通る道のことです。
 ルートは一般的に、図表7-1のような形態の道筋をもっています。このかぎりにおいては、常識の範疇でしょう。が、ここで新商品が市場に導入されるのは、図に実線で示す自社ルートすなわち『直販ルート』と、図に点線で示す『卸売商』や『小売店』などの独立事業体である他社ルートとしての『転売ルート』の二系統があります。
7-1.jpg
 そしてマーケティング政策では自社ルートと、『代理店』とか『特約店』といった継続売買契約の締結が必要な他社ルートは、当然ながら分けて考えなければなりません。

● 自由意志をもつ他社ルート
 他社ルートは、独立した法人もしくは個人であって、新商品や新サービスを事業対象として仕入、他に販売する『ビジネス体』です。
 たとえ『全額出資の流通子会社』であっても、ビジネス形態にしては独立企業です。自社の営業部門と子会社では、会計制度的にも取り扱いが違い、マーケティング政策上では転売・他社ルートとして考えます。
 他社ルートの個々は、独立してビジネスを営む限り、それぞれの企業に固有の経営理念があります。個別の販売政策も、経営環境もあります。ですから他社ルートの『経営的な特性』は、原則として自らの客先と仕入れ先を自由に選択できることです。
 つまり他社ルートは、それぞれの事情でメーカーには関係なく、自社固有の客先を確保します。その客先が求める商品やサービスの仕入れ先は、独自に選んで取引できるということです。
 このように、経営の自由度が大きいマーケティングルートの特性は、新商品を巡って開発・生産業者とは違った図表7-2のような、『開発リスク』『取引リスク』『情報機会』の三つの事項に表れます。
7-2.jpg

● 売れなくても損をしない他社ルート
 さらのような両者の得失は、端的な絵で表すと図表7-3のようになるでしょう。つまり新商品の開発・生産者側は、売れる新商品を目指したのですから、売れれば当然「儲かる」でしょう。が、もし万一売れなければ、莫大な「開発費と時間をロス」するのですから、開発・生産者側は大きな『損害を被る』ことになります。
 ところが他社ルートの企業側としては、「販促に協力するコスト」が多少かかるものの、新商品が売れなくても、一向に『損をしない』のです。もちろん他社ルートでも、新商品が売れれば新しい『儲かり源』になるのは確実です。
 ですから新商品販売に関し、お互いに『儲かる』という共通点を頼りに『損をしてはならない』開発・生産者側から、あまり『損をしない』マーケティングルートに『働きかけなければ』ならない理屈です。
 要するに開発新商品は、開発・生産者側が「積極的に売り込まなければ」ならないというわけです。
7-3.jpg

続きを見る >

R&D 第6章 開発管理の要点 7

成功する企業には新商品開発がある

6.開発管理の要点  - 新商品の果実を結ぶ -

6-7.販売への連結

〔商品化計画の機能〕

● 生みだした新製品を飾りつけ
 造られたものは『製品』ですが、新製品は市場に販売される『商品』にしなければなりません。製品要素は、製品の『性能』や『外観デザイン』など開発段階で「創造される」設計品質と、生産段階で「作り込まれる」製造品質です。これに対し、市場の要求品質を満たす商品要素は、製造品質だけで出来上がっているのではありません。
 売るための新商品開発ですから、もちろん新製品は『新商品企画』の段階から「商品を想定」しています。が、せっかく生みだした新製品ですから、「より多く売るために」商品らしい飾り付けも、一緒に『開発』しなければなりません。
 これは明らかに、開発業務のうちの商品化計画という仕事に位置付けて考えなければならないのです。開発製品に飾り付けるべき商品化の要件はいろいろとありますが、図表6-22のような内容が主要な事項になろうと思います。
6-22.jpg

● 開発の最終工程として位置付ける
 新製品を生むためには、場合によっては『研究開発』段階から始め、『開発設計』から『生産移行』段階へと長期間を要します。このため開発終了時には、改めて商品化計画が必要になるというわけです。
 商品化計画が別に必要となるわけは、アイデア開発など『新製品企画』の初期段階で、あまり細かい商品要件まで追及していると、思考が総合的な構想に集中できなくなってしまうからです。これでは企画の「大筋を見失う」恐れがでます。
 また余りにも具体的な『商品目標』は、細部の要件にこだわって、それに開発業務をも縛り付けかねません。さらに商品化を「先走って考えすぎる」と、開発期間中に起こる『変化に対応しにくい』状況をつくってしまうことにもなります。詳細な開発状況などの情報漏洩がある恐れもでてきます。
 それらはすべて開発リスクに繋がります。開発期間中に起こり得る各種の変化を考えると、「後で考えた方がよい」商品化検討項目がでてきます。新製品完成の時点でもう一度考え直すのが、商品化計画だというわけです。
 ただ、開発管理上で留意すべきは、長期間を要した開発設計者としては「早く終らせたい」新製品ができたのだから「飾りつけなどは後工程に任せたい」心情があることです。が、これを許すことは絶対にだめです。
 商品化は開発の最終業務と位置付け、最後の最後まで流れと勢いで完了させるべきです。開発者をして、『達成の喜び』を味あわせてあげ、開発者の『誇り』をもって大きな成果を迎えさせるべきです。

続きを見る >

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

詳細はこちら >

執筆者

月別アーカイブ

このページの先頭へ