ものづくり事業部

第17回 中小企業も「第四次産業革命」の流れに乗って再成長!

アベノミクスの旧三本の矢「成長戦略」が、政権発足以来長らく不発でした。実は昨年度、ものづくりに深く関係する成長戦略が体系化されました。「日本再興戦略2016」における「官民戦略プロジェクト10」の一番目「第四次産業革命」です(名前は前年度に初出)。
経済対策を通じた『日本再興戦略2016』の実施の加速について
日本再興戦略2016

今回のコラムは「ものづくり再興」を志して診断士の資格を取った筆者が、三回シリーズ、1)第四次産業革命/Industry 4.0とは、2)日本のものづくりと第四次産業革命の現状、3)中小ものづくり企業の第四次産業革命への処方箋、の順でお届けします。中小企業様が「第四次産業革命」の流れに乗るための情報と取り組み方法をお示しします。

尚、旧三本の矢の「異次元金融緩和」は、副次的な円安で輸出増という大きな効果を上げましたが、本来目的の脱デフレには届きませんでした。「財政出動」は日本では常態化されて波及効果も少なくなり、国の借金増加と自助努力が削がれることが心配です。また2015年秋に発表された新三本の矢、「GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」は、目標としては重要です。お金を余り使わない規制緩和等具体策の早期実行が待たれます。

一方、支援中の中小企業様へのヒヤリングでは、大企業の好業績が末端の中小企業に滴り落ちるトリクルダウンに関し、「売価は上がらず、実感がない」との意見が大半でした。市場縮小の中、国の支援策は世界でも類をみない充実度ですが、経営の自律化を阻む側面もあります。我々も「上げ善据え膳」は考えもので、人と組織の成長を目指して参る所存です。

1)第四次産業革命/Industry 4.0とは

第四次産業革命はドイツのIndustry 4.0(英語)に端を発し、起源は2008年リーマンショック後の工作機械メーカーのシステム化と言われています。メルケル首相が2011年に未来プロジェクトの高度技術戦略として取上げ、国内の自動車産業を始めとする、ものづくり高度化を産学官挙げて取組むIndustrie 4.0(独語)として体系化されました。

IoTの名称発祥の地、米国でも同様の動きは勿論有りました。GEのIndustrial Internetがその代表格ですが、こちらは民間主導です。

日本の第四次産業革命は、端緒は日本が得意なロボット革命イニシャティブでしたが、経産省の内容を見る限りドイツと余り変わらないとの印象ですので、旧三本の矢の成長戦略に当初から据えて欲しかったと思います。
中身に入る前に、念のために過去の産業革命をおさらいしておきましょう。

  • 18世紀末の蒸気機関と製鉄産業がもたらした「第一次産業革命」
  • 19世紀末の石油利用の化学新素材とガソリン自動車の「第二次産業革命」
  • 20世紀後半の半導体の進歩によるIT革命とも呼ばれる「第三次産業革命」
  • 今回のIoT、BigData、AI、Robotによる「第四次産業革命」

第四次産業革命でどの様な未来を描けるか見えない部分もありますので、過去の3つに比べ小振り感もありますが、「破壊的イノベーション」には違いありません。また、初期には産業革命の間隔は1世紀を要しましたが、今回は半世紀程度とスピードが速くなっています。

さて、本論に入ります。ものづくりは従来「サプライチェーン」に代表される、垂直的な連携による生産の仕組み高度化が行われて来ました。しかしIndustry 4.0ではIoT、AI、Robot等で下図に示す様な、主に水平的な連携を目指しています。またITとの区別から、CPS(Cyber Physical System)とも呼ばれています。

Horizontal Value Network
“Horizontal Value Network” Source: Industrie 4.0 Final report P22

では、日本でも古くから行われてきたFA(Factory Automation)との違いは何でしょうか?またFAで使われているM2M(Machine to Machine)とIoTは、何が違うのでしょうか?
FAとM2Mは社内ローカル接続のClosed Drainで、IoTはInternet環境のOpen Domainの違いと言われていますが、むしろシステムのClose/Openがポイントだと筆者は思います。

 第四次産業革命では、IoTで収集したBig DataをAIで分析して、装置間の横連携、Robotを介しての装置間の縦連携、輸送手段による工場間の連携、更には最適在庫を目指した顧客との受注出荷連携等、なるべく人手を介しないで生産の最適化、高度化を行う全体システム、と位置付けて良いと思われます。このことから、企業間、業種間にまたがる、共通プラットフォームの構築が鍵となります。

尚、ドイツでは装置(もの)から発したのに対し、米国のIndustrial InternetはIT(Internet)が源であり、クラウド上にものづくりに必要な情報を集め、企業間連携もクラウド上で行うもので、原則、基幹企業がシステムの提供を行うケースが多いようです。

 この様な「IoTで繋がるものづくり」において、人はどの様な役割を果たすのでしょうか?実はここが一番大事な部分で、集めたデータをどの様に分析するか、その尺度は、最適化するための手法は、等々、ものづくりに必要なノウハウが密接に関係します。その意味で、第四次産業革命は、システム全体は開発投資も含めて大企業マターですが、個別のものづくり最適化は、中小企業が持っている「暗黙知」や「経験知」をアルゴリズムに落し込むことが必要となってきます。これは第3回で詳細を述べる予定です。

 以上、ものづくりに密接に関係する第四次産業革命の起源、およびドイツと米国の状況を見て来ました。第二回では、日本のものづくりと第四次産業革命の現状に付いて述べます。

第16回 経営革新もいいけれど、その前に・・・

長期的に経済が低迷している中で経営の立直しに奮闘している中小企業の経営者は沢山いらっしゃいます。
そういった企業を応援するために政府は経営革新のための補助事業を行っており、それを活用しようとしている企業などもあります。
どの企業も生き残るための方法を検討していますが、外に目を向ける前に、是非、自社の現状について見直してみてください。
新しい事にチャレンジするという事は失敗するというリスクがあります。
そこで私が企業にお勧めしているのが5S活動の徹底です。是非参考にしてみてください。

<5S活動とは>
5S活動を清掃活動だと勘違いしている企業が意外と多くあります。まずは下記について見直してみてください。5Sの定義

そして、5S活動を通じて以下の効果が期待できます。
1)正しい職場環境が整備される。
2)会社の基準やルールが明確になる。
3)従業員が成長する。
これにはすべての従業員が同じ基準で活動をできるようにすることが重要です。



整理を考えてみましょう。整理とは要るモノと要らないモノを判断するための基準が必要になります。
これを決めていない企業がほとんどです。
ところが、整理の前に基準を明確にすることは大変難しいということに気が付くと思います。
そこで、私は企業で5S活動の導入支援を実施する場合、
企業内にモデルエリアを決めてチームと一緒に実践活動をしながら基準を明確にする方法をお伝えしています。
ある企業の導入事例ですが、まずは、チェックシート(HP上にフリーデータがありますので、
それを活用して自社流にアレンジが必要)でチームメンバー各々に現状チェックをお願いします。
以下、参照ください。
ものづくり経営革新への道(5月)

第15回 産学連携の現状と課題

名古屋大学の青色発光ダイオードに見るように、イノベーションの創出には産学連携が欠かせない。しかしながら、日本は米国に比較してこの分野で大きく遅れている。ここでは、日本における産学連携の現状と課題を考察する。

1.米国における産学連携
米国における産学連携は、レーガン政権(1981年~1989年)による強いアメリカ復活の政策としてバイドール法(1980年)が制定されている。
これは、連邦政府の資金で研究開発された発明であっても、その成果に対して大学や研究者が特許権を取得することを認めたもので、研究開発成果を広く活用できるようにすることを可能とした。

米国における産学連携の実態
米国における産学連携の最大の成果は、大学発ベンチャーの創出である。
1980~1999年に米国の大学発ベンチャーは335億ドルの経済的付加価値を創出している。2000年までに創出された大学発ベンチャーは3,376社であり、1社あたりの経済的価値は1,000万ドルである。

1980~1999年に米国の大学発ベンチャーは28万人の雇用を創出した。1社平均83人である。ちなみに、日本の大学発ベンチャーは1社平均10.8人、全体で1万6千人であり、利益の創出も僅かである。

2.日本における産学連携
1)地域新生コンソーシアム事業
1997年から2005年までの間に実施された、本格的な産学連携事業。大学のシーズ、知見を企業に移転し、新産業を育成することを目的としている。大学と複数の地域企業が連携して、研究開発を実施する。しかしながら、研究成果はほとんど実用化されなかった。大学のカルチャーの問題もあり、実用的なテーマが設定されていなかったことが原因と思われる。

2)日本版バイドール法の制定(1999年)
産業技術力強化法第 19条として、米国から20年遅れて制定された。国等の委託 研究発について、開発者のインセンティブを増し、研究開発成果の普及を促進するため、国等の委託研究開発に関する知的財産権を受託者(民間企業等)に帰属させることを可能としたものである。 
このために、国立大学の独立法人化が行われた。

3)TLO(Technology Licensing Organization)の設立
産業技術力強化法第 19 条が制定され、大学等おける技術に関する研究成果(発明や特許等)の民間事業者への技術移転(Technology Licensing)の促進を図ることを主要業務とし、産学連携の仲介役・中核の役割を果たす技術移転事業者が設立される。
基本的に、大学から独立した会社組織で運営されるべきであるが、文科省が知財本部事業を立ち上げて、大学内部に知財本部を設立させる。
大学の知財をめぐり文科省と経産省の縄張り争いが発生する。このため、TLOを大学内の一組織とする内部TLOが誕生する。

3.産学連携の課題
1)日本における産学連携の課題
 産学連携の最大の課題は、大学の閉鎖性
 大学間、学部間、学科間、研究者相互等、多くの連携が不足している。政府が最近推進しようとしている「医・工連携」のような試みは、欧米には存在しない(当然すぎることである)。

2)産学連携に適した研究者の不足
 人間性を含む研究履歴が重要(斉藤九州大学名誉教授)
 適した研究者は工学系研究者の1割程度であり、コーディネータにはこの一割を見抜く力が要求される。

3)産学連携コーディネータに要求される要件
   技術評価能力(知財知識含む)  
   ビジネス評価能力
   経営者とのコミュニケーション能力
   経営者とのコミュニケーション能力

 

第14回 PPAPの商標から学ぶこと

ピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン」の商標について、全く無関係の第三者が先に商標出願していたことは、話題になりましたのでご存知の通りです。このことから我々が学ぶべきこと、そして企業が経営革新を進展させるために大切なブランドを第三者から守るための術を考えてみました。

(1)商標は早いもの勝ち
何といっても、商標は早いもの勝ちであるということです。
もし、先に商標を使っていても、特許庁に申請していなければ、その商標が魅力的であればあるほど、他人に出されるリスクが高くなります。
そして、これまで、他人の先取り出願によって、1)屋号の変更、2)名刺・看板・パンフレット・カタログ・ちらしの差し替え、3)商標を付けたお皿,どんぶり等の差し替え、④ホームページの書き換えを余儀なくされた方々が数多くいらっしゃいます。

(2)ピコ太郎側の申請は、最終的に登録される可能性が高い。しかし、それは、たまたま
第三者による『PPAP』の商標申請が認められる可能性は低く、ピコ太郎さん側の申請は、最終的には晴れて登録になる可能性が高いと予想されます。しかしながら、それは、①ピコ太郎さんの『PPAP』が全国的あるいは世界で広く知られており、②B社の商標取得目的が先取り申請であるとある程度類推できるためです。
全ての人の商標が、ピコ太郎さんのケースと同様に、他人の先取り申請から守れるか?、というと、必ずしもそうとは言い切れないのが実情です。

(3)先取り申請があると、先取り申請が潰れるまで権利にならない
また、先取り申請があると、先取り申請が潰れるまで権利にならない、ということです。そして、長期化すると、登録まで3年以上待つはめになります。

(4)争いは不毛。やはり、使いたい商標は、早く申請するのがベスト
商標申請するにあたって、特許庁への費用のほか、弁理士への費用がネックになりますが、万が一トラブルが生じたら、かかる費用は、その数十倍です。商標申請をトラブル回避の保険とみる感覚も必要です。

(5)企業が経営革新を進展させるために大切なブランドを第三者から守るための術
第三者から守るための術ですが、何といっても、時間をかけてじっくりと検討されたブランド名がある日突然使えなくなったり、少しだけ変えたパクリ品を後発の他社が使い出したりする事態を何としても避ける、ということです。
そのためには、これで売り出すぞ、と決めた商品名については、速やかに商標申請されるということが最大の防御になります。

そして、万が一、他人が先に申請していても、直ちにはあきらめないことです。特許庁は、「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」として、自身の商標申請を直ちに断念しないよう、注意喚起を促しています。
⇒https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

商標申請について、少しでも分からないことがある場合は、商標のプロフェッショナルである弁理士に相談されることをお勧めいたします。

 

第13回 オープンダイアローグと企業支援シスエム

最近、オープンダイアローグが注目されています。オープンダイアローグとは、フィンランド一部地域にて行われている、急性期の精神病患者に対して、連絡後24時間以内に医師、看護士、カウンセラー等が患者の元に集結し患者を含めて会話をしながら治療するシステムです。すべての会話・検討を患者と共に行うので、このような名前になっています。速やかな対応が良好な結果を残しているそうです。

例えば、このようなシステムを企業支援のシステムに応用することはできないでしょうか?
もちろん、企業は患者ではないですが、対応すべき何らかがある点において共通するかもしれません。
例えば、自社で開発して、製造し、販売すること。これは大変重要ですね。
大変ですが、何といっても達成感があります。
しかし、確認すべき点があります。
特許権等の知財は大丈夫?
自社が出願することは任意ですが、製造する製品に関する特許権等を他社が持っていたとしたら。何となく厄介なことになるかも・・・チョット不安ですね。
しかも、「もうすぐ製造」。販売のメドがつき、いけそうなのに。取引先から知財の点で大丈夫かどうか聞かれることはよくあることです。
そんなとき、場合によっては、大丈夫かどうかを確認する作業が必要です。
そこで、弁理士の仕事(弁理士に限りませんが)の一つとして、権利関係等の調査があります。
製造予定の製品を実際に販売しても、特許権等を基に他社から文句を言われそうかどうかを確認します。
調査結果に問題がなければOK。問題があれば一緒に考えましょう。技術面、資金面、生産管理、製造コスト等も同時に検討しなくてならない可能性もあります。そのときには多くのプロフェッショナルが必要になるかもしれません。この点においてオープンダイアローグ的対応が必要かもしれません。
なんといっても「もうすぐ製造」なので時間がありません。
事業をより円滑に進めるために一緒に考えていきましょう。

なお、私事ですが、平成29年1月より、お茶の水内外特許事務所の所長となりました。よろしくお願いいたします。
事務所の場所は虎ノ門です。この場所にいながら、弊所の会議室の稼働率が低いことに気が付きました。会員の方でもし必要であれば、空いている時間に無料でお貸します。12人程度が囲めるテーブルが一つあります。本当に何のお構いもできませんが、よろしければどうぞご連絡ください。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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