ものづくり事業部

月別アーカイブ:2016年 1月

第2回:新製品を開発するポイント:他人の知恵も活用しよう

今回は、新製品を開発する上での人材育成情報を提供します。

新技術の開発、新商品の開発、既存技術の改良は、ものづくり企業にとって、事業を発展させる上で不可欠の要素であることはいまさら申し上げるまでもありません。現在の技術水準を維持し、新商品の開発を行わなければ、ものづくり企業の明るい未来は望めません。もちろん、企業内において積極的かつ十分に研究開発を行うことができて、結果的に新商品を発売できるのであればよいのですが、大半の企業はそのような体制がないでしょう。おそらく、少数の従業員が暗中模索しつつ、研究開発を行うか、もしくは経営者の経験則、人的ネットワークから得られた情報によって、新技術や新商品の開発を行うことも多いのではないかと思います。

つまり、大企業でもない限り、ものづくり企業が単独に有する技術・知見・資金によって、次世代の技術や商品を開発することは困難です。このような現状は、大きくはないものづくり企業におおよその共通認識とされ、新技術の開発や新商品の開発を半ばあきらめかけることもあると考えます。しかしながら、企業が単独で有する技術や知見に基づき、新技術の開発や新商品の開発を行えないという現状は、小さな企業のみの現状ではありません。実は誰もが知る大企業も、新規分野に進出する際には、社外のリソースを精一杯活用します。大企業ですから資金と人材は豊富ですが、外部の技術情報及び外部の人材を活用するという点においては、企業規模は関係ありません。

さて、ものづくり企業が外部の技術情報を活用するために必要なのは、どのようにして外部の技術情報にアクセスするかです。もちろん展示会等に行き、出展企業の担当者から聞くことも有益でしょうが、より多くの企業からより深く技術情報を得る手段として、特許情報にアクセスすることが挙げられます。

現在、特許情報サービスは多くありますが、唯一無料のデータベースが特許庁のデータベースです。このデータベースには100年以上前に特許制度ができた時からの特許情報が収録されています。特許制度の目的は、最初に開発した技術を登録した人は一定期間独占的にその技術を使用できること、及びその代償として他人に技術を公開して利用を促すことによって、相互に影響し合いながら技術を発展させることにあります。
正にこの特許制度の目的に沿って、このデータベースにアクセスをし、場合によっては他社の技術を利用すればよいのです。

ものづくり企業の人はその分野において第一線で働き、技術的な知見が十分にあるでしょう。ぜひ、データベースにアクセスをして技術的知見をフル活用しながら、これまでの同業他社の技術情報を読んで欲しいと思います。いわゆる「特許調査」として、他社の情報を確認して、これを基に自社の技術開発や新商品の開発に活用すればよいのです。場合によっては、そのまま真似することも可能です。自社のみで一から開発するよりも、効率良く開発することができる点において極めて有益でしょう。まずは、データベースをいじっ
てみることから始めてみて下さい。データベースは、特許庁のサイト内「特許情報プラットフォーム」にあります。最初は解りにくいですが、まずは使ってみて下さい。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
「特許情報プラットフォーム」のトップページ>特許・実用新案>特許・実用新案テキスト検索、の頁からいじるのが良いかも知れません。同業他社の会社名、大学の先生名等で検索も可能です。なお、データベースを使用することが、最初は難しいようであれば、弁理士の中には使用できる人もいます。相談していただくのも一手です。社員の多くがこのような技術情報に詳しくなり、活用されることを願っています。

最後に注意点ですが、他社の技術を採用するときに、20年より前の特許出願のものであればどんなに真似しても構いません。20年前以降の特許出願のものであれば、他社の特許権が最初から無いか、消滅していることを確認して下さい。そうでないと、特許権を侵害していると言われる可能性があります。

弁理士:山田 泰之

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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