ものづくり事業部

第16回 経営革新もいいけれど、その前に・・・

長期的に経済が低迷している中で経営の立直しに奮闘している中小企業の経営者は沢山いらっしゃいます。
そういった企業を応援するために政府は経営革新のための補助事業を行っており、それを活用しようとしている企業などもあります。
どの企業も生き残るための方法を検討していますが、外に目を向ける前に、是非、自社の現状について見直してみてください。
新しい事にチャレンジするという事は失敗するというリスクがあります。
そこで私が企業にお勧めしているのが5S活動の徹底です。是非参考にしてみてください。

<5S活動とは>
5S活動を清掃活動だと勘違いしている企業が意外と多くあります。まずは下記について見直してみてください。5Sの定義

そして、5S活動を通じて以下の効果が期待できます。
1)正しい職場環境が整備される。
2)会社の基準やルールが明確になる。
3)従業員が成長する。
これにはすべての従業員が同じ基準で活動をできるようにすることが重要です。



整理を考えてみましょう。整理とは要るモノと要らないモノを判断するための基準が必要になります。
これを決めていない企業がほとんどです。
ところが、整理の前に基準を明確にすることは大変難しいということに気が付くと思います。
そこで、私は企業で5S活動の導入支援を実施する場合、
企業内にモデルエリアを決めてチームと一緒に実践活動をしながら基準を明確にする方法をお伝えしています。
ある企業の導入事例ですが、まずは、チェックシート(HP上にフリーデータがありますので、
それを活用して自社流にアレンジが必要)でチームメンバー各々に現状チェックをお願いします。
以下、参照ください。
ものづくり経営革新への道(5月)

第15回 産学連携の現状と課題

名古屋大学の青色発光ダイオードに見るように、イノベーションの創出には産学連携が欠かせない。しかしながら、日本は米国に比較してこの分野で大きく遅れている。ここでは、日本における産学連携の現状と課題を考察する。

1.米国における産学連携
米国における産学連携は、レーガン政権(1981年~1989年)による強いアメリカ復活の政策としてバイドール法(1980年)が制定されている。
これは、連邦政府の資金で研究開発された発明であっても、その成果に対して大学や研究者が特許権を取得することを認めたもので、研究開発成果を広く活用できるようにすることを可能とした。

米国における産学連携の実態
米国における産学連携の最大の成果は、大学発ベンチャーの創出である。
1980~1999年に米国の大学発ベンチャーは335億ドルの経済的付加価値を創出している。2000年までに創出された大学発ベンチャーは3,376社であり、1社あたりの経済的価値は1,000万ドルである。

1980~1999年に米国の大学発ベンチャーは28万人の雇用を創出した。1社平均83人である。ちなみに、日本の大学発ベンチャーは1社平均10.8人、全体で1万6千人であり、利益の創出も僅かである。

2.日本における産学連携
1)地域新生コンソーシアム事業
1997年から2005年までの間に実施された、本格的な産学連携事業。大学のシーズ、知見を企業に移転し、新産業を育成することを目的としている。大学と複数の地域企業が連携して、研究開発を実施する。しかしながら、研究成果はほとんど実用化されなかった。大学のカルチャーの問題もあり、実用的なテーマが設定されていなかったことが原因と思われる。

2)日本版バイドール法の制定(1999年)
産業技術力強化法第 19条として、米国から20年遅れて制定された。国等の委託 研究発について、開発者のインセンティブを増し、研究開発成果の普及を促進するため、国等の委託研究開発に関する知的財産権を受託者(民間企業等)に帰属させることを可能としたものである。 
このために、国立大学の独立法人化が行われた。

3)TLO(Technology Licensing Organization)の設立
産業技術力強化法第 19 条が制定され、大学等おける技術に関する研究成果(発明や特許等)の民間事業者への技術移転(Technology Licensing)の促進を図ることを主要業務とし、産学連携の仲介役・中核の役割を果たす技術移転事業者が設立される。
基本的に、大学から独立した会社組織で運営されるべきであるが、文科省が知財本部事業を立ち上げて、大学内部に知財本部を設立させる。
大学の知財をめぐり文科省と経産省の縄張り争いが発生する。このため、TLOを大学内の一組織とする内部TLOが誕生する。

3.産学連携の課題
1)日本における産学連携の課題
 産学連携の最大の課題は、大学の閉鎖性
 大学間、学部間、学科間、研究者相互等、多くの連携が不足している。政府が最近推進しようとしている「医・工連携」のような試みは、欧米には存在しない(当然すぎることである)。

2)産学連携に適した研究者の不足
 人間性を含む研究履歴が重要(斉藤九州大学名誉教授)
 適した研究者は工学系研究者の1割程度であり、コーディネータにはこの一割を見抜く力が要求される。

3)産学連携コーディネータに要求される要件
   技術評価能力(知財知識含む)  
   ビジネス評価能力
   経営者とのコミュニケーション能力
   経営者とのコミュニケーション能力

 

第14回 PPAPの商標から学ぶこと

ピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン」の商標について、全く無関係の第三者が先に商標出願していたことは、話題になりましたのでご存知の通りです。このことから我々が学ぶべきこと、そして企業が経営革新を進展させるために大切なブランドを第三者から守るための術を考えてみました。

(1)商標は早いもの勝ち
何といっても、商標は早いもの勝ちであるということです。
もし、先に商標を使っていても、特許庁に申請していなければ、その商標が魅力的であればあるほど、他人に出されるリスクが高くなります。
そして、これまで、他人の先取り出願によって、1)屋号の変更、2)名刺・看板・パンフレット・カタログ・ちらしの差し替え、3)商標を付けたお皿,どんぶり等の差し替え、④ホームページの書き換えを余儀なくされた方々が数多くいらっしゃいます。

(2)ピコ太郎側の申請は、最終的に登録される可能性が高い。しかし、それは、たまたま
第三者による『PPAP』の商標申請が認められる可能性は低く、ピコ太郎さん側の申請は、最終的には晴れて登録になる可能性が高いと予想されます。しかしながら、それは、①ピコ太郎さんの『PPAP』が全国的あるいは世界で広く知られており、②B社の商標取得目的が先取り申請であるとある程度類推できるためです。
全ての人の商標が、ピコ太郎さんのケースと同様に、他人の先取り申請から守れるか?、というと、必ずしもそうとは言い切れないのが実情です。

(3)先取り申請があると、先取り申請が潰れるまで権利にならない
また、先取り申請があると、先取り申請が潰れるまで権利にならない、ということです。そして、長期化すると、登録まで3年以上待つはめになります。

(4)争いは不毛。やはり、使いたい商標は、早く申請するのがベスト
商標申請するにあたって、特許庁への費用のほか、弁理士への費用がネックになりますが、万が一トラブルが生じたら、かかる費用は、その数十倍です。商標申請をトラブル回避の保険とみる感覚も必要です。

(5)企業が経営革新を進展させるために大切なブランドを第三者から守るための術
第三者から守るための術ですが、何といっても、時間をかけてじっくりと検討されたブランド名がある日突然使えなくなったり、少しだけ変えたパクリ品を後発の他社が使い出したりする事態を何としても避ける、ということです。
そのためには、これで売り出すぞ、と決めた商品名については、速やかに商標申請されるということが最大の防御になります。

そして、万が一、他人が先に申請していても、直ちにはあきらめないことです。特許庁は、「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」として、自身の商標申請を直ちに断念しないよう、注意喚起を促しています。
⇒https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

商標申請について、少しでも分からないことがある場合は、商標のプロフェッショナルである弁理士に相談されることをお勧めいたします。

 

第13回 オープンダイアローグと企業支援シスエム

最近、オープンダイアローグが注目されています。オープンダイアローグとは、フィンランド一部地域にて行われている、急性期の精神病患者に対して、連絡後24時間以内に医師、看護士、カウンセラー等が患者の元に集結し患者を含めて会話をしながら治療するシステムです。すべての会話・検討を患者と共に行うので、このような名前になっています。速やかな対応が良好な結果を残しているそうです。

例えば、このようなシステムを企業支援のシステムに応用することはできないでしょうか?
もちろん、企業は患者ではないですが、対応すべき何らかがある点において共通するかもしれません。
例えば、自社で開発して、製造し、販売すること。これは大変重要ですね。
大変ですが、何といっても達成感があります。
しかし、確認すべき点があります。
特許権等の知財は大丈夫?
自社が出願することは任意ですが、製造する製品に関する特許権等を他社が持っていたとしたら。何となく厄介なことになるかも・・・チョット不安ですね。
しかも、「もうすぐ製造」。販売のメドがつき、いけそうなのに。取引先から知財の点で大丈夫かどうか聞かれることはよくあることです。
そんなとき、場合によっては、大丈夫かどうかを確認する作業が必要です。
そこで、弁理士の仕事(弁理士に限りませんが)の一つとして、権利関係等の調査があります。
製造予定の製品を実際に販売しても、特許権等を基に他社から文句を言われそうかどうかを確認します。
調査結果に問題がなければOK。問題があれば一緒に考えましょう。技術面、資金面、生産管理、製造コスト等も同時に検討しなくてならない可能性もあります。そのときには多くのプロフェッショナルが必要になるかもしれません。この点においてオープンダイアローグ的対応が必要かもしれません。
なんといっても「もうすぐ製造」なので時間がありません。
事業をより円滑に進めるために一緒に考えていきましょう。

なお、私事ですが、平成29年1月より、お茶の水内外特許事務所の所長となりました。よろしくお願いいたします。
事務所の場所は虎ノ門です。この場所にいながら、弊所の会議室の稼働率が低いことに気が付きました。会員の方でもし必要であれば、空いている時間に無料でお貸します。12人程度が囲めるテーブルが一つあります。本当に何のお構いもできませんが、よろしければどうぞご連絡ください。

第12回 何故品質トラブルはなくならないのか?リスクアセスメントの勧め

大企業の製品リコールが度々発生しています。何故品質トラブルはなくならないのでしょうか?多くのものづくり企業は、技術力を駆使した製品を開発生産して販売しています。市場品質トラブルが発生すると多額の処理コストが発生して、経営に大打撃が当たってしまいます。どうやって大品質トラブルを防止したり、減らしたら良いのでしょうか?

まず第1は、人や機械はたまにミスやエラーを起こすという前提で対応することです。生産工程への適用を「検査」といい、設計工程への適用を「デザインレビュー(DR)」と言います。検査を自動化する例が増えていますが、検査・DR共にプロセス担当者以外に第3者(機械を含む)が検査・DRを行うことが、不良流出を防ぎます。

次に第2は、製品の使われ方や捨てられ方(製品ライフ)を想定して、甚大なリスクへの対策を未然に採っておくことです。これを「リスクアセスメント・リスクマネジメント」と言います。東日本大震災による原発事故で、放射能漏れが起きてしまい、未だに何兆円も掛けた対策を実施しているのは、生々しいトラブル事例です。万一「全電源喪失」となっても炉心溶融にならない為の対策が何年も前に議論されながら、しかも対策内容も判っていながら「そこまでの被害はありえないだろう」との想定が、取り返しのつかない甚大事故を発生させてしまいました。政治家や学者は、判断ミスによるツケを国民に背負わせることで逃げることができますが、企業経営者にとって甚大な品質事故は文字通り「企業生命」に係わってきます。そこで「リスクアセスメント」を学んで、企業生命に係わるリスクにだけは対策を講じておくことを勧めます。

「リスクアセスメント」のこつは、製品供給者が望まない使われ方や環境ではどうなるか?を想定してみることです。その場面で、人に危害が及んだり火災が発生するような大トラブル(事象)に着目します。製品が動作しないだけというマイナー?トラブルは無視します。もう一つのこつは、そのトラブルの発生確率はどれ位の頻度であるか?を考えることです。タカタのエアバッグ事故では、事例が数件になってから騒がれ始めました。そして最後に、重大品質トラブル要因は、「製造<設計<開発」ということを認識して対応することです。何ごとも初めての取組み(=開発)にはリスクがつきものであり、そのリスクはどの位の大きさでどれだけの発生頻度かを予測する取り組みが大切ということです(トヨタ自動車は、DRに変化点管理を持ち込んだ「DRBFM」という手法を開発して普及しています)。設計や開発のある中小企業は、ぜひ「リスクアセスメント」にも取り組んで、企業生命に係わるような大トラブルを未然防止しておきましょう。「リスクアセスメント」詳細は以下もご参照下さい。

リスクアセスメント・ハンドブック(経済産業省)
製品安全注意喚起リーフレット(nite)

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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