ものづくり事業部

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カテゴリー:ものづくり経営革新への道

第33回 マーケットイン型の商品開発における成功要因

ものづくり企業では「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という考え方のもと、商品開発を進めていくことがあります。聞いたことがあるという方も多いかと思いますが、改めてご説明しますと、一般的に「マーケットイン」というのは、顧客や市場が欲しいと思うものや求められているものを開発しようとする考え方で、「プロダクトアウト」というのは、自社の持つ技術や設備など提供する側の発想から商品を開発しようする考え方と言えます。

一時は「顧客ニーズに合わせたものづくり」として、徹底したマーケットイン型の商品開発が支持されたこともありましたが、やはり顧客の声だけでは画期的なイノベーションは生まれず、プロダクトアウトの思考で開発することも重要だと再認識されています。この二つはどちらが良い悪いではなく、自社のコア技術や主力製品、自社と取り巻く環境やマーケットに合わせて、柔軟にその対応を変えていく必要があります。

私の知っている企業で、「マーケットイン型の商品開発」に取り組み、ヒット商品を開発した部署がありました。営業・マーケティング部門の徹底した調査・現場からの情報収集、それに対応する素材研究や設計に対応した開発部門、さらに外注に頼ることなく、自社のコア技術で製造できるラインを構築した製造部門。まさに三位一体の取り組みにより、メーカー側では検討もしなかった製品ができあがったのです。

しかし、この成功に至るにはさまざまな障壁がありました。顧客のニーズに対して、「こんなものが売れるのか」「作るのが難しい」「在庫が残ったらどうするんだ」など、部門間のコンフリクトが発生しました。これに対して、部署を牽引するマネージャーは3部門がうまく情報を共有することができるようリーダーシップを発揮し、各部門のモチベーション維持を図りながらプロジェクトを統率しました。

戸崎図表

 ヒット商品の開発において、いずれのアプローチにしても開発・製造・営業の各部門が一体となって取り組まなければ成功はありません。自社のコア技術を中心に部署のリーダーが各部門をマネジメントし、ひとつの目標に向かって互いの情報を共有しながら進めていくことは、マーケットイン型商品開発の成功要因の一つと言えるでしょう。

 

 

 

第32回 i-Constructionとものづくり補助金

i-Construction(アイ・コンストラクション)とは、2016年から国土交通省が推進している『「ICTの全面的な活用(以降ICT土工と略す)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取組』です。

i-Constructionには3つの大きな施策があります。ICT土工、全体最適の導入、施工時期の平準化です。このうち中心となるのはICT土工です。具体的にはドローンやパノラマカメラの活用による3次元測量、ICTブルドーザーやICT油圧ショベルなどのICT建機導入、工程や検査のICT管理です。このICT土工により、建設土木工事の大幅な生産性向上、女性や若年建設技能者の採用による人出不足解消が実現します。またICT土工は公共工事受注審査時の加点項目となっています。

さて、今回の29年度補正ものづくり補助金では、ICT土工関連機械が初めて補助対象となりました。実際に採択もされています。次回のものづくり補助金ではICT土工関連機械での申請が相当盛んになると予測しています。

ICT土工関連機械は、ものづくり補助金だけでなく、固定資産税の特例や中小企業経営強化税制が受けられる経営力向上計画や、固定資産税の軽減(ゼロから1/2)が受けられる先端設備導入計画が申請できる設備投資となります。さらにこれらの計画申請はものづくり補助金の加点項目ともなります。このようにi-Constructionは建設土木事業者様や支援者の方々には極めて魅力的な政策ですので、積極的なご活用をお奨めします。

 

第31回 直流のお話

電気を送るのに交流が良いか直流が良いかは、昔アメリカでエジソン(直流)とテスラ―(交流)が争いテスラ―が勝利したことは良く知られています。今日では、家庭やオフィスへの低圧配電(AC100V)から、発電所から遠くの変電所までの高圧送電(数万Ⅴ)まで、全てが交流で行われていました。その最大の理由は、交流は変圧器(トランス)によって電圧を容易に変換できるからです。

しかしここに来て、敗北した直流送電が見直されています。まず長距離の高圧送電です。なぜ長距離は高圧で送るかと言えば、同じ電力を送る場合、電流値を小さくできるため、電力線で消費される電力ロスが少なく抑えられるからです。しかし交流を銅線で送る場合、表皮効果と言うやっかいな問題があります。交流は銅線の中心部分は流れず表面しか流れません。このためロスが大きくなります。

しかし以前は、高圧を直流に変換することは困難だったのですが、最近の技術進歩(高圧素子の開発)により可能となりました。このため長距離の高圧送電に直流を用いる方法が実際に行われています。特に、太陽光や風力等の不安定な自然エネルギーを安定化させて広域に送るスマートグリッドでは、高圧直流送電が一般的になってきています。

では、家庭向けの低圧配電ではどうでしょうか。家庭内のテレビやAV機器、パソコン等は全て直流です。コンセントに取り付けられたACアダプターだけでも大変な数になり、これ等は皆待機電流を消費します。また、ノートパソコンを出張に携行する時は、必ずACアダプターも持って行きます。やはり家庭やオフィスでも、ACアダプターの不要な直流配電があれば便利です。これを解決できるかも知れない鍵がUSB-typeCのPower Deliverryです。

下図は、そのコネクターの配置図です。

第31回図表

 

 

 


これまでのUSBは電圧が5Vでしたが、このコネクターは20Vの電圧も対応しており、最大100ワットまで供給可能ですから、通常の電子機器やパソコンでも充分に電力供給が可能です。これまでのUSBはパソコンから周辺機器に電力を供給するのみの一方通行でした。しかしこの規格は双方向で、USBを通じて電源供給を受けることもできます。つまり、出張にACアダプターを携行しなくてもパソコンが使える時代が来るかも知れません。

実際に村田製作所と戸田建設は、USB 3.1(Type-C)に対応した電源・通信システム機器を、国内では初めて、ホテル「御宿野乃奈良」に導入したと言うニュースが出ています。残念ながら、このコネクターを装備したノートパソコンはまだあまり販売されていないようです。早くこのコネクターを装備した電子機器が出回るようになって欲しいものです。

第30回 技術を特許にする?ノウハウにする?その見極め方

自社で編み出した大切な技術。
特許にしようと思いつつも、特許にすると、1年半後に全世界に公開されるというリスクがあります。
かといって、完全に秘密にし、ノウハウ化しようとしても、ライバル会社が特許をとってしまうと、たとえ先に技術開発していても、その技術を使うことができなくなってしまいます。

そこで、開発型企業にとっては、技術を特許にする?ノウハウにする? その見極めが非常に重要になってまいります。
実は、技術を特許にする?ノウハウにする? ここでは簡単な見極め方を2つ紹介します。

(1)その製品を販売する予定ですか?
販売する予定がないものを特許にしても、意味がありません。
そこで、まずは販売する予定があるかどうかをチェックします。

(2)ライバル会社がその製品を手に入れた場合、ライバル会社は、その製品の技術的な特徴を見破ることができますか?
見破ることができる場合、ライバル会社がパクる可能性がありますので、特許化を検討します。
反対に、見破ることができない場合、あえて1年半後に全世界に公開する理由がありませんから、ノウハウ化を検討します。

上記2つのチェックポイントを頭の片隅にとどめ、開発した製品をサンプル出しするときには、これら2つのチェックポイントを確認されることをお勧めします。

第29回 一次産品事業者の経営革新

1.増産が主題だった第一次産業

人々の生活に供する『物財』や『エネルギー』『情報』さらには『サービス』にいたる第一次産業の『ものづくり事業』は、第二次、第三次産業の事業と同様に『経営革新』を実施し続けなければ生き残れません。ものづくり事業は、一定の『人』『もの』『金』の資源を『支出』して『ものづくり』と『もの売り』をすることで『事業収入』を得ます。経営革新は、この収支の差額つまり『付加価値』をより多くするための行為です。

ところでわが国は、終戦前後の1940年代に極端な『食料不足』に見舞われていました。このため米穀生産を中心とした農・蓄・水産物『づくり』が、厳しい統制経済下におかれ、江戸封建時代の「米塚の経済」と同様に、食糧増産が経営革新になってきました。反面で事業経営者は「売る心配」がなくなったため、搾取された江戸時代とは逆に、農・蓄・水産物『売り』の革新が疎かになったのでしょうか。今日では食料自給率が50%を切るのに減反政策によって休耕田が増加する矛盾さえ生じます。

2.一次産品の生産環境と商品特性

もちろん米穀生産以外の分野では、この飽食時代に輸入食糧品と競争しながら、製販両面の経営革新に取り組んできた事業者も多くありました。あたかもわが国の第二次や第三次産業が『技術革新』と『流通革命』を同時進行させ、世界的な競争力を培ってきた事情に匹敵する経営努力です。

自然環境が相手の食糧生産は、気象変動などによって『安定供給』が難しい『ものづくり環境』と、品物が『いたみ易い』という食品特有の『商品特性』があります。だから生産物を『一手の引き受け機関』がある安心から『もの売り』を鈍らせたともいえます。

ただ一般的には『ハウス栽培』によるオールシーズン化、畜舎の『環境制御システム』や養殖などの『栽培漁業』のような、生産技術面での安定指向はみられます。が、一次産品の販路開拓では、第二次産業や第三次産業と同等レベルの革新は感じられないのです。

食料品生産に大きく影響するのは『鮮度維持』の問題です。太古の昔から『乾燥』『煮沸』『塩蔵』などの食料保存法が知られています。近代では、大規模な『燻製』『醗酵』『冷蔵』『冷凍』『真空』保存なども開発されています。ただこれらの手法は、第一次産業内での『一次加工技術』であって、このような『荷姿』に整えることを『もの売り機能』の革新というにはもの足りないのです。

3.産品へ商品化要件を付加

一次産品の生産技術を高度化させ続けることは、事業者にとって不可欠の行為に違いありません。が、生産プロセスの終盤には、必ずマーケティング活動への接続行為が伴います。つまり手にした産品に『商品化要件』を付加するまでが、もの売りを意識した『農・蓄・水産業』の生産過程だからです。

この点では同じ一次産品でも、すでに一・五次化した生産プロセスとでもいえる一部の『林産物』や大部分の『鉱産物』は、出荷段階でそのまま流通に送れる『荷姿』をつくり上げています。全体体系は次の図に示すとおりです。

20一次産品図

すなわち一次産品は、生鮮食品も素加工食品も、ものづくり行為のうちに、売れる商品として『出荷要件』『販売促進要件』『取引要件』を備えることで経営革新に踏み出せます。

図の『商品化要件』に略記したとおり、先ずバラ売りでは商品にならないので、消費者への直販向けと二次・三次産業への卸売り向けにするのです。また物流段階の『パッケージ』用の包装資材と包装方法を選択し、最小限の包装機器を備えます。

次の『販促要件は、将来のブランド名に高めるつもりで、商品種別にネーミング』して他者商品と差別化を図ります。またレッテルとか説明書などに商品メッセージ』を点けるのも大切です。

最後は、マーケティング政策で最も難しい値入れ』つまり『取引条件』としての売価設定』ですが、ここでは詳しく説明する紙幅がありません。

ただ、われわれさいたま総研のメンバーは『農・蓄・水産業の生産技術に精通していなくても、商品化要件の設定に関する専門家集団ですから、今後これら経営革新の推進に関しては、十分にご支援できることをお含みおき願います。

 

 

 

 

 

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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