ものづくり事業部

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執筆者:佐藤 節夫

第22回 最近の生産管理事情

現役のサラリーマン生活を卒業してから9年を経過した。後を託した後輩も定年退職となったので、後輩の退職祝いを兼ねて昔の仲間が集まり、昔話に花が咲いた。私が就社した会社は某大手印刷会社であり、配属先は工場の生産管理部であった。

 (1)1970年代
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5年前の工場の生産管理(1970年代)と言えば、一つの課に一つの大きな卓上計算機が机の大きな面積を占めている状態で、各人はソロバン・鉛筆・消しゴムで計算・仕事をしていた。

1970年代の米国の先導的な企業では、生産管理方式としてMRP(資材所要量計画)を採用し、ある期間に必要な生産量や在庫・材料がいくらになるのか、といった計画全体の管理から各生産工程を管理していた。その特徴は、部品単位での管理を行う点で、MRPの実行においてはコンピュータの活用が前提とされ、多数にわたる部品の調達生産計画を円滑にするために開発された。しかし、当時私が在籍していた会社の環境は「どこの世界の話」といった状況であった。

 日本では1970年代になって、生産や在庫のムダを省いた効率的な生産体制を、大野耐一氏を中心として作り上げ、「トヨタ生産方式」として高度な完成を見た。そのポイントは、後工程から前工程に対し、運搬・生産の要求を行う「後工程引き取り型」の方式で、上述のMRPのような「計画先導型」の生産管理方式とは大きく異なっていた。当時、「さすがトヨタだ」ともてはやされ、生産管理を良く理解できていない上司(工場長)から、外部セミナーへの参加や内部の勉強会を強要された。

 (2)1990年代
1990年代になると、コンピュータの高度化や市場ニーズの多様化等、様々な要因により生産管理方式も多様化していった。特に有名なのは、パソコンメーカーのデルが始めた発注を受けてから生産を開始するBTO(Build to Order)であり、カンバン方式が企業間取引まで拡張されたSCM(Supply Chain Management)の概念、MRPの考え方が製造現場の人的設備的資源まで拡張されたMRP2(Manufacturing Resource Planning)、さらには企業全体を管理対象とするERP(Enterprise Resource Management)パッケージの登場など、進化を続けてきた。この時期の最大出来事は、パソコンが普及し、一人1台が当たり前になってきた。

 (3)大企業の生産管理システム
日本の多くの大企業が、MRPやMRP2をベースにしたERP生産管理システム導入にチャレンジしてきたが、大幅なカスタマイズなしに、本格的に導入できた企業は多くない。なぜ、日本企業には難しいことが、米国企業には対応できるのか。その根底には両者の生産管理に関する取り組む姿勢に違いがあると言われている。ERPパッケージの導入においては「できるだけパッケージの機能に合わせてカスタマイズしないようにすることが大事だ」と言われているが、日本企業ではこの原理原則が忘れ去られることが多く、現場主導の何だがわからない生産管理システムが構築されがちであった。結果として、単なる「生産指示システム」としてしか活用されない生産管理システムも数多く存在すると聞く。私が在籍した職場の生産管理システムも、生産計画・生産指示・原価管理等すべてにおいて中途半端で、イヤイヤ使っていた。

(4)中小企業の生産管理システム、
ノークリサーチ社は、2016年の国内中堅中小市場における生産管理システムの導入社数シェアとユーザー評価に関する調査結果を発表した。日本全国、全業種の500億円未満の中堅中小企業を対象にしたもので、有効回答件数は1300社であった。

調査によると、年商500億円未満の中堅中小企業ですでに導入済の生産管理システム(複数回答可)は、「GLOVIA smart製造」などを提供する富士通がトップで、「EXPLANNER/J」などを提供するNEC、「生産革新シリーズ」などを提供する大塚商会、「iSeries Site」などを提供する日本IBMが続いている。

ノークリサーチ社によると、パッケージを採用する場合であっても独自のカスタマイズが加わることが少なくないと指摘し、販売管理や在庫管理に関連する業務の強化・改善を求める声もあり、販売管理システムをベースに個別のカスタマイズを加えて生産管理システムとして利用するほうが利用企業のニーズに合致しやすいと解説している。

 (5)後輩の述懐
工場は「見込生産」か「受注生産」かで、大きく異なる。「見込生産」では「在庫」が、「受注生産」では「納期」が最大の管理ポイントである。私が在籍していた工場は100%受注生産で、常に「納期」と格闘していた。これは昔も今も変わらない。

 「納期」最優先、工場からは「こんな日程じゃ無理!」、営業からは「こんな日程じゃ間に合わない!」。後輩は、両者の「サバ読み」という心理作戦に疲れたという。特に営業のサバ読みは、お客様のサバ読みより大きく、急いで生産したのに、月末在庫になっているのを見て、激怒した例は多々あったという。

 営業にもいろいろな人間がいて個性がある。「良い営業」もいれば「悪い営業」もいる。良い営業は、得意先の在庫を知っていて、お客様の生産計画をつかんでいるから、先手で情報を入れてくる。普通の営業は、気が利いていてそこそこ情報を入れてくる。悪い営業は、いつも切羽つまらないと連絡してこない。嫌な営業は、工場出身者で工場のことを良く知っているので、現場に直接電話をかけてきて、「あれ、できるよね」と根回ししておいて、生産管理に「現場はできるよ」と言ってくる。それ以来、営業から現場への直接連絡を禁止にしたという。

 営業とうまく付き合うには、やはりある程度の信頼関係が必要で、営業も工場も互いにサバを読み合うが、継続的に顧客満足を高めていくためには、営業から正しい情報を引き出し、工場も正確な情報を発信することが大事であることは言うまでもない。なぜなら、「サバ情報」で生産管理システムは確実にパンクする。

 職場にしろ、学校にしろ、「人が集まる場所」には様々なタイプが存在する。考えや価値観や性格も異なる者が集まるので、うまく擦り合わせてまとめ上げる作業も一苦労で、何かとストレスが溜まる。そんな中、「人の性格を図るツール」として取りあげられるのが「血液型」で、実際に「4タイプ」しかないので、信ぴょう性に疑問符が付くが、「血液型による性格判断」がポピュラーなのは日本とアジアの一部の地域らしい。しかし、結構酒場の話としては盛り上がる。

 「あいつ、やっぱりA型か!」こんなセリフを吐く機会は?もしくは、「AB型、どうりで相性が悪い!」等と「個人間の尺度」は血液型が主流になるぐらい浸透している。しかし、納得する部分があることも確かである。話は弾み、「生産管理は何型が適正か?」になった。

 (6)血液型の特徴は?

【A型】真面目で几帳面。責任感が強く、堅実で努力家。反面、その真面目さが故に人間関係で拗れやすい部分もある。
【B型】マイペースで楽観的。好奇心が旺盛で興味のある事は、とことん突き詰めるタイプ。集中力は高いが、一旦切れるとヤル気を露骨に失う。
【O型】社交的であり、親分肌の面を持つ。それだけに皆をまとめるリーダーシップがある反面、プライドが高く扱い辛い面も。また独特の拘りがあり、頑固な面も併せ持つ。
【AB型】現実的に物事を捉える為、クールに見られる。また発言等も天邪鬼的な印象を与えるので、一般的に取っ付きにくい印象を持たれている。

あくまで一般的に言われてることなので、上記の解説が全てとは限らないが、私はAB型であり、後輩もAB型であった。参加メンバー5人中3人がAB型、2人がA型であった。決して血液型を先入観で捉えるわけではないが、職場に落とし込んでみると、かなり「該当」している部分もあり、血液型によって「向いてる仕事」が存在するのではないかと思う。

【A型】総務・経理・生産管理・在庫管理・製造
【B型】企画開発・商品開発・宣伝
【O型】営業・販売・貨物運搬
【AB型】事業推進・苦情処理・広報

(7)まとめ
果たして生産管理に適した血液型は何型か?モノづくり文化の中で、おそらく最も地味な役回りを演じているのが生産管理部門で、日々待ったなしの生産管理の仕事は困難の連続であるが、最終的にお客様に迷惑をかけることなく、工場の利益を出し、「自分はよくやった」と誇れる瞬間があれば、血液型が何型であろうと、幸せである。

第6回 経営革新を支えるカイゼン(佐藤 節夫)

〔最近、どうかしている!〕
 直近では、スズキ自動車:燃費データ試験で法令と異なる数値の使用、その前は、三菱自動車:軽自動車などの燃費の不正表示がありました。昨年では、東芝:長期に及ぶ不適切会計、東洋ゴム:免震パネル&防振ゴムなどの試験データ偽装、タカタ:エアバッグ不具合、旭化成建材:杭打ち工事のデータ改ざんなど、「ものづくり大国」日本の評価を覆す事件のオンパレードです。長年にわたって培ってきた信用や信頼が一挙に崩れてしまいます。コンプライアス(企業倫理)やガバナンス(企業統治)の問題ですが、ものづくりの土台や基盤である技術は大丈夫なのでしょうか?

〔ものづくり日本の土台・基盤は?〕
「ものづくり」という言葉が使われてから10数年が経過したそうです。「ものづく白書」が刊行されたのは2005年です。それ以前は、「製造基盤白書」(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)と呼ばれていました。
「製造」や「生産」という言葉がありますが、時としてわれわれが「熱く」語る時には、「ものづくり」という言葉でなければリアリティを感じません。なぜなら、「日本のものづくり」と言った時には、外部との差異が強調されているからです。企業のグローバル化が進展する中で、「日本のものづくり」の独自性や特殊性がともすれば希薄になり、競争力が相対的に低下してきたことへの危機感を感じます。
中小企業白書(2016年版)によれば、減少ペースは穏やかになったとはいえ、中小企業の数は381万者(中規模企業の数は56万者、小規模事業者は325万者)となりました。企業数では99.7%を占め、従業者数では雇用の約7割を占めています。  国民総生産の約2割を占める製造業においては、中小企業は、製造業付加価値額の約5割を占めており、我が国経済を支えています。それゆえ、中小企業の経営革新こそが日本再興のカギを握っているといえます。

〔経営革新とは何をするの?〕
「中小企業新事業活動促進法」では、「経営革新」を「事業者が新事業を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義しています。 
「新事業活動」とは、次の4つの「新しい取り組み」を言います。1.新商品の開発または生産、2.新役務の開発または提供、3.商品の新たな生産または販売の方式の導入、4.役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動」。
1999年7月の施策開始以来、2016年3月末時点で承認件数(累計)が63,213件となり、6万件を突破しました。経営革新計画承認企業の業種別の割合を見ると、製造業が4割強となっています。
経営革新計画を作成・実施したことにより「経営目標が明確になった」「会社の進むべき方向が明らかになり、社員の意識が向上した」「対外的信用が増し、新たな取引ができた」などの効果が出ているとされています。しかし、これは行政側のお手盛り評価のような気がします。
最近では、国内への生産拠点の回帰も見られ、だからこそ国内の中堅・中小企業の生産性の改善の必要性が高まっています。そのため、経済産業省では「カイゼン」活動の中堅・中小企業への移転を目的とする「ものづくりカイゼン国民運動」を2015年度から展開し、支援策として「カイゼン指導者育成事業」を立ち上げ、2015年度には11、2016年度には12の民間団体等の取り組みを後押ししています。

〔経営革新を支えるカイゼン〕
企業にとって、改善活動の継続を通じて得られる効果には、Q(品質)・C(コスト)・D(納期)の改善など、直接得られる効果だけでなく、間接的な効果にも結びつきます。それは、日々の改善活動の継続を通じて、広い意味で製造現場における学習が促進され、長期的には、企業の問題発見・解決能力が蓄積され、工場独自の文化が形成されるという効果で、企業の持続的競争優位の確立にとって、極めて重要です。
しかし、改善活動は、実際には思ったように継続せず、改善のネタが尽きて活動が途中で頓挫してしまい、活動自体がマンネリ化に陥り、形だけ活動が継続していても、推進しているメンバーの中に「やらされ感」「徒労感」が広がるなど、実務面で様々な難しさを抱えています。
特定の手法・技法を採用しマスターするには、先の「カイゼン指導者育成事業」等による「ものづくり企業OB」や「カイゼンインストラクター」の活動は一定程度の効果はあります。しかし、改善活動を長期間継続させ、直接効果だけでなく、間接効果をも生み出し、企業の持続的競争優位につなげていくためには、日常の仕事の中から解決すべき問題をその都度発見し、試行錯誤を通じてその問題を解決していくところにあります。
効果が短期的に出やすいか否かではなく、現場の作業者がそれぞれ自分の困っている問題を発見し、時間をかけてじっくりと解決していくため、多くの場合、成果が出るまでには長期間を要します。そのため、このアプローチは、ある程度企業に時間的・経済的な余裕があって、トップマネジメントの「コミットメント」がないと、そもそも採用できないアプローチかもしれません。
しかし、一緒に「手を汚す」「汗をかく」「悩む」、そして結果は「ほめる」「叱る」などの「コミットメント」こそがトップマネジメントの力量です。蓄積されるものは、特定の手法・技法に特化した改善ノウハウ・解決手段ではなく、問題を発見する力、問題を問題として認識し続ける問題意識形成能力です。この力こそが経営革新を支える力となります。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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