ものづくり事業部

第4回 設計標準は最適コストのガイドライン(間館正義)

設計標準の設定は、その製品を誰が設計しても同じような品質と性能を発揮でき、安定させるためのものです。
そして、設計標準は、開発期間の短縮ができますし、当然そこには、コスト面でも安価であるという優位性を確保することができます。
その最たる要因が、部品の標準化・共通化を図ることによるコストダウンです。

設計標準の一貫としてサブアッセンブリなどを対象にプロトタイプを設定して、標準化と部品の共通化を図っています。
しかし、たんにプロトタイプを設定しただけでは、大きな効果を得ることはできません。
ベースになる各部品について、最適なコストで設計されていることが重要になってきます。

この方法として、各社ともに以下の2つを検討しています。
①.設計者が、部品のコストについて、「いくらで作れるか」をわかるようにする
これは、設計者がコストを算出できるようにすることです。
設計者自身によるコスト算出を支援するための見積ソフトということになるでしょう。
このテーマについては、私の「無料レーポート 設計段階で加工品見積ソフトを活かす方法」をご覧ください。

②.あるルールに則って部品の形状と材料など決めれば、最適なコストで部品を作れるようなるためのガイドを作る。
これが、設計標準を設けることです。
これは、コストを意識した条件を図面や仕様書を作成するうえで、制約条件として加えておくことです。

設計標準とコストの関係の簡単な例
よく実務で起きる例を掲げて、設計標準とコストの関係を説明しましょう。

今、炭素鋼板を用いて、機械に取り付けるカバーを設計するとします。
このとき、ビス止めする丸穴の位置は、端から「板厚×1.5」ミリ以上離すと設計標準で取り決めしています。
もし、これを無視してカバーの端ぎりぎりにビス止め丸穴をあける設計をしたとします。
(たとえば、端から板厚×0.5ミリの位置にあったとします。)
このカバーは、従来の端から「板厚×1.5」ミリ以上離すでは、NCTプレスで製作しています。
しかし、端ぎりぎりにビス止め穴を設けると、NCTプレスで丸穴をあけようとする、穴が変形してしまいます。
このため、NCTプレスで外形を抜いた後にボール盤で穴をあけることになります。

つまり、1工程増えることになりますから、当然コストアップします。
設計標準を設定しておけば、この位置のために加工方法(設備機械)が制限され、コストアップを防ぐことができるわけです。

このようにサブアッセンブリなどを対象にプロトタイプを設定するとともに設計標準を適用して部品の設定は、コスト面で大きなメリットを発生させます。
つまり、設計標準は、部品の寸法や形状、材質など決定する図面の因子とものづくりに関して、最適なコストとの関係を示すものです。

 

第3回 設計者のコスト意識を高めるには(間館正義)

「コストダウンの中心は、設計にある」
企業が存続していくためには、利益の獲得が必須です。もし、利益の確保ができなければ、企業の財産が減っていくとともに経営活動に支障をきたすことになり、ついには存続できなくなってしまうことも考えられます。
このため製造企業では、製品を開発・製造し、販売することによって、利益の獲得を進めているわけです。

そして、より多くの利益獲得のために、永続的な製品のコストダウンが進められています。

従来のコストダウンは、購買部門及び製造部門を中心に進められてきました。
この購買及び製造部門のコストダウンは、製品を作ってからの活動であり、結果への対応です。

しかし、コストダウンは、製品ライフサイクルの短縮化やコストダウン検討時に設計部門にフィードバックと承認が必要であることなどから、設計段階でのコストの作り込みが重要になってきました。
つまり、製品のコストダウンの中心は、設計にあるのです。

それでは、コストダウンの中心にいる設計者へのコスト意識は、どのように高めていけばよいのでしょうか。
近年図面をみて感じることですが、何故この形状にしたのか、この公差にするのか疑問を抱くことが増えてきました。

製品のコストは、図面や仕様書などが出来上がった段階で見積もることができます。見積もった結果は、一般に計画原価に活用されています。

また、「設計段階でコストの80%は決まる」といわれるように製品のコストは、設計段階で決めた図面や仕様書で8割が決まってしまい、購買業務や製造方法に大きな影響を与えています。

したがって、図面や仕様書を決まるまでが、コストを決めるうえで非常に重要になってきます。

「コスト情報が設計者の手元にあるか」
設計業務を進めるにあたって会社では、設計者に対してどのように教育をしているのででしょうか。

まず、その会社の特定の製品を真似た設計から始めるのではないでしょうか。そして、設計者は、設計業務の経験を積んでいく中で、自身のアイデアを表現していくようになってくるものではないでしょうか。

このとき、設計者へのコスト教育をどのように進めているでしょうか。
会社では、設計者にコスト意識の向上やコストダウンを強く要求しているのですが、コスト教育や支援を行っていることが少ないようにみえます。

一部の企業では、この課題への教育を進めていますが、それでも設計者にコスト情報を提供していることが少ないという現実が見受けられます。それは、設計者自身が、コストよりもアイデアを重視することに力点を置いている点もあるようです。

しかし、これでは、コスト意識は育たないでしょう。

一つの提案として、まず現状の製品に使用されている材料単価の情報を設計者に提供してみてはいかがでしょうか。
プラントを製作している企業であれば、装置ごとの価格と重量です。個々の製品や部品のコスト情報を提供することによって、コスト意識は高まってくるものです。

 

第2回:新製品を開発するポイント:他人の知恵も活用しよう

今回は、新製品を開発する上での人材育成情報を提供します。

新技術の開発、新商品の開発、既存技術の改良は、ものづくり企業にとって、事業を発展させる上で不可欠の要素であることはいまさら申し上げるまでもありません。現在の技術水準を維持し、新商品の開発を行わなければ、ものづくり企業の明るい未来は望めません。もちろん、企業内において積極的かつ十分に研究開発を行うことができて、結果的に新商品を発売できるのであればよいのですが、大半の企業はそのような体制がないでしょう。おそらく、少数の従業員が暗中模索しつつ、研究開発を行うか、もしくは経営者の経験則、人的ネットワークから得られた情報によって、新技術や新商品の開発を行うことも多いのではないかと思います。

つまり、大企業でもない限り、ものづくり企業が単独に有する技術・知見・資金によって、次世代の技術や商品を開発することは困難です。このような現状は、大きくはないものづくり企業におおよその共通認識とされ、新技術の開発や新商品の開発を半ばあきらめかけることもあると考えます。しかしながら、企業が単独で有する技術や知見に基づき、新技術の開発や新商品の開発を行えないという現状は、小さな企業のみの現状ではありません。実は誰もが知る大企業も、新規分野に進出する際には、社外のリソースを精一杯活用します。大企業ですから資金と人材は豊富ですが、外部の技術情報及び外部の人材を活用するという点においては、企業規模は関係ありません。

さて、ものづくり企業が外部の技術情報を活用するために必要なのは、どのようにして外部の技術情報にアクセスするかです。もちろん展示会等に行き、出展企業の担当者から聞くことも有益でしょうが、より多くの企業からより深く技術情報を得る手段として、特許情報にアクセスすることが挙げられます。

現在、特許情報サービスは多くありますが、唯一無料のデータベースが特許庁のデータベースです。このデータベースには100年以上前に特許制度ができた時からの特許情報が収録されています。特許制度の目的は、最初に開発した技術を登録した人は一定期間独占的にその技術を使用できること、及びその代償として他人に技術を公開して利用を促すことによって、相互に影響し合いながら技術を発展させることにあります。
正にこの特許制度の目的に沿って、このデータベースにアクセスをし、場合によっては他社の技術を利用すればよいのです。

ものづくり企業の人はその分野において第一線で働き、技術的な知見が十分にあるでしょう。ぜひ、データベースにアクセスをして技術的知見をフル活用しながら、これまでの同業他社の技術情報を読んで欲しいと思います。いわゆる「特許調査」として、他社の情報を確認して、これを基に自社の技術開発や新商品の開発に活用すればよいのです。場合によっては、そのまま真似することも可能です。自社のみで一から開発するよりも、効率良く開発することができる点において極めて有益でしょう。まずは、データベースをいじっ
てみることから始めてみて下さい。データベースは、特許庁のサイト内「特許情報プラットフォーム」にあります。最初は解りにくいですが、まずは使ってみて下さい。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
「特許情報プラットフォーム」のトップページ>特許・実用新案>特許・実用新案テキスト検索、の頁からいじるのが良いかも知れません。同業他社の会社名、大学の先生名等で検索も可能です。なお、データベースを使用することが、最初は難しいようであれば、弁理士の中には使用できる人もいます。相談していただくのも一手です。社員の多くがこのような技術情報に詳しくなり、活用されることを願っています。

最後に注意点ですが、他社の技術を採用するときに、20年より前の特許出願のものであればどんなに真似しても構いません。20年前以降の特許出願のものであれば、他社の特許権が最初から無いか、消滅していることを確認して下さい。そうでないと、特許権を侵害していると言われる可能性があります。

弁理士:山田 泰之

第1回 商品化強力のツボ 商品化コーディネーターを育成しよう (遠山純夫)

ものづくり企業はとかく「生産力」に注力しがちですが、企業成長には「商品力」と「販売力」、
そして「経営力」が欠かせません。
ものづくり事業部の専門家がリレー連載して「ものづくり経営革新への道」と題して、
各種人材育成情報を提供していきます。

第1回は「商品力強化のツボ:商品化コーディネーターを育成しよう」です。
昨今世界中でキックススターターやファンドから融資を受けた「ものづくりベンチャー企業」が続々と
新開発商品を上市(販売開始)しています。
彼らは自ら強みである商品企画と開発設計にのみ注力して、その他の機能をアウトソースすることで
商品化の実現力とスピードを確保しています。経営資源の少ないものづくり中小企業が、
魅力ある新商品を上市するには、この「ものづくりベンチャー企業」方式を採用すると良いでしょう。
しかし不足する機能をアウトソースすると言っても、そもそも商品化には何が必要で
どこにアウトソースすれば良いのかわからなければプロジェクトは遅延・迷走・失敗します。
そこで「商品化コーディネーター」が、新商品のゴールである商品販売に漕ぎ着ける計画と実行を担います。

「商品化コーディネーター」は何をするのか?
商品化(新商品の企画・設計・生産~販売開始)の主な機能と業務は下記のようになります。

  1. 商品企画   :商品企画・市場調査・設計構想・商標登録
  2. 技術開発・知財:要素技術開発・特許取得・特許調査
  3. 基本設計   :メカ設計・回路設計・ソフト設計・要素部品設計
  4. 周辺設計   :金型・プリント基板・パッケージデザイン・タグデザイン・取扱説明書・生産工程設計
  5. 試作     :原理試作・二次試作・量産試作
  6. 試験・評価  :評価試験・デザインレビュー(DR)
  7. 品質保証   :信頼性・安全規格認証・フィールドテスト・リスクアセスメント
  8. 販売準備   :カタログ・Web広告・メディア広報・展示会・販売チャネル
  9. 間接業務   :アウトソース契約書・OEM先選定・輸出入管理・アフターサービス

これらの機能や業務の中で、自社にないもしくは弱いものはアウトソースすればよいのです。
しかしこれらの必要な機能を理解して、契約作成・日程管理・品質確認しない限り、
プロジェクト(商品化)の成功は望めません。
「商品化コーディネーター」が、商品化プロジェクト全体のガントチャートを作成し、
進捗管理を行うことでゴール達成をナビゲートします。
この「商品化コーディネーター」(プロダクトマネージャーから人事権・損益責任を取り除いた
機能横断スタッフ)が、商品化の成否をかなり左右します。
「商品化コーディネーター」経験専門家の支援を受けながら、
自社の「商品化コーディネーター」を育成していくことが、ものづくり企業の「商品力」を上げるポイントです。

なおものづくり部品メーカーの方は、「商品化」機能は必要ないとお考えの場合が多いようですが、
違います!
少なくとも設計機能を有するものづくり企業の全てが、商品化の質を上げる為に
「商品化コーディネーター」を育成することを推奨します。

中小企業診断士:遠山純夫

成功する企業はベストコストをつくり込む(52最終回)

『おわり』に代えて

 約4年間に亘ってご愛読いただいたこのコラムは、第51回をもって連載を終了しましたが長すぎて、本文の右欄にある月別アーカイブだけでは、個々の掲載内容が検索できなくなりました。今回は、掲載日とは逆順に『章』と『節』の目次と『掲載年月日』を掲載し、月別アーカイブから掲載年月日をクリックしていただければ、ご関心の項目が見つかるようにしました。これを以て、ご愛読の御礼とさせていただきます。

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事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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