ものづくり事業部

第27回 技術力の向上ができ、市場対応力を高められる設備投資

「今年も製造機械の設備投資を検討しています」

先日、中小企業製造業の方とお話をしているときに、このようなお話を伺いました。この企業は、毎年、設備投資を行っており、技術力を向上させて市場対応力を高めている企業です。この企業のように、設備投資を行うことで、様々な技術力の向上を図っている企業に、私は日ごろ多く接しています。

新たな製造機械等の設備投資のメリットの代表として、品質、コスト、納期の向上による技術力の向上が挙げられます。

メリット1:品質の向上
例えば、精密加工製造業が新たに高精度なマシニングセンタを導入した場合には、加工精度が高まり、自社の加工技術力が向上します。加工精度が高まれば、加工できる品目が増え、受注品目の幅が広がります。

メリット2:コスト削減
例えば、老朽化した設備を従来から活用しており、不良率が高ければ、不良品の分だけコストが無駄になります。一方で、不良率を下げるために新たに設備投資を行えば、不良品が減り、無駄なコストを削減することができます。

メリット3:納期の短縮
例えば、生産スピードが遅い設備から生産スピードが速い新たな機械装置に変えることで、納期が短縮でき、短納期対応力が高まります。生産時間が短縮できれば、工程に余力を生み出すことができ、受注を増加させても対応することができます。販路開拓を積極的に行い、受注を増加させて対応することで売上高の向上を図ることが可能となります。

これらのメリットは、一例ですが、新たな設備投資を行うことで、技術力の向上が可能となり、市場への対応力が高まります。

設備投資を行う上で、中小企業の多くが悩むことは、資金の問題だと思います。自己資金が乏しいので設備投資を躊躇するケースがあると思います。

現在、国などでは、資金が乏しい中小企業でも新たな設備投資を行えるように、補助金などの制度を充実させています。設備投資を行う際の資金調達は補助金・助成金の活用を検討するのも一手です。

―最後に―

無計画・安易な設備投資は、綿密に経営・技術戦略を立案した上での設備投資より失敗リスクが高くなります。また、無理な設備投資は経営を圧迫する場合がありますので、詳細な検討が必要です。設備投資を行う際には、現状の自社を分析し、今後の経営・技術戦略を綿密に立案し、その上で、自社に合った設備投資を行い、技術力と市場対応力を高めることをお勧めいたします。

第26回 BCP策定は自社の経営を見直すチャンス

突然ですが、BCPという言葉を聞いたことがありますか?

BCPとはBusiness Continuity Planの略で、一般には「事業継続計画」と訳されます。具体的には、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における企業存続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです(経済産業省中小企業庁:「中小企業BCP策定運用指針第2版」より)。

自然災害の多い日本では、どの地域にいても被災する可能性はあるのではないでしょうか。関東では今後30年間で70%の確率で首都直下地震が起こると言われていることは周知のとおりです。であれば、防災計画を前段とした、不測の事態に対する企業の対応力向上を目的としたBCPを策定・運用することの重要性は言うまでもありません。

ところが、中小企業のBCP 策定率は1 割程度とされています(平成 24 年度中小企業庁調べ)。それはなぜでしょうか?まず、BCPは起こるかどうか分からない不測の事態に対する備えとして捉えられ(防災計画と同一視され)、企業は必要だと認識しつつも日々の業務を優先しBCP策定が後回しになっていることは想像に難くありません。もう一つの理由は、策定の難しさではないでしょうか。BCPは経営判断により策定していく性格のものであり、防災計画と違って企業の一部署(担当者レベル)で決められるものではありません。

BCP策定では、中核事業の選定、目標復旧時間の設定、対策立案、被災時の資金繰り等、多くの検討事項があります。中核事業とは、自社の存続に関わる最も重要性の高い事業のことであり、自社の売上や顧客との関係性等の観点から最優先するべき事業(商品・顧客)を決定します。目標復旧時間とは中核事業を復旧させなければならない時間のことですが、顧客の離反を防ぎ自社の売上やシェア、信用を大きく低下させることのない時間を設定しなければなりません。併せて、代替仕入先の確保、物流手段の確保、自治体や同業者との災害協定締結等、目標復旧時間短縮のための取り組みも不可欠です。

BCPは防災計画と混同される場合もありますが、事業継続計画と訳される通り、その本質は事業計画です。ですから、BCPの策定では経営判断が不可欠で、経営者自らが中心となって進めていくことが重要です。有事の際には、従業員の負傷や交通機関の途絶で従業員の参集がうまくいかないことも想定されます。その場合はどうしますか?解決策の1つは、従業員が複数の仕事をこなせるよう育成しておくことです。設備の耐震補強や食料の備蓄も必要ですが、時間を要する人材育成が先決ではないでしょうか。BCP策定ではそのような気づきも得られます。BCP策定は自社の経営を見直すチャンスでもあります。

第25回 タンザニア国のカイゼンの状況

私は、JICAの第Ⅱ期タンザニア国・品質・生産性向上(カイゼン)PJに参加して、タンザニア国のカイゼン普及支援事業に従事致しておりますので、タンザニアのお国柄とタンザニアのカイゼンの状況についてご紹介致します。

1 タンザニアってどんな国
(1)概要・地理
タンザニア連合共和国、通称タンザニアは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国です。ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、ザンビア、マラウイ、モザンビークと国境を接し、タンガニーカ湖対岸にはコンゴ民主共和国があり、またインド洋に面しています。タンザニアの面積は945,087km²であ、世界31位の広さでエジプトに続き、ナイジェリアとほぼ等しいです。また、日本の約2.5倍です。北東部には、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山(5,895m)があり、北部にアフリカ第一のビクトリア湖、西部にアフリカで最も深いタンガニーカ湖があります。この南のニアサ湖を含めアフリカ三大湖が存在します。これらはアフリカ大地溝帯が形成したものです。中部には高原が広がり、東部海岸は蒸し暑い気候で、ザンジバル島(ウングジャ島)がすぐ沖合にあります。

タンザニア気候は国土の大半がサバナ気候に属し、中央部がステップ気候、南部と北部の高原部が温暖冬季少雨気候です。降水量は海岸部やビクトリア湖岸、キリマンジャロ周辺では年間1000mmを超えますが、内陸部では500mm程度のところが多いです。植生は、海岸部に熱帯半落葉降雨林が、内陸部にミオンボ(またはミヨンボ)と呼ばれる熱帯広葉雨緑乾燥林指導風景が広がっています。
生態学上貴重な野生公園が数多くあり、日本からも多くの熟年観光客が野生動物を見るため押し寄せています。 また、人口は5,557万人(2016年:世銀推計)です。


(2)風土・民族・宗教

アフリカでも有数の大自然に恵まれ、文化的にもスワヒリ語を国語とし、アフリカ在来の言語が大きな役割を果たしている数少ない国家です。公用語としては、スワヒリ語と英語です。民族にはスクマ族,ニャキューサ族,ハヤ族,チャガ族,ザラモ族等を始めとして、約130の部族がいます。部族が多いことが幸いしてか、1つの部族のみが強大な力を持つことが難しいため、民族間紛争が起きにくく、国内は政治的安定が保たれています。宗教はイスラム教(約40%),キリスト教(約40%),土着宗教(約20%)のとなっていますが、インドからの印僑も多く、ヒンズー教の寺院がダニエスサラームには多く存在しています。

(3)政治・経済
1)政治
1996年に立法府の議事堂が法律上の新首都ドドマに移転されましたが、ダニエスサラームには、政府官庁が存在するなど、事実上の首都機能を有しています。また、ダニエスサラームは経済面でも中心となっています。しかし、ダニエスサラームがタンザニア国土の東のはずれに位置していること、都市の混雑が激しいとの理由から、現在、政府機関の大規模な移転がダニエスサラームからドドマに行われており、政治都市のドドマと経済都市のダニエスサラームとの分離が急速に進んでいます。私達のPJが関係している、カウンターパートの政府機関も近々の内に、ドドマへの移転が計画されています。
2)経済の概要
タンザニアは、1961年の独立後,社会主義経済政策を推進していましたが、1980年代に入り経済は危機的状態に陥り、1986年以降、世銀・IMFの支援を得て、社会主義経済から市場経済へと転換しました。規制緩和等を通じ経済改革を推進しましたが、90年代は経済が停滞しました。その後、2000年頃より経済成長し、鉱業・情報通信・運輸・建設等の産業が順調に伸び、一定程度バランスのとれた成長がみられる様になりました。また,貧困削減に向け、労働人口の約7割を占める農業分野の成長と生産性向上に努めています。主要産業の生産額の比率では、農林水産がGDPの約19%、農業従事者は労働人口の約66.9%で、主な生産品は、メイズ・豆類・コメ・カシューナッツ・タバコ・小麦・コーヒー・綿花等です。鉱業・製造・建設分野がGDPの約24%、サービス分野がGDPの約38%となっています。

その中でも、タンザニアの観光業は重要な産業で、成長を続けています。タンザニアにおける観光業はGDPの17.5%を占め、外貨収入の25%を占めており、金の輸出についで第2位の外貨獲得産業となっています。2004年にタンザニアに入国した観光客数は約60万人であり、1995年の2倍に達しました。さらに2016年には観光客数は130万人となっており、増加の一途を辿っています。観光客の目的はモロゴロ保全地域やセレンゲティ国立公園などでのサファリ、キリマンジャロへの登山、ザンジバル島のストーン・タウンなど歴史遺産やザンジバルでのビーチリゾートなど多岐に渡っています。

(4)日本国政府のタンザニアへの開発協力
タンザニアは, 1961 年の日本との外交関係樹立以降, 穏健な外交方針と安定した内政の下, 国際場裡及び二国間関係において日本と良好な協力関係を維持してきた友好国です。また、タンザニアは、近年, 毎年年率7%近い経済成長を達成し, マクロ経済指標が安定的に推移し、 「タンザニア開発ビジョン2025」に掲げる2025年の中所得国化に向けて経済・社会開発を推進しています。1人当たり国民所得は過去5年で30%以上の伸びを見せています(2010年700ドル→2015年920ドル)。近年探査が進む天然ガスを始めとする豊富な資源, 域内最大規模の人口等の諸条件を踏まえれば, 今後の日本企業によるアフリカでのビジネス展開の拠点となる潜在性は高く, タンザニアとの間で広く関係強化を図ることの意義は大きいと日本政府は捉えています。

さらに、重点分野として、経済成長のけん引セクターの育成を1つの柱として掲げており、その中で工業化を最優先課題とするFYDPⅡの下, ビジネス環境改善, カイゼン等を通じた活力ある企業部門の育成などに取り組むことが大きなテーマの1つになっています。カイゼンについては、活力ある企業部門の育成・強化の観点で、全国のカイゼン運動の展開を通じて、製造業を含む幅広い業種・部門におけるタンザニア全体の生産性向上を通じた企業競争力強化を支援することが期待されています。

2 タンザニア国のカイゼン活動の状況
上記の流れの中で、私が従事しているタンザニア国カイゼン・プロジェクト【正式名称:タンザニア国品質・生産性向上(カイゼン)による製造業強化プロジェクト フェイズ2】が第1フェイズの後続プロジェクトとして実施されています。本プロジェクトは、全期間中で、カイゼン指導企業を100社(内大企業30社、中小企業70社)、更に、カイゼン指導員120名を育成する目標で3年間に亘り全国8州で実施される予定になっています。私が第1バッチで指導する、企業は8社、カイゼン指導員は17名となります。企業の業種は縫製業、建築鋼材製造業、食品加工業、プラスチック加工業、金属加工業、化学産業で、従業員規模も、大は2000名から小は20名の企業まで業種も従業員規模も様々です。

カイゼン研修員も、中小企業振興公社職員、貿易産業省職員、輸出特区職員、大学工学部教授、政府系銀行職員、工業団体職員と様々です。カイゼンの指導は、5S、ムダ取り、レイアウト変更、標準化を主体とするBasic カイゼンとQC storyによる高度な問題解決に取り組むAdvanced カイゼンの2つのコースから構成されています。研修生も企業のカイゼン担当者や、熱心に活動に取り組んでおり、発展途上国のカイゼンは濡れ雑巾を絞ることに似ており成果が直ぐに出てくるため、皆カイゼン活動を楽しんでいる様に見え、今後も活動が大いに期待されています。

指導風景アフリカでは、JICAにより、カイゼン普及PJがタンザニアの他エチオピア、エジプト、ジュニジア、ガーナ、ケニア、ザンビア、マラウイ、カメルーン他で実施されています。2016年の8月にケニアのナイロビで開催されたTICAD Ⅵで、安部首相が1万人の工場経営者の育成支援を約束しました。このため、今後ともアフリカでカイゼンを導入する国が益々増えてきます。アフリカ諸国からは、多くの資金を要さず、製造業の品質・生産性向上に大きな成果をもたらす、日本のカイゼンに熱い視線が注がれています。

<研修員による企業でのカイゼン指導風景>

 

 

第24回 エネルギーとCO2排出からみたEV

中国政府の半ば強制的な普及政策、欧州自動車メーカのディーゼルからの方向転換、日本メーカの開発体制強化など、いまEV(Electric Vehicle:電気自動車)に注目が集まっています。排気ガスもなく静かで充電電気代も少ないと、多くの利点が喧伝されています。車そのものと利用シーンだけを見ればその通りですが、エネルギーとCO2排出を社会的な視点で見ると別の側面が見えてきます。

車を走らすにはエネルギーが必要です。EVは電気でガソリン車は化石燃料が走行エネルギーですが、どちらもエネルギーフローを経て我々の手元に届いています。このフローに着目してEVとガソリン車(ハイブリッド車)を比較してみます。(ガソリン車がガソリン車であり続けるとすると、エネルギー高効率化とCO2排出抑制の点でハイブリッド化は一つの有力解です。)

最新のEVには40kWhの蓄電池搭載で400kmと長い航続距離を誇るものがあります。一方ハイブリッド車は航続距離と言うよりも燃費が基準になり、その中でも優れた燃費を持つものは40.8km/Lを誇ります。エネルギーの単位は遙か昔に中学か高校で習ったJ(ジュール)です。1kWhは3.6MJ(メガジュール)で、ガソリン1Lは34.6MJのエネルギーがあります。これを元に1km当たりの走行エネルギーを比較すると、
EVは3.6MJ x 40 ÷ 400km=0.36 MJ/km ハイブリッド車は34.6MJ ÷ 40.8km =0.85 MJ/kmとなります。

EVは同じ距離を走るのにハイブリッド車の約40%のエネルギーですむ計算です。これだけ見ると素晴らしいエネルギー効率ですが、この効率は蓄電池と燃料タンクにエネルギーが充填されてからの効率で、充填されるまでのエネルギーの損失を計算に入れる必要があります。一般的に発電に投入されるエネルギーは40%程度が我々需要家の手元に届きます。EVを1km走らすために発電へ投入されるエネルギーは 0.36 ÷ 0.40=0.9 MJ となります。更に蓄電池では充電時に損失があります。EVの充電の効率を85%と見ると 0.9 ÷ 0.85=1.06MJとなります。

ハイブリッドが0.85 MJですので、数値が逆転します。原子力が殆ど停止している今、日本における発電はわずかな再生可能エネルギー(水力、風力、太陽光)を除くと殆どが化石燃料によるものです。EVもハイブリッドも、燃やすところが発電所かエンジンかで、化石燃料がエネルギー源である点に変わりがありません。EVは発送電による損失がありハイブリッド車にはそれがないため、EV本体の効率が良くても大元の投入エネルギーに対する効率はハイブリッド車に負けるということが起きるのです。

ところでCO2排出の視点ではどうでしょうか。環境省は電気事業者別のCO2排出係数というものを毎年発表しています。電気事業者毎の1kWhを作り出す時に排出するCO2の量です。電気事業者によって異なるのですが、概ね0.00055トン=0.55kg程度と考えられます。一方ガソリンのCO2排出量は2.32kg/Lとなっています。1km走るときのCO2排出量を計算すると
EVは                         0.55kg/1kWh=0.55kg/10km=0.055kg/km、
充電損失を考慮して 0.055kg/km/0.85=0.065kg/km
ハイブリッド車は       2.32kg/L=2.32kg/40.8km=0.057kg/kmとなります。
CO2排出でもハイブリッド車が優れているという計算です。

以上エネルギー効率とCO2排出を見てきましたが、EVはこの点で決して優れてはいないのです。EVの普及を進めると社会全体のエネルギー消費とCO2排出が増えてしまうという、イメージとは逆のことが起き得るのです。中国では国策でEVを推進していますが、石炭火力が多いため大気汚染とCO2排出に拍車がかかるのではと危惧されます。

効率とCO2排出に優れた再生可能エネルギーに発電が置き換わっていけばEVの社会的な価値は向上します。それまでの間は優れた燃費のハイブリッド車を使うというのが社会的には良いのではと筆者は思っています。

 

 

 

 

 

第23回 「農業未来年表」

信頼できる人口予測によれば、2100年、日本の人口は明治維新の頃の3300万人に限りなく近づき、高齢化率は40%を超え、東洋の小国に逆戻りする。一方、インド15億人、アルジェリア8億人と人口爆発し、移民の国米国は4億人、美・食・愛の国フランスは7000万人に拡大する。中国は3億人減少して10億人規模となる。
地球温暖化は進行しており、2℃上昇すると、インド、アフリカ、中国等、砂漠化が拡がり、干ばつによる食糧危機が起こるとみられる。

さて、近未来の日本の農業について述べてみよう。農家数は、現在の3分の1以下、42万戸程度に減ると推測した。

農家数推移予測農業産出額は、2014年8.4兆円、1984年11.7兆円、生産農業所得は、2014年2.8兆円で、1984年4.5兆円と、大きく低下している。現在の状況としては、助成金、補助金等政策的な拠出金は、4兆円近くになる。食料自給率はカロリーベースで39%と、日本の基本穀物の生産高は、途上国に輸出できる状態ではない。   

現在就農者の平均年齢は67歳になっている。先進国のフランス、ドイツ、米国等の農業経営者の平均年齢は40、50代半ばで、農産物市場は開放されており、商品開発がしっかりしている。しかし、日本の40、50代層は、青年期に消費社会を迎え、就農するより会社員生活を選んだ。都市近郊農家では多くが兼業農家になった。
おそらく、10年後には就農者数は激減し、このままでは農業産出額は国民の需要を満たせなくなるほど低下してしまう。将来の日本は、食料輸入がひっ迫し、戦後のような食糧危機の再来が懸念される。

今、日本農業は転換期、イノベーションが必要とされている。しかし十分対応できていない。
45歳までの新規就農支援制度で、農業に取り組みやすくなった。3年間の所得補償、低利の貸付等、農業に参入する環境は整っている。しかし、途中で離農する者も多い。定着するのは1万人程度である。
農業は、新しい仕組みを取り入れ、脱皮しなければならない。大規模化、六次化、生産性向上といった農業改革に迫られている。新しい時代の農業は、家業から農業ビジネスに転換しなければ成り立たない。様々な農業ビジネスモデルが生まれると予想できる。その萌芽として、二つの事例を紹介する。

一つ目は、、イオンアグリに代表される。全国に圃場や次世代園芸施設を有し、生産から販売まで一貫したリテール型(製造小売)農業モデルを展開している。似たモデルとして、ワタミ、カゴメがある。どのような農産物がいつどれくらい必要なのか、そのためにどうするのかといった基本的なことがビジネスモデルに組み込まれ、農業ビジネスとして、さらに進化しつつある。
二つ目は、 地産地消六次産業型農業で、各地に、特徴的な成功事例が続出している。地域の生産者が、その地域に適した農産物、伝統的に作ってきた農産物を、その地域の消費者に適した商品として提供するビジネスモデルで、新鮮さや風土になじんだ美味しさが、地域還流の経済にも適している。地域ごとに、お金が落ちて、地域の中で回る経済が、地域の活性化にも貢献している。
以上、二つのモデルは、マーケティングを主流にしたビジネスモデルで、大きくとらえれば、これからは顧客志向型農業をめざすべきといえる。以上、将来の主流となる農業のモデルを示した。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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