成功する企業には新商品開発がある
7.販売ルートの考え方 - 新製品の収穫を得る -
7-3.新規ルートの開拓方法
〔開拓のベースづくり〕
● 顕在需要のみがメシのタネ
新商品は技術革新によって、または新しいアイデアが創造されて生まれます。これに対して新市場は、従来から知られていた潜在需要が、新商品の開発や供給を『認識』することによって顕在需要となり、さらにその需要集積が新商品の市場となって『創成』されます。
しかしルートは、新市場が生まれた時点から、新商品販売への対応が「やっと始まり」ます。それはルートが商品を『仕入れ』て、需要の顕在している市場に『売り込む』ビジネス体だからです。
つまりルートは顕在化市場に、新しく形成された需要を『飯の種』とするのであって、ルート自らの商品をもって潜在需要を『掘り起こし』、顕在化していくビジネス体ではありません。
そういう市場構成ですから、メーカーの新規ルート開拓は、今まで自社商品を流通させていなかった既存ルートに「新しく取引を求める」ことを意味します。
その意味から、自社ルート内に新市場開拓プロジェクトチームなどを創設し、新商品に対する『需要創成の活動』を始める場合でも、それが新規ルートの開拓になるわけではありません。要するに、『新市場開拓と『新ルート開拓』は別ものであるわけです。
● マーケティング力の弱い立場で
またルート強化のために、新ルートを『別途に開設』する場合もあります。が、それは既存市場への『パイプを太く』する補強策であって、今まで自社になかったルートの新開拓にはならないのです。
大企業の場合は、既存ルートの一部を「新市場に仕向け」結果的に新ルート開拓と同じ効果を生むこともできるでしょう。
しかしマーケティング力が弱い中小企業や、全く販路をもたないニュー・ベンチャーなどは、従来『活用し切れなかった』既存ルートに、自社の新商品を流通させられれば、それが新規のルートを開拓することになるのです。
この際、メーカーが独自に「需要を創造したか」「否か」にかかわりはありません。従来、取引がなければ、自社にとっては新ルートであり、新商品にとって新市場であれば、いずれはルート開拓をしたことになります。
自社からルートへのはたらきかけは、図表7-14のルート側からみた取引先群の一角に、食い込みを図ることです。
いわばルート自身が築いてきた『市場』や『得意先』『顧客』の団塊から『個々のお客様』など、掌握市場というルート独自の経営資源を「利用させていただく」のです。
つまりメーカー側としては、ルートが独自にもっている『販売力』が「自社の経営資源だ」といえるまで、『ルートとの繋がり』を着実に築いていかなくてはなりません。