ものづくり事業部

第24回 エネルギーとCO2排出からみたEV

中国政府の半ば強制的な普及政策、欧州自動車メーカのディーゼルからの方向転換、日本メーカの開発体制強化など、いまEV(Electric Vehicle:電気自動車)に注目が集まっています。排気ガスもなく静かで充電電気代も少ないと、多くの利点が喧伝されています。車そのものと利用シーンだけを見ればその通りですが、エネルギーとCO2排出を社会的な視点で見ると別の側面が見えてきます。

車を走らすにはエネルギーが必要です。EVは電気でガソリン車は化石燃料が走行エネルギーですが、どちらもエネルギーフローを経て我々の手元に届いています。このフローに着目してEVとガソリン車(ハイブリッド車)を比較してみます。(ガソリン車がガソリン車であり続けるとすると、エネルギー高効率化とCO2排出抑制の点でハイブリッド化は一つの有力解です。)

最新のEVには40kWhの蓄電池搭載で400kmと長い航続距離を誇るものがあります。一方ハイブリッド車は航続距離と言うよりも燃費が基準になり、その中でも優れた燃費を持つものは40.8km/Lを誇ります。エネルギーの単位は遙か昔に中学か高校で習ったJ(ジュール)です。1kWhは3.6MJ(メガジュール)で、ガソリン1Lは34.6MJのエネルギーがあります。これを元に1km当たりの走行エネルギーを比較すると、
EVは3.6MJ x 40 ÷ 400km=0.36 MJ/km ハイブリッド車は34.6MJ ÷ 40.8km =0.85 MJ/kmとなります。

EVは同じ距離を走るのにハイブリッド車の約40%のエネルギーですむ計算です。これだけ見ると素晴らしいエネルギー効率ですが、この効率は蓄電池と燃料タンクにエネルギーが充填されてからの効率で、充填されるまでのエネルギーの損失を計算に入れる必要があります。一般的に発電に投入されるエネルギーは40%程度が我々需要家の手元に届きます。EVを1km走らすために発電へ投入されるエネルギーは 0.36 ÷ 0.40=0.9 MJ となります。更に蓄電池では充電時に損失があります。
EVの充電の効率を85%と見ると 0.9 ÷ 0.85=1.06MJとなります。

ハイブリッドが0.85 MJですので、数値が逆転します。原子力が殆ど停止している今、日本における発電はわずかな再生可能エネルギー(水力、風力、太陽光)を除くと殆どが化石燃料によるものです。EVもハイブリッドも、燃やすところが発電所かエンジンかで、化石燃料がエネルギー源である点に変わりがありません。EVは発送電による損失がありハイブリッド車にはそれがないため、EV本体の効率が良くても大元の投入エネルギーに対する効率はハイブリッド車に負けるということが起きるのです。

ところでCO2排出の視点ではどうでしょうか。環境省は電気事業者別のCO2排出係数というものを毎年発表しています。電気事業者毎の1kWhを作り出す時に排出するCO2の量です。電気事業者によって異なるのですが、概ね0.00055トン=0.55kg程度と考えられます。一方ガソリンのCO2排出量は2.32kg/Lとなっています。1km走るときのCO2排出量を計算すると
EVは                         0.55kg/1kWh=0.55kg/10km=0.055kg/km、
充電損失を考慮して 0.055kg/km/0.85=0.065kg/km
ハイブリッド車は       2.32kg/L=2.32kg/40.8km=0.057kg/kmとなります。
CO2排出でもハイブリッド車が優れているという計算です。

以上エネルギー効率とCO2排出を見てきましたが、EVはこの点で決して優れてはいないのです。EVの普及を進めると社会全体のエネルギー消費とCO2排出が増えてしまうという、イメージとは逆のことが起き得るのです。中国では国策でEVを推進していますが、石炭火力が多いため大気汚染とCO2排出に拍車がかかるのではと危惧されます。

効率とCO2排出に優れた再生可能エネルギーに発電が置き換わっていけばEVの社会的な価値は向上します。それまでの間は優れた燃費のハイブリッド車を使うというのが社会的には良いのではと筆者は思っています。

 

 

 

 

 

第23回 「農業未来年表」

信頼できる人口予測によれば、2100年、日本の人口は明治維新の頃の3300万人に限りなく近づき、高齢化率は40%を超え、東洋の小国に逆戻りする。一方、インド15億人、アルジェリア8億人と人口爆発し、移民の国米国は4億人、美・食・愛の国フランスは7000万人に拡大する。中国は3億人減少して10億人規模となる。
地球温暖化は進行しており、2℃上昇すると、インド、アフリカ、中国等、砂漠化が拡がり、干ばつによる食糧危機が起こるとみられる。

さて、近未来の日本の農業について述べてみよう。農家数は、現在の3分の1以下、42万戸程度に減ると推測した。

農家数推移予測農業産出額は、2014年8.4兆円、1984年11.7兆円、生産農業所得は、2014年2.8兆円で、1984年4.5兆円と、大きく低下している。現在の状況としては、助成金、補助金等政策的な拠出金は、4兆円近くになる。食料自給率はカロリーベースで39%と、日本の基本穀物の生産高は、途上国に輸出できる状態ではない。   

現在就農者の平均年齢は67歳になっている。先進国のフランス、ドイツ、米国等の農業経営者の平均年齢は40、50代半ばで、農産物市場は開放されており、商品開発がしっかりしている。しかし、日本の40、50代層は、青年期に消費社会を迎え、就農するより会社員生活を選んだ。都市近郊農家では多くが兼業農家になった。
おそらく、10年後には就農者数は激減し、このままでは農業産出額は国民の需要を満たせなくなるほど低下してしまう。将来の日本は、食料輸入がひっ迫し、戦後のような食糧危機の再来が懸念される。

今、日本農業は転換期、イノベーションが必要とされている。しかし十分対応できていない。
45歳までの新規就農支援制度で、農業に取り組みやすくなった。3年間の所得補償、低利の貸付等、農業に参入する環境は整っている。しかし、途中で離農する者も多い。定着するのは1万人程度である。
農業は、新しい仕組みを取り入れ、脱皮しなければならない。大規模化、六次化、生産性向上といった農業改革に迫られている。新しい時代の農業は、家業から農業ビジネスに転換しなければ成り立たない。様々な農業ビジネスモデルが生まれると予想できる。その萌芽として、二つの事例を紹介する。

一つ目は、、イオンアグリに代表される。全国に圃場や次世代園芸施設を有し、生産から販売まで一貫したリテール型(製造小売)農業モデルを展開している。似たモデルとして、ワタミ、カゴメがある。どのような農産物がいつどれくらい必要なのか、そのためにどうするのかといった基本的なことがビジネスモデルに組み込まれ、農業ビジネスとして、さらに進化しつつある。
二つ目は、 地産地消六次産業型農業で、各地に、特徴的な成功事例が続出している。地域の生産者が、その地域に適した農産物、伝統的に作ってきた農産物を、その地域の消費者に適した商品として提供するビジネスモデルで、新鮮さや風土になじんだ美味しさが、地域還流の経済にも適している。地域ごとに、お金が落ちて、地域の中で回る経済が、地域の活性化にも貢献している。
以上、二つのモデルは、マーケティングを主流にしたビジネスモデルで、大きくとらえれば、これからは顧客志向型農業をめざすべきといえる。以上、将来の主流となる農業のモデルを示した。

第22回 最近の生産管理事情

現役のサラリーマン生活を卒業してから9年を経過した。後を託した後輩も定年退職となったので、後輩の退職祝いを兼ねて昔の仲間が集まり、昔話に花が咲いた。私が就社した会社は某大手印刷会社であり、配属先は工場の生産管理部であった。

 (1)1970年代
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5年前の工場の生産管理(1970年代)と言えば、一つの課に一つの大きな卓上計算機が机の大きな面積を占めている状態で、各人はソロバン・鉛筆・消しゴムで計算・仕事をしていた。

1970年代の米国の先導的な企業では、生産管理方式としてMRP(資材所要量計画)を採用し、ある期間に必要な生産量や在庫・材料がいくらになるのか、といった計画全体の管理から各生産工程を管理していた。その特徴は、部品単位での管理を行う点で、MRPの実行においてはコンピュータの活用が前提とされ、多数にわたる部品の調達生産計画を円滑にするために開発された。しかし、当時私が在籍していた会社の環境は「どこの世界の話」といった状況であった。

 日本では1970年代になって、生産や在庫のムダを省いた効率的な生産体制を、大野耐一氏を中心として作り上げ、「トヨタ生産方式」として高度な完成を見た。そのポイントは、後工程から前工程に対し、運搬・生産の要求を行う「後工程引き取り型」の方式で、上述のMRPのような「計画先導型」の生産管理方式とは大きく異なっていた。当時、「さすがトヨタだ」ともてはやされ、生産管理を良く理解できていない上司(工場長)から、外部セミナーへの参加や内部の勉強会を強要された。

 (2)1990年代
1990年代になると、コンピュータの高度化や市場ニーズの多様化等、様々な要因により生産管理方式も多様化していった。特に有名なのは、パソコンメーカーのデルが始めた発注を受けてから生産を開始するBTO(Build to Order)であり、カンバン方式が企業間取引まで拡張されたSCM(Supply Chain Management)の概念、MRPの考え方が製造現場の人的設備的資源まで拡張されたMRP2(Manufacturing Resource Planning)、さらには企業全体を管理対象とするERP(Enterprise Resource Management)パッケージの登場など、進化を続けてきた。この時期の最大出来事は、パソコンが普及し、一人1台が当たり前になってきた。

 (3)大企業の生産管理システム
日本の多くの大企業が、MRPやMRP2をベースにしたERP生産管理システム導入にチャレンジしてきたが、大幅なカスタマイズなしに、本格的に導入できた企業は多くない。なぜ、日本企業には難しいことが、米国企業には対応できるのか。その根底には両者の生産管理に関する取り組む姿勢に違いがあると言われている。ERPパッケージの導入においては「できるだけパッケージの機能に合わせてカスタマイズしないようにすることが大事だ」と言われているが、日本企業ではこの原理原則が忘れ去られることが多く、現場主導の何だがわからない生産管理システムが構築されがちであった。結果として、単なる「生産指示システム」としてしか活用されない生産管理システムも数多く存在すると聞く。私が在籍した職場の生産管理システムも、生産計画・生産指示・原価管理等すべてにおいて中途半端で、イヤイヤ使っていた。

(4)中小企業の生産管理システム、
ノークリサーチ社は、2016年の国内中堅中小市場における生産管理システムの導入社数シェアとユーザー評価に関する調査結果を発表した。日本全国、全業種の500億円未満の中堅中小企業を対象にしたもので、有効回答件数は1300社であった。

調査によると、年商500億円未満の中堅中小企業ですでに導入済の生産管理システム(複数回答可)は、「GLOVIA smart製造」などを提供する富士通がトップで、「EXPLANNER/J」などを提供するNEC、「生産革新シリーズ」などを提供する大塚商会、「iSeries Site」などを提供する日本IBMが続いている。

ノークリサーチ社によると、パッケージを採用する場合であっても独自のカスタマイズが加わることが少なくないと指摘し、販売管理や在庫管理に関連する業務の強化・改善を求める声もあり、販売管理システムをベースに個別のカスタマイズを加えて生産管理システムとして利用するほうが利用企業のニーズに合致しやすいと解説している。

 (5)後輩の述懐
工場は「見込生産」か「受注生産」かで、大きく異なる。「見込生産」では「在庫」が、「受注生産」では「納期」が最大の管理ポイントである。私が在籍していた工場は100%受注生産で、常に「納期」と格闘していた。これは昔も今も変わらない。

 「納期」最優先、工場からは「こんな日程じゃ無理!」、営業からは「こんな日程じゃ間に合わない!」。後輩は、両者の「サバ読み」という心理作戦に疲れたという。特に営業のサバ読みは、お客様のサバ読みより大きく、急いで生産したのに、月末在庫になっているのを見て、激怒した例は多々あったという。

 営業にもいろいろな人間がいて個性がある。「良い営業」もいれば「悪い営業」もいる。良い営業は、得意先の在庫を知っていて、お客様の生産計画をつかんでいるから、先手で情報を入れてくる。普通の営業は、気が利いていてそこそこ情報を入れてくる。悪い営業は、いつも切羽つまらないと連絡してこない。嫌な営業は、工場出身者で工場のことを良く知っているので、現場に直接電話をかけてきて、「あれ、できるよね」と根回ししておいて、生産管理に「現場はできるよ」と言ってくる。それ以来、営業から現場への直接連絡を禁止にしたという。

 営業とうまく付き合うには、やはりある程度の信頼関係が必要で、営業も工場も互いにサバを読み合うが、継続的に顧客満足を高めていくためには、営業から正しい情報を引き出し、工場も正確な情報を発信することが大事であることは言うまでもない。なぜなら、「サバ情報」で生産管理システムは確実にパンクする。

 職場にしろ、学校にしろ、「人が集まる場所」には様々なタイプが存在する。考えや価値観や性格も異なる者が集まるので、うまく擦り合わせてまとめ上げる作業も一苦労で、何かとストレスが溜まる。そんな中、「人の性格を図るツール」として取りあげられるのが「血液型」で、実際に「4タイプ」しかないので、信ぴょう性に疑問符が付くが、「血液型による性格判断」がポピュラーなのは日本とアジアの一部の地域らしい。しかし、結構酒場の話としては盛り上がる。

 「あいつ、やっぱりA型か!」こんなセリフを吐く機会は?もしくは、「AB型、どうりで相性が悪い!」等と「個人間の尺度」は血液型が主流になるぐらい浸透している。しかし、納得する部分があることも確かである。話は弾み、「生産管理は何型が適正か?」になった。

 (6)血液型の特徴は?

【A型】真面目で几帳面。責任感が強く、堅実で努力家。反面、その真面目さが故に人間関係で拗れやすい部分もある。
【B型】マイペースで楽観的。好奇心が旺盛で興味のある事は、とことん突き詰めるタイプ。集中力は高いが、一旦切れるとヤル気を露骨に失う。
【O型】社交的であり、親分肌の面を持つ。それだけに皆をまとめるリーダーシップがある反面、プライドが高く扱い辛い面も。また独特の拘りがあり、頑固な面も併せ持つ。
【AB型】現実的に物事を捉える為、クールに見られる。また発言等も天邪鬼的な印象を与えるので、一般的に取っ付きにくい印象を持たれている。

あくまで一般的に言われてることなので、上記の解説が全てとは限らないが、私はAB型であり、後輩もAB型であった。参加メンバー5人中3人がAB型、2人がA型であった。決して血液型を先入観で捉えるわけではないが、職場に落とし込んでみると、かなり「該当」している部分もあり、血液型によって「向いてる仕事」が存在するのではないかと思う。

【A型】総務・経理・生産管理・在庫管理・製造
【B型】企画開発・商品開発・宣伝
【O型】営業・販売・貨物運搬
【AB型】事業推進・苦情処理・広報

(7)まとめ
果たして生産管理に適した血液型は何型か?モノづくり文化の中で、おそらく最も地味な役回りを演じているのが生産管理部門で、日々待ったなしの生産管理の仕事は困難の連続であるが、最終的にお客様に迷惑をかけることなく、工場の利益を出し、「自分はよくやった」と誇れる瞬間があれば、血液型が何型であろうと、幸せである。

第21回 初めてのシステム開発発注

1.はじめに
中小企業での業務改善や商品開発にはシステム開発を伴うことが多い。システム開発は緻密で根気がいる作業であり、中々とは容易な作業ではありません。ましてや外部のIT会社に発注する場合には、法務、購買、プロジェクト管理などの基本知識が必要です。
今回は中小企業が外部のIT会社にシステム開発を初めて発注する際の、必須の実施事項、注意点を説明します。

2.システム開発発注の流れ
システム開発発注の基本的な流れは次の通りです。
2-1.見積依頼 → 2-2.発注 → 2-3.システム開発 → 2-4.検収
以下に、順を追って各々の押さえる勘所を説明します。

2-1.見積依頼
(1)予算
1)予算額
初めて発注する場合は、失敗などのリスクを考えて、最高でも年商の5%、すなわち売上が10億円であれば500万円ぐらいを限度とした方がよいでしょう。
2)費用対効果
システム化により収益がいくら見込めるか、費用はいくら削減できるか、十分に検討しましょう。希望的予測は厳禁です。
3)パッケージ利用も選択肢
全てを自作するのではなく、市販のパッケージを積極的に組み込むことにより開発費を削減します。パッケージ導入に伴う業務手順の変更は、大抵の場合は業務改善に繋がる傾向にあります。

(2)見積依頼
1)IT会社の選定基準
・年商
1兆円超のNTTデータ等の超大手、数千億円のNRI等の大手はまず先方が商談に乗ってきません。中小企業が見積を依頼する会社は、数百億円~数億円すなわち準大手~中堅クラスとなります。
・エンドユーザとの直接取引実態
IT会社の会社概要やHPの取引先を確認します。超大手や大手の多段階下請けとして一部分を任されてシステム開発しているのか、あるいは直接エンドユーザ(お客様)と契約してシステム開発しているかを確認します。もちろんエンドユーザと直接取引しているIT会社を選びます。さらに納入実績にお客様実名で記載があれば安心です。
・業種/業務に特化
同じくIT会社の会社概要やHPから、得意とする業種/業務分類があるか確認します。例えば単なる製造業ではなく、精密密機械器具製造業のような記載があれば特化していると信用できます。
・紹介ルート
同業者、金融機関、コンサルタントからの紹介、インターネット検索など様々ありますが、第一優先は同業者からの口コミです。
・地元密着/全国展開
地元でお客様の要望に迅速にこまめに応じている、最後まで逃げないIT会社を選びます。
・システム開発範囲
単なるプログラム製造ではなく、基本設計からテストまで、さらには運用(維持管理)まで請け負うIT会社が望ましい。但し、初めての発注の場合は詳細設計から総合テストまでなど範囲を狭めて納期遅延などのリスクを少なくします。

(3)見積依頼書
以下の項目記述は最低限必要です。必ず複数のIT会社に相見積してもらいます。
1)予算
概算なのか、限度額なのか明記する。概算の場合は予算確定時に金額が膨れます。
2)見積期限
年月日さらに必要であれば時刻まで厳格に記述します。
3)工期
開発開始の年月日から納品の年月日を記述します。
4)システムの機能要件
システムの機能の理解に行き違いがないように具体的な業務フロー及び機能図など見える化して提示します。
5)開発場所
システム開発する場所や環境を明記する。
6)IT会社の再委託
原則禁止します。
7)納品場所
具体的に工場、物流センターなどを指定します。
8)相見積
必ず複数社に相見積を依頼します。
   
(4)見積書
IT会社から受領する見積書は以下の項目のチェックが必須です。
1)前提条件
自社が想定していない前提条件をIT会社が盛り込んでいないか確認します。もし、そのような前提条件がある場合には内容、理由を質します。承服できない場合は再度見積させます。例としては、見積有効期限、端末レスポンス時間や検索時間などの性能条件です。    
2)見積機能範囲
見積依頼したシステムの機能に対して、見積機能に過不足はないか確認する。IT会社に実現する業務フローや機能図の提示を求めて過不足がないようにします。
3)見積方法
見積方法には大きく2通りあります。
・プログラムステップ方式
 プログラムのステップ(行)数から開発規模を算出する方法です。
・ファンクションポイント方式
画面や処理などの機能の複雑さに応じて点数をつけて開発規模を算出する方法です。
4)見積詳細内訳
工程、機能、プログラム 等々の項目分けで開発規模、開発工数が詳細に記述されているか確認します。
5)人月
開発工数の単位であり、標準的な技術者が1ヶ月に20日間稼動した場合を1人月と定義しています。
6)人月単価
1人月の金額を表します。準大手~中堅クラスのIT会社では70万円から100万円ぐらいが通常です。但し、金額の絶対額ではなく1人月あたりの生産性を考慮する必要があります。
7)納品物件
納品物件の種類と内容を確認します。例としては、開発工程が設計から本番稼動までの場合は、基本設計書、詳細設計書、プログラム、テスト成績書、操作・運用説明書等です。

2-2.発注
(1)基本契約書
特定の取引先と反復継続的な取引に共通する基本的な取り決めを定めて必ず締結します。契約締結は一度だけで自動更新規定を付けます。
基本契約書の取り決め事項は以下の通りです。
1)代金の支払条件、2)納品方法、3)納品物件の検収方法、4)知的財産権、5)秘密保持義務、6)契約解除事由、7)損害賠償、8)有効期間、9)合意管轄裁判所
代表的な基本契約書の雛形を挙げておきます。
   
JISA ソフトウェア開発委託基本モデル契約書(平成20 年5 月版)
http://www.jisa.or.jp/Portals/0/resource/legal/download/contract_model2008.pdf

(2)基本契約の重要事項
以下の事項はIT会社と厳格に交渉して、締結する必要があります。
1)納品物件の検収方法
確実に検収が実施できるように基準、期間を明確にします。
2)瑕疵担保責任
システム開発物件に瑕疵があった場合の修補責任範囲、損害賠償範囲、損害賠償金額、瑕疵担保責任期間(通常1年)を定めます。
3)知的財産権
自社の知財戦略に則って、著作財産権の自社への譲渡規定、著作人格権はIT会社不行使規定、特許権の自社帰属規定を決定する。関連してプログラム、文書等は納入物件に必ず含めます。
4)機密保持義務
開発上知り得た自社固有の技術上、その他の業務上の機密の開示漏洩禁止を規定します。IT会社の再委託を認める場合や中国など外国企業に発注する場合は特に重要です。

(3)個別契約書(注文書・注文請書)
基本契約書の締結後、個々のシステム開発物件について、以下の事項を規定して個別契約書を締結します。通常は個別契約書を作成しないで、「注文書」と「注文請書」の形で取引きすることがほとんどです。1)代金、2)納期、3)納入物件、4)納入場所、5)特約事項

2-3.システム開発
以下の通りの工程の流れに従って進みます。
(1)基本設計
利用者に提供する機能や操作などを定義する工程です。画面や操作方法(ユーザインターフェース)や、帳票類、データベースの構造などを決めます。外部設計と呼ぶ場合もあります。
(2)詳細設計
基本設計で定義した機能や画面・操作などに基づいて、プログラムやシステムとしてどのように実現するかを具体的に定義する工程です。内部設計と呼ぶ場合もあります。
(3)製造
内部設計で定義したプログラムを具体的にプログラム言語を使用してプログラムを作成、正しく動くかテストする工程です。プログラム開発、単体テストなどより細分化して呼ぶ場合もあります。   
(4)テスト
製造の工程でテストしたプログラムを1)連結して正しく動くか、2)システムとして正しい機能を実現しているか、テストする工程です。1)を連結テスト、2)を総合テスト、システムテストと呼ぶ場合もあります。
(5)運用
実際の現場でシステムを稼動して業務遂行する工程です。システムの稼動により、以下の業務が発生します。1)システムを実際に動かすオペレーション(操作)、2)システムを障害監視して維持管理するメンテナンス(保守)、3)システムに関する問い合わせに対応するサポート

2-4.検収
納品されたシステムの機能や動作を検証し、自社の仕様を満たしているかどうかを判定する作業です。検収合格となれば、IT会社に最終的な費用を支払います。
検収で重要なポイントは以下の通りです。
(1)検収期間は短期間として、迅速に行う。
 検収内容が多い場合は、中間の工程の要所要所で段階的に検収を実施しておきます。
(2)検収は必ず実際の本番稼動環境で実施する。
 1)本番データを使用して検収します。2)接続端末、印刷帳票、時間帯など最大稼動状況を考慮して検収します。   
(3)予めIT会社と自社で検収項目を合意しておく。
 基本設計の終了時点で業務フローや運用手順書に沿った検収項目を作成しておきます。
  
3.まとめ
(1)小さく産んで大きく育てる。
費用対効果が見込める範囲で、小さな予算・規模・機能の開発に絞り込み、実際の運用や環境変化に応じて段階的に大きく改善していく。
(2)自社とIT会社はパートナーである。
システム開発作業は最善の準備を尽くしても、ゴールまでの道のりは障害の連続です。自社とIT会社は厳密な契約の下、
二人三脚で一体となってシステムの正常稼動を達成を目指さなければなりません。
(3)システムは開発2割、運用8割である。
自社にとってはシステムを開発することが重要ではなく、システム稼動後の更なる業務改善、効率向上が永続的な最終目的です。

第20回 「ものづくりはひとづくり」

大企業でも、中小企業であっても、モノ作りをになうのは最終的には人であると言われています。よほど汎用性のあるものでない限り、ほとんどの場合で最終的にモノを作るためには人の手が関わってきます。ということは、モノづくりは「人づくり」であるといっても、過言ではないということになります。今回は「人を作る」つまり、人材育成について考えてみたいと思います。

1.人は資源か資産か
大辞泉を調べると「資源」は、広く産業上利用しうる物質や人材とあり、「資産」では、個人や企業が所有する財産と説明されています。いずれにしても、人は経営資源の一つに違いはありません。
人を資源と捉えると次のような特徴が考えられます。手を加えると価値が上がっていくが、加え方を間違えると逆に価値が下がっていく。入手した時点から価値が上がっていく資源であるが、組み合わせにより力を出したり出さなかったりする。日によって調子が変わりやすい。非常に扱いが難しい資源だと言われています。

2.人的資源の動機づけ理論
アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが人間に対する分析を行い、「動機づけ・衛生理論」を提唱しています。人間には2種類の欲求があり、苦痛を避けようとする動物的な欲求と心理的に成長しようとする人間的な欲求という別々の欲求があるとしています。
言いかえると苦痛を避けようとする動物的な欲求をいかに充足しても、人間は不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加させることはない。また、たとえ心理的に成長しようとする人間的欲求を十分に満たすことができなくても、不満足感が増加するわけではないと述べています。つまり、仕事の満足感を引き起こす要因と不満を引き起こす要因とは違うということなのです。
不満要因(衛生要因)をいくら取り除いても、満足感を引き出すことにはつながらず、不満足感を減少させる効果しかなく、仕事自体の満足感を引き出すには「動機づけ要因」にアプローチしなくてはいけないということです。
少し極端に言うとすれば、給料をいくら多く出しても、人間は、直ぐに当たり前だと思うようになるので、給料を多くするだけでは駄目だということです。仕事の満足感を与えようとするならば、その人間にある仕事を任せて、その達成度を評価してあげるということをすれば、人は成長していくということを述べています。成長するということは、人は自らが考えて、自分で問題点の解決策を発見していくことだと言えます。

3.人を資産と捉える
アメリカの経営学者のピーター・ドラッカーは、人こそ最大の資産であると著書のなかで述べています。人のマネジメントとは、人の強みを発揮させて生産に結び付けることであり、また、人の弱みを中和させることであると述べています。ここでいうマネジメントは「管理」という意味でなく、組織に人を適材適所で「配置すること」であるとしています。また、彼は人材を資産と考えたとしても、人は企業の所有物ではなく清算するものでもないと述べています。
人は共に働く人たちを生かすべきものとして捉えることであり、その強みが成果に結びつくよう人を配置すべきであると説明しています。ドラッカーだけが経営学者ではありません。しかし、人材育成とはどのようにするべきなのかという課題のヒントにはなると言えます。

4.イノベーション(革新)を起こす
中小企業は、大企業に立ち向かうのではなく、いかにして、大企業と戦わずに勝利をおさめるかということを常に考えていなくてはなりません。人、モノ、金、情報である経営資源が乏しい中小企業は、競争市場の中で戦っていくためにさまざまな工夫が必要となってきます。
戦っていく武器のひとつにイノベーション(革新)を起こすという考え方があります。この革新は、人の頭の中からしか生まれてこないのが特徴です。どこに問題点があるのかをいつも考える習慣が、人の頭の中にないとこの革新という発想は決して生れ出てきません。どんなに多くの人間がいても駄目です。
多能工化している中小企業では、このチャンスに恵まれていると考えることができます。「人をつくる」ということは、重要であると再認識できます。
小さな工夫をするということは、革新を起こすことに他ならないのです。人材を育成するということは、この革新を生み出すために必要なことであると言い切ることができます。モノ作りを極めるためにも、人材を育成することはイノベーションを起こすために重要なことなのです。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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