ものづくり事業部

月別アーカイブ:2016年 10月

第10回 計画なくして経営革新なし ―予算という計画を建てる―

〔暗中模索のなかで〕
 企業経営は、近未来に向かって革新していくからこそ、永続していけるというもの。だが未来は、どのように開けていくか分からない。経営革新は未知の世界で暗中模索するのだから、ここに何らかの灯火があれば道標になる。
 この『ともしび』とは将来に向かう『計画』で、企業経営においては『経営計画』『事業計画』『ビジネスプラン』などの名称が付けられている。まさにこの道標は、経営者が自身のため、また革新していく仲間や協力者のために、自分が灯さなければならないのである。

〔どのように灯せばいいのか〕
 一言に『計画』といっても、慣れないうちはどのように建てていけばよいか分からない。その問いに即答するなら、1)どれくらい先の近未来を照らせばよいか ⇒「3~5年くらい先の『中期経営計画』にする」のが良い、2)どのような内容を満たせばよいのか ⇒「次に図示するような構成で考える」とまとまり易いのではないか、ということになる。
 ただしここで忘れてはならないのは、3)経営革新を進めるための計画は ⇒「絶対に『利益計画』でなければならない」ことである。逆にいえば、将来の経営を維持するための利益の獲得は ⇒未知の世界に対応した「革新を進める」ということになる。

〔二重構造の辻褄が合うか〕
 図に示したように、経営計画は将来に向けて『時間』と『金額』両方の要素を備えていなければならない。つまり利益を産み出すための『行動計画』と、その結果を客観的に表す『計数計画』すなわち『予算』の二重構造になっていなければならない。
 このうち行動計画の方は、販売活動にしても開発・生産活動にしても「今年はこうする」「来年はこう」で「再来年までには・・・・」とばかり、P-D-C-Aサイクルの『Pプラン』の目標も直ぐに建ち、スケジュールも建つ。また行動計画は『Pプラン』に対する『D実行』も、P-Dの『Cチェック』に基づく反省や修正も、次の『Aアクション』に繋ぐことも容易にできる。
 しかし子供の計画と同じで、ただ行動計画があるだけでは、どんなに頑張っても利益計画にはならない。つまり企業活動には、必ず『コスト』を必要とするのであり、活動の成果は『収益』として還ってくるのだから、これで【収益-コスト=利益】が見込めることになる。
 両計画が揃ってはじめて、利益計画のP-D-C-Aサイクルが廻るのである。この二つ計画は、サブプランとする場合もあるが、両方が揃わないと計画にならないのだから、両方ともメインプランと呼称すべきであろう。
 経営革新計画の立案にあたっては、一定の書式が決まっている場合でも、行動計画のスペースは多いのに、予算の方は将来の『予想損益計算書』スタイルのスペースがとってあるだけである。たしかに行動計画は「あれもやりたい」「これもできる」とばかり、次々に埋められる。
 だのに予算、つまり文字通りに「予め計算する」段になると、だいたい「こんな程度ではないか」とばかり、適当に見積もった数字を当てはめるだけになってしまう。
 もちろんこれでは、行動と結果の間に因果関係はなくなってしまう。だが紙数の関係で、どうすれば辻褄が合うようになるか、計画策定のコツは次の機会に譲ることにしよう。
                                               以上

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「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
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