2008年09月25日

成功する企業には新商品開発がある

     第10回  山﨑登志雄


2.新商品コンセプトの樹立
- 新商品の根っ子の部分をしっかりと -

2-3.商品戦略を考える(その2)

〔全社の統一認識〕
 通常の経営状態では、有望市場に向けて主力商品が立ち上がり、正規分布型つまり富士山型の『商品-市場分布図』になるのが現実的な姿でしょう。が、経営効率の面から新商品は有望市場に集中させ、上右部分で団子型に固まった分布図のパターンにしたいところです。図表2-8のような概念です。
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 ただ現実問題として、経営のベースになる商品、つまり富士山の裾野に当たる部分の商品がなくて、勢いのある新商品だけが有望市場に束になって売れる状況は、そう多くはないでしょう。しかし商品フレームは、目指すべきところを示すものですから、あくまでもこの理想図であるべきです。
 そして先の図表2-6に示すマトリックスチャートは、毎年作ったものを重ねて、パラパラとめくるとすれば、あたかも動画を見るように、富士山の頂上が有望市場に向けて力強く伸びていくといったイメージです。
 企業のフレームはどれも、トップの意志決定として明確に定めます。フレーム設定までのプロセスは、ボトムアップ方式でもトップダウン方式でもいいのです。が、最終的にはトップの意志が明確な企業の決定事項でなければなりません。トップの意志が入っていなければ商品フレームは、確固たる企業の商品コンセプトにならないのです。
 次に、ここで設定された商品フレームは、それ自体が「訴求力をもつ形態」に整えておかねばなりません。つまり商品フレームは、例えばそのイメージを『短い言葉』にまとめて表現したり、『キャッチフレーズ』や『解説文』をつけたりして、できるだけビジュアルな、誰もが見て認識できる形態で表現しておくわけです。
 ビジュアルな表現形態があると、市場に対して訴えるときも有効に使えます。商品フレームを社外に向けて一般社会や市場に公表することは、跳ね返って社内の認識をより高めるのに役立ちます。
 表現の一例として、よく用いられるツリー形式によるイラストを図表2-9に示します。これは、北陸地方のある中堅企業の会社案内書にブロックチャートで示されていた商品フレームをヒントに書き換えたものです。
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                                                以上、第11回につづく

2008年08月22日

成功する企業には新商品開発がある

第9回   山﨑登志雄


2.新商品コンセプトの樹立
- 新商品の根っ子の部分をしっかりと -

2-3.商品戦略を考える(その1)

〔マトリックス上の認識〕
 いうまでもなく製品やサービスは、市場に適合した商品でなければなりません。自社の製品やサービスを有望市場に適合させるため、企業全体で共有できるコンセプトを組織のみんなで認識するわけです。
 共通認識を得るためのツールには、マトリックス(縦・横関係)を使うと便利です。有望市場と自社が所有する技術シーズ(技術の種)は、具体的なアイテム(商品名)で、図表2-6のような一覧表に整理すると、社内関係者の理解が得やすくなります。
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商品戦略で考えることは、自社の技術力をどの市場にぶつければ、有効に活かせるかです。このため、マトリックスの横軸はあくまでも技術の名称であるべきでしょう。が、ひとつの製品やサービスには、いろいろな技術が複合化されています。ですからマトリックスは、商品戦略を考えるための道具として、横軸を商品名で表すことにします。
 また、有望市場の区分や名称もいろいろ考え過ぎると、これが意外に難しいものです。が、とりあえずは社内の認識が得られればいいのですから、社内共通語のようなもので漠然と表現しておいても、ここでは十分に通じます。
 マトリックスの作り方は、模造紙に縦軸・横軸のマップを描いて、現在の手持ち商品別売上高の大きさに比例した面積のカードを作って、張り付けていきます。さらにライバル企業の色違いカードを作り、このマップの中に重ねて張ると、相手の狙いどころもよくわかります。もちろん今なら、パソコンの画面の上に描いておけば、検討過程で自由に変化させながら使えます。

〔セグメンテーション戦略の誤解〕
 マーケティング戦略には、セグメンテーション(市場細分化)という考え方があります。これは細分化した特定市場に、経営資源を集中させようというわけで、前の市場・シーズのマップと同じ形式で説かれます。
 ただセグメンテーション戦略には、隙間市場狙いのニュアンスもある点が気掛かりです。これは「よく探せば」大企業の知らない隙間市場があるはずだとする、とんでもない勘違いです。需要がなければ市場ではないのですから、大企業は入ってこない道理です。
 しかし反面、技術面で徹底的に差別化し、大企業がとても入ってこられないような隙間商品は確実にあります。大企業は、独自の情報収集力をもって掌握する市場の中で、採算面や特殊技術面で製造しえないのが隙間商品です。そんな隙間を狙う商品戦略は、大企業の情報力を利用することになるでしょう。
 中小企業にとっては、最も危険にみえるこのような競争関係の状況下に、意外な安全地帯があるものです。ですから、ただひたすら「大企業が入ってこない」ことを願いながら、独自の隙間市場を狙うのとは、まったく正反対の考え方です。当然、セグメンテーション戦略と隙間市場狙いは違います。その概念は、図表2-7のとおりです。
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以上、第10回につづく

2008年07月29日

成功する企業には新商品開発がある

第8回  山﨑登志雄


2.新商品コンセプトの樹立
- 新商品の根っ子の部分をしっかりと -

2-2.フレーム設定へのアプローチ

〔フレーム設定の方向性〕
 製造業のリストラクチャリング(事業再編成)は、有望分野へ向けて自社の事業領域と商品フレームを、徐々に変化させていく事業活動です。ですから、リストラを従業員首切りの代名詞に使うのは、とんでもないことです。
 それはともかく、市場で販売される多くの商品やサービスは、いくつかの企業が生産・販売プロセスの上の流れ、下の流れに結びついて横方向に分業してできます。したがってリストラは、図表2-3の上下に指向するわけです。
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 もうひとつは、業種で示される経済社会の縦分業の垣根を越えて左・右に、立体図で示せば前と後に拡張する方向です。この場合、自社商品の周辺から広がっていけば進出リスクが小さく、商品フレームは周辺分野に設定していく事例が多くみられます。
 さて、フレームの方向が設定されれば、これから開発しようとする新商品のコンセプトは、特定な方向付けをします。何故ならば、現在は一人の考え方や力量によって、売れる新商品を開発するのが難しくなっているからです。また技術分野の構造も細分化され、それらが複合化されて高度化社会に対応するような、市場の仕組みになっています。
 このような状況下で企業の各組織構成員が、各々別々な考えで新商品開発に臨んだのでは、組織全体の力を結集した強力な商品の開発は難しいのです。もちろん「もうかるものなら何でもやろう」というフレームはありません。結局、何もやれないからです。
 商品全般のフレームで方向性が決まれば、それに沿った新商品コンセプトを具体的に企画します。これから開発しようとする、新商品個々の狙いどころの骨組みをはっきりさせるのです。新商品フレームは開発業務に先立って、新商品の目指すべきところの総枠を概念的に描きます。

〔成功率を上げるため〕
 大手繊維メーカーの株式会社ユニチカで新事業開拓担当部門の方は、図表2-4のような概念図を示し、同社の新商品開発の基本コンセプトを説明してくれたことがあります。これは、大変わかりやすかったので、もうかなり前の話ですが流用させていただきます。
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 製造業は、新商品開発によって新事業開拓が果たせます。ですからこのアプローチの概念は、新商品フレームの設定に通じます。大地からは、有望分野へわずかに突き出している半島がみえます。ユニチカさんの場合は、より有望な市場に近付くため、その半島を徐々に迫り出していくアプローチなのです。
 このように狙うべき商品領域は、身辺にある場合が意外に多いのです。したがってフレーム設定のアプローチは、まず商品領域の再認識です。新商品フレーム設定に必要な情報は身辺から求め始めるのですから、プロダクトアウトの考え方と違います。
 自社の「技術シーズが何であるか」を知ることは、フレーム設定に大切です。自社がこれまで培ってきた技術が全く使えない分野の新商品開発は、ほぼ不可能とみるべきです。
 技術には、積み重ねによる重みがあります。どんなに陳腐化した技術のようであっても、それなりの意義がちゃんとあり、新技術だけでは新商品にならないわけです。要は、陳腐化したようにみえる技術を「どのように手直ししていくか」活用の方法が問題です。
 鉄鋼、造船などの重厚長大型産業は、本業の支援技術を活用して有望な新市場分野に指向します。程度の差こそあれ中小企業にも、現在もっている独自の技術があります。その技術をスタート点として、商品フレームの設定にアプローチできます。

〔技術シーズと有望市場の認識〕
 社内の技術シーズを自己分析することは、いわば社内技術の棚卸しです。通常の会計的な棚卸しが企業の「有形資産の在り高」を確認するのに対して、この棚卸し作業は「無形資産を調査」するのだと思えばいいでしょう。
 棚卸のやり方は会計上の棚卸しと同様に、図表2-5のような棚札を準備します。これを社員に記入して貰うのですが、物品の棚卸しと違ってなかなか難しいものです。しかし現場の技術者は、自身の技術を自ら書きだすことにより、自己の技術を改めて認識します。
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 技術進歩が早い現代において、自社の技術的な力量が認識できれば、社会的な技術分野と水準に対する認識もできます。この状態なら、新製品開発で異分野の技術を必要とするとき、比較的早く対応できます。
 技術棚卸の結論は「わが社の得意技術はこれだな」と全員で確認することです。また棚卸しは、数年に一度のペースでやりたいものです。前回度の棚卸票と比較すれば、その期間で「どんな技術的財産が増えた」か、自身の成長を振り返ることができます。
 製造業にとって市場と技術は、いわば車の両輪ですから、有望市場の想定はフレーム設定のもうひとつの要素です。技術の棚卸しは社内的な確認ですが、有望市場の認識は将来に向け、社外の情勢を展望しなければなりません。
 ある意味で、製造業の事業機会は無限ですから、グローバル(広大)な見地が必要ですが、有望の半島に焦点を絞らないと、何も見えなくなります。また未来予測には、時間的ターム(期間の幅)が要素になるため、視点を3~5年先におく必要があります。目先が、あまりに短くても長くなり過ぎても、やはり何も見えなくなります。
 ここでも、これから迫り出していくべき「わが社にとっての有望な市場分野はこれだな」と全員で確認することです。

以上、第9回につづく

2008年06月28日

成功する企業には新商品開発がある

第7回  山﨑登志雄


2.新商品コンセプトの樹立
- 新商品の根っ子の部分をしっかりと -

パート2のポイント
[ターゲット]新商品のターゲットを絞り込む

 いかに新商品が欲しくても、何でもいいというわけにいきません。そこには自から、自社にあった『新商品コンセプト』が存在し、そのフレームの中で考えなければ、欲しい新商品は手にできないのです。
 アイデアをどのような形に具体化するか。最終的な市場をふまえ、自社の経験・得意技術・他社との差別化などを図りながら、新商品のトータルコンセプトを自社のフレームの中で固めていくのです。つまり新商品企画の方向性が、絞り込まれることになるわけです。


2-1.商品フレームを組み上げる

〔フレームとしての商品コンセプト〕
 コンセプトは簡単に理念と訳されます。が、それだけではコンセプトの様態がわからないので、ここでは「当事者が理想に描く熱い思い」と解釈しておきます。
 新商品コンセプトは、新商品のあるべき姿を規定する経営者なり設計者が、その開発にあたって心に描く熱い思いです。あるいは新商品への思い入れ、または考え方の根底です。ですからコンセプトの樹立は、新商品開発の根っ子の部分を形成することになります。
 マーケティングでは、商品差別化戦略が強調されます。自社商品は他社商品に対し「ここが違うんだ」という、基本的な考え方で差別するのです。この基本的思考は、差別化要素としてハード、ソフトに打ち込んで新商品を開発します。わが社が打ち出す新商品コンセプトは、市場でライバル会社の商品コンセプトとぶつかり合って戦います。
 そこでもし、自社に「飛び抜けて売れる」商品があるとすれば、そのヒット要素を全商品に叩き込みたいところです。自社には、特に目立ったヒット商品がないようだと、なおさら慎重に商品コンセプトの検討をしなければなりません。開発投資はこれからですから、売れる新商品の根っ子を築くのは当然です。
 この根っ子とは、自社商品レパートリ全般に共通の商品フレームです。フレームというのは、船舶でいえば図表2-1のような骨格のことです。
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〔新商品企画のはじまり〕
 新商品企画の第一ステップは、企業の目指すべき事業分野を商品フレームの形式で設定することです。個別の新商品企画とは、このフレームに具体的な肉付けします。
 商品フレームの上位概念は、図表2-2のようになっています。このうち基礎フレームは、
度々設定し直すものではありませんが、世の中が進んでくれば時流に合わせて、企業存立の基本的な考え方も改めていくものです。
 事業領域のフレームは、明確になっていれば企業に所属する全員が、組織をあげてこれを認識できます。「どの方面にPRすればよいのか」社員が、よくわからないようだと、企業活動は非効率になります。指向性が明確でなければ、市場の方でも企業に対する認識が高まりません。
 さらにマーケティング・ターゲットに仕向けるべき、個別商品を規定する枠組みが商品フレームです。もちろん新商品企画の本題ですから、次回で詳しく説明します。
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以上、第8回につづく

2008年05月28日

成功する企業には新商品開発がある

第6回  山﨑登志雄


1.新商品・新サービスは企画から
- 新商品をものにする土壌づくり -


1-5.商品企画担当者とは

〔担当者の職務遂行能力〕
 商品企画ループがサイクルする(回る)根拠は、総て情報でなければなりません。ですから、会社に商品企画担当者がいるとすれば、その日常業務はあたかも情報担当者のごとくです。
 しかし商品企画の担当者は収集した情報を根拠に、自社商品のフレーム(骨格)の形式で企業が進むべき道を先導する、大変重要な使命をもちます。自社の商品を通じて大きくは、会社の事業転換や業種転換など、リストラクチャリング(事業再構築:リストラ即首切りではない)の企てさえ担当するのです。
 経営学の分野では、職務担当者の「具備すべき資質」や、職務遂行に「必要な能力」といったことをよく論じます。が、一般職と違って商品企画担当は、資質、能力論を重ねていけばいくほど、適任者が選べません。それは大企業であってもいえることですから、中小企業においては「とても専任担当者を置けない」ことになるでしょう。
 しかし商品企画は、そういった職務機能のことを指すのですから、専従担当者を置く余裕がなければ、トップ自らが商品企画を担当します。中小企業でなくても多くの場合、商品企画の機能は社長自身か、社長に近い職位の人が担っています。商品企画機能がなければ、会社は「何を売ればよいのか」わからなくなるでしょう。
 一体に専従者というのは、商品を企画する人つまり「わが社は何を売る事業か」の意志決定者に「情報を送るスタッフ」にすぎないと言っても、差し支えないくらいです。

〔企画担当者は予測する〕
 新商品企画に限らず、あらゆる種類の企画は、未知なる未来に向かって考えます。ですから企画に先立って未来を予測しなければなりませんが、予測が立てられたからといって、企画ができるわけではありません。改まって予測を意識しなくても、企画は立てられるのですが、予測の当否は企画の成否を決します。
 したがって、企画担当者には予測という業務が、職務としてつきまといます。予測業務の作業効率面からも、やはり予測技法を知っておく必要があります。
 予測技法といえば、過去のデータを基にした時系列分析が浮かびます。つまり統計学上の『最小二乗法』、『指数平滑法』、『移動平均法』、『相関係数法』、『連環比率法』及びこれらの混合法などの計数予測で、将来の姿を回帰式に表します。また最近では、コンピュータソフトの発達から、時系列分析以外に多変量解析のような、難しい予測技法が脚光を浴びています。
 ただ中小企業では、自社のデータさえ乏しいため、あえて科学的な分析技法にこだわらず、討論形式などによる非数値予測を奨めます。有名な『デルファイ法』が浮かぶからです。
 つまりこの技法は、ある予測対象を設定し、複数の専門家にアンケート方式などで、第一次の予測をしてもらいます。その結果を集計し、バラツキのあるデータのまま、再び回答者に集計結果を示して再度予測してもらう作業を繰り返します。
 そしてデータのバラツキが、これ以上縮まらない段階に至り、最終的な予測結果とするわけです。この原理は、ブレーンストーミングに通じるので、社内の専門家つまり自社の仕事に最も熱心な社内の人々の見解が活かせるわけです。
 これに対して、社外専門家の意見を聴取するのもひとつの予測技法です。企業秘密が漏れないことを前提に、個別課題にコンサルタントの招聘やトップの友人、知人に「有識者と思われる人々」を探し、前の「討論形式による予測結果などを検証する」形式もあるはずです。
 しかし現実問題として、予測にはどうしても勘(K)と度胸(D)と運(U)が付き纏うと思います。
 予測という作業は、最終的に人の判断によるのですから「科学的背景をもつK」で「大胆なD」を発揮し、人事を尽くした挙句に「Uを待つ態度」が必要です。個人的な山勘に大切な企画を委ねるわけにきませんが、いつまでもじぐじぐと判断を下さないでいて、予測やそれに基づく意志決定が出なければ、企画は先に進みません。
 ただ、予測技法は業務の効率性から習得すべきですが、「この方法でやれば的中率が上がる」という確たる技法はありません。したがって図表1-11のように、考えられる技法をミックスして確度をあげていくよりほかにないのです。
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2008年04月29日

成功する企業には新商品開発がある

第5回  山﨑登志雄


1.新商品・新サービスは企画から
- 新商品をものにする土壌づくり -


1-4.商品企画ループを回す

〔新商品開発の経営原則〕
 新商品開発は企業にとって大変リスキーな、経営本体の死命をも制する事業です。したがってその遂行には、次の三大原則の遵守が不可欠です。原則の相互関連は、図表1-8のとおりです。
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● まず、マーケティング先導の原則です。マーケットインの理念に基づく開発ですからこの原則は当然ともいえますが、激動の時代に経営機能の硬直、とりわけマーケティング活動が現状維持という『保守の金縛り』に合ってしまうと、新商品開発は成功しません。
マーケティングのフレキシビリティ(柔軟性)は、情報という潤滑剤により弾力性を増加させます。
● 次は、新商品開発中枢の原則です。企業のもつすべての経営資源、とりわけ技術力の総ては、新商品開発のために集結しなければなりません。
 製造業や建設業に限らず企業には、新商品設計の開発技術力、商品化のための生産技術力、高度技術の商品には販売技術力、顧客のもとで商品効用を保てるサービス技術力といった、機能の異なる技術力が存在します。
 ですから新商品開発には自社が発揮しうる、これら総ての技術力を結集させるというわけです。
● 企業のもつ経営資源のすべては、時代の変化に適合させていくのですが、新技術導入の原則については、とりわけ技術力をマーケットの変化に適合させなければならないということです。
 新商品開発に総資源を投入するに当たって、技術水準が現状のままでは、投入効率が落ちるばかりか、劣悪な競争条件におかれるのですから、開発リスクも増大させます。
 ただ中小企業ではどんなケースにおいても、これらの原則はわかっていながら、どうしても「仕方ない」現実があります。
 この場合はむしろ、少ない人的資源をパワー分散させて「取るに足らない平均化を図る」よりも、一点集中型に徹するのが賢明といえます。いわゆる『重点主義経営』の思考です。が、三原則の部分強化の指向性や方法が何であれ、マーケットインの新商品開発が、経営資源強化に絶好の機会を与えることだけは確かです。

〔環境変化の適応サイクル〕
 経営環境は、時々、刻々と変化します。経済社会の流れが変われば、世の中が必要とする製品やサービスも変わります。商品の供給者である企業は、常に商品をリフレッシュすることで、経営環境の変化に適合するのです。
 商品企画は企業経営の意図を込め、製品の状態に好ましい変化を与える仕事です。『開発』、『改造』、『新用途』、『新サービスの付加』など、どんな商品企画であっても、次の5段階のステップが必要です。その概念は、図表1-9のとおりです。
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 「今日のマーケテットイン」思考は、古びてくると「明日のプロダクトアウト」思考に変ってきます。したがって、新商品企画のステップの繰り返しは、企業の生き残り要件です。その原理は、ビジネス界の常識でもあるマネジメントサイクルと同じです。
 すなわちマネジメントでは、P(計画)からD(実行)へ、Dの後はC(確認)へと回り、さらにA(修正、行動)へと繰り返して、再び原点のPに帰るサイクルです。同様に新商品企画も、5段階ステップのサイクルを回すというわけです。
 ただ商品企画の場合は、各ステップ相互の間に課題別に業務の時間的なずれが存在します。サイクルを回すときは、課題の時間的なスパン(幅)の違いを調整しなければなりません。各課題には、それぞれ図表1-10のような時間要素があるからです。
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2008年03月28日

成功する企業には新商品開発がある

第4回  山﨑登志雄


1.新商品・新サービスは企画から
- 新商品をものにする土壌づくり -


1-3.技術シーズ依存の開発態度

〔技術と技能の違い〕
 新商品開発は、ただ「新しい商品を送りだして」いけばよい、というものではありません。
 商品企画は、新商品を産み出す基礎の土壌づくりですから、この取り組み態度が最終的な成果を決めます。ですからこれまで『どのような考え方』で新商品を開発してきたか、改めてチェックする必要があろうかと思います。
 まず製造業の取組みは、既存の技術シーズだけを頼りにした新製品開発の態度が、多くみられることです。もちろん製造業として「わが社の強みたる技術自慢」がなくては困ります。むしろ技術は、製造業の一番大きな経営資源です。
 特に中小製造業にとっては「資本力なく」「販売力なく」「技術力だけを頼り」に生きている場合が多いのはよくわかります。
 しかし「わが社には技術がある」と自認し、安心している中小企業を診断すると、実は『技術ではなく技能だけ』であるケースが多いのです。中でも下請け中小企業では、技術ならざる技能にのみ頼り、生計を立てている実態に出くわします。
 広義には、技術も技能も一括して技術と呼ばれますが、両者には図表1-6のような違いがあると思います。

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 またサービス業が、サービスを創生しようとするときも、やはり既存の技術シーズが頼りになるわけです。新しく供給するサービスの内容が、装置や設備を必要とするか、提供者の個人的技量への依存度が大きいかといった違いがあっても、依存すべき技術と技能が前提となることに違いはないのです。
 ただ、提供者の技能だけが前提となる新商品開発は、下請け中小製造業と同じく、生み出しうるサービスの内容が限定的になってしまうでしょう。
 一方で技能には、ノウハウといわれる強みがありますが『技能だけ』では、新商品になる可能性は低いのです。反面で『技術だけ』の場合は、設計図を渡して技能者に作らせれば、新製品が開発できます。知恵を絞って考案したサービスは、腕のよい職人さんをスカウトして提供することもできるはずです。
 現に、機械設備や作業者といった『生産手段をもたず』、新製品開発だけで利益を上げる企画専業の企業もあります。この企業形態は、大きな資本を要する生産設備がもてない、ベンチャー・ビジネスのひとつの姿だともいえます。
 ただ、技術だけに依存したアイディア開発は、生産手段をもった企業が買ってくれるか、資本を投じて下請け企業に外注しなければ、新商品になりません。また、マーケティング力が伴わなければ、造っても売れません。
 したがって企業の新商品開発力は、開発技術と生産技能を合わせ、かつ販売力を付加した経営資源総合の水準で決まります。が、総合力であって、決して資本力でないところに『企業経営の妙味』があるというものです。

〔新商品開発での技術指向〕
 これまでの製造業は、経営の領域を決める原点で「わが社の技術で何ができるか」と考える傾向がありました。つまり新製品開発に取り組む態度が、プロダクトサイドの都合で決まります。
 例えば、ガラス加工の技術を誇る会社だと、それで何が作れるかと考えます。もちろん製品の色彩や形状の変更は、売れる新製品を生む大きな要因に違いありません。が、ガラスは新商品にとって『単なる加工対象』にすぎないのです。
 新しい色彩や形状を変える開発思考なら、むしろ新しいデザインを検討すべきです。いいデザインが開発できれば、ガラス以外の素材の方が、価値を高めるかもしれません。だのに生産者側は、加工の都合にこだわります。
 これが、いわゆるプロダクトアウトとよばれる思考の類型です。製造業の場合は「○○ガラス工業株式会社」と、社名からしてプロダクトアウトであるのが不思議です。これでは、考えをガラスから離せといっても無理かもしれません。
 一方、マーケティングアウトという言葉は、一般的には使われませんが、これに類する新商品開発態度があります。時間と資金は貴重な経営資源だのに、それを費やして開発した商品が、もしも売れなかったら一大事です。
 このため、新商品開発は初めから「自社ルートで売れるものは何か」を探そうとします。要するに、自社の得意分野なら安心できるのでしょうが、市場情勢をまったく気にせずに新商品を開発しようとする態度は、マーケティングアウトと呼べると思います。
 サービス業が、永年培った技能だけを頼りに、新しい商売をしようとするのも同じですが、このような新商品開発態度に関する思考の流れは、整理すると図表1-7のようになります。
 これからの企業に必要な新商品の開発態度は、マーケットインでなければなりません。この思考は、市場ニーズの探索から始まります。つまり新商品開発の態度は「市場でいま何が求められているか」「求められようとしているのか」を基盤におくわけです。
 もちろん従来の新商品開発においても、市場ニーズは探索されました。同様にマーケットインの思考でも、まず市場ニーズを探索します。が、ニーズがキャッチできれば、次に新しい技術シーズ(種子)の獲得、育成のプロセスを続けます。
 そうでなければ、プロダクトアウトのまえに、市場ニーズの探索プロセスを付け足したに過ぎず、またもや「ニーズにフィットしたガラス製品は何か」といった思考に陥ります。
 マーケットの動向に沿って、自分自身の得意技術の方をマーケット側にシフトさせ、つまり技術の『移転』、『適合』、『変革』を図るのです。新商品開発は、シフトされた新技術でやろうとする、マーケットイン思考に基づく態度です。図表1-7上段に示すような思考の流れになるのでしょう。

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 販売態度の方でも、市場ニーズに技術シーズを適合させようとしなければなりません。つまりプッシュセールスと違った、プルセールスが介在しなければならないのです。

以上、第5回につづく

2008年01月27日

成功する企業には新商品開発がある

第3回  山﨑登志雄


1.新商品・新サービスは企画から
- 新商品をものにする土壌づくり -

1-2.なにを指して新商品

〔よいモノをつくる会社〕
 企業は社会の需要を満たす物資やサービス、これを一括して『モノ』と称すれば、それを生産つまり『産み出す』ところです。ですからどこの会社も、社会に必要とされ受け入れられるところに、社会的な存在意義があります。
 一方、真の需要を満たせる物資やサービスは、当然売れます。結果として、売れるモノが供給できる会社には、利益がもたらされる道理です。
 ところが経済社会には、まず『業種間格差』という現実があって、実態では景況のよい業種と悪い業種に別れてきます。必然的に「好況業種だけに健康優良児がいる」ように思われがちです。
 しかし成功する企業と、そうでない企業は、業種にかかわりなく存在するものです。業種間格差のもう一方では企業間格差が存在するからです。企業間格差は、売れるモノをつくれるか否かで決まります。
 ところで、よいモノは売れます。ではよいモノは、社会の需要つまり市場のニーズを満たすだけでいいのでしょうか。会社側から見れば、売れなければよいモノとはいえません。
 社会的に貢献できる有用物資なら、生産すれば確実に売れるとは限りません。会社の方では、自社の提供商品が社会に貢献でき、かつ、市場に受け入れられると、勝手に決め込んでいるかもしれないのです。
 したがって図表1-4のような、売れる要素を盛り込んだ商品に造り込み、創り上げていかねばなりません。
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〔新商品でよいモノやよいコトを〕
 当然、他社の商品に対して『使用価値と販売価格の比』が大きいことが、よいモノの基本となるのは、交換経済の始まった太古の昔から不変です。その意味から使用価値は、『絶対価値』であるはずです。が、現実的には使用者の観念的な個人差によって、競争商品相互間の『相対価値』とならざるをえません。
 その太古の昔は、物資というハードウエアが万能の時代です。が、近代市場ではソフトウエア、ヒューマンウエアさらには情報やサービスが、産業化する時代です。商品の使用価値の中に、使用したうえでの満足感がより強く求められるわけです。
 近頃、CS(Customer Satisfaction)でいわれる満足感は、多分に顧客の主観によって形成されるものです。成熟市場の商品は、ますます多様化を進展させなければ、よい商品になりません。が、いかに成熟市場であっても、多種多様な欲求と、それぞれに違った満足感はあるのです。
 したがって中小企業だろうが、零細企業だろうが、企業規模に適合したよいものを供給する機会は、無限にあるというものです。
 また売れるには、顧客が商品の存在を認知することが前提です。売り手側からは、予想される買い手に対し、商品の存在情報を発信しなければなりません。このとき、商品自体に新規性、話題性などが情報として盛り込まれていれば、商品自体が『売れてゆく力』をもってくることになります。
 その新商品には、図表1-5のような類別があります。
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以上、第4回につづく

2007年12月25日

成功する企業には新商品開発がある 第2回

1.新商品・新サービスは企画から
- 新商品をものにする土壌づくり -

パート1のポイント
[基 本] 売れる新商品・新サービスはこうして創る

 新商品は『どのようにつくるか』ではなく『なにをつくるか』です。この創造性の基本は、商品企画を『いかにうまくやるか』にかかってきます。では一体、企画とは何でしょうか。それをここで説きたいわけです。
 製品にしてもサービス提供にしても、ヒット商品の原動力となる企画には、まずその立て方が大切です。成功する企業に必要な新商品を開発し、利益を生む企業体質へ転換するまでを見通した、土台づくりや屋台骨の組立が[基本]でのポイントになります。


1-1.企画は思考なのか行為なのか

〔企画と計画はどう違う〕
 いったいどうすれば、新商品開発や新サービスの考案が実現するか。効率的な新商品開発のプロセスがあるはずです。その鍵を解くことこそ、まさに新商品企画を理解することにほかなりません。
 では企画とは、どういった概念で捉えればよいのでしょうか。しかし意外と、これがわかりません。そこでまず企画は、よく混同される計画と比較しながら、その概念を追ってみることにしましよう。
● 企画は、その文字が示すとおり『くわだて』です。わたしの好きな落語調でいうと、「よっ!何か面白れぇことはねぇか」ときます。ここで「何か」が企画の始まりです。
 NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』ではないが、面白いことをするために「それじゃあ、愛宕山に繰り出して花見といこうや」となります。「愛宕山と花見」というように目的が明確になり、「繰り出す」ことによって目的を果たす方法までが企てられるのです。
 企ては「このようにしたい」という人間の意志を、意図的に実現するためになされる基本的な思考です。面白いことをするには、あえて「何々したい」といった企てがなくては、目的が達成できません。
● 計画は、これも文字が示すとおり『はかりごと』です。上の例を受ければ「それじゃあ、4月5日の明け六つに長屋の木戸に集まって」、「今月の月番がそれぞれ2文ずつ集め」る。そして「熊さんは酒を、八っつぁんはお重を仕立てて」とばかり、スケジュール、予算、役割分担など、目的達成の手段を手にし、目的達成のための行為と手順の具体的な予定を計るのです。
● 計画の思考対象である「何を計るか」は、企画の意図を具体化することにあります。企画を実現させるため「このようにしようではないか」というように、企画の意図するところへ向けた、やり方、進め方の道筋を立てるのが計画です。
 当然、企画には無から有を生み出す『創造性』があり、計画には与えられた要件の中に制約された『実現性』が、その主体となります。
 ここで言いたい商品・サービスを創造する企画と、商品・サービスを取得する計画の相互関係は、図表1-1のような体系になるでしょう。
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〔企画の機能を考える〕
 会社の中では商品企画のほかに図表1-2に示すような、いろいろの企画を立てます。
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が、これらの企画は、共通して次の三つの機能をもっています。
● 創造性機能
 企画は『考え方』を指しているのですから、決して姿・形のあるものをつくりだすわけではありません。人間が「これから始めようとする行為」を創出するわけです。
 情報化社会に至って姿・形のない『ものの考え方』や『人々の行為』は、大変な価値を産むようになりました。
 古くから、人々の生活を豊かにするための人の行為つまりサービスは、一定の経済価値を有していたので、サービスがビジネスの対象になってきました。
しかし情報化社会に至り、新しい価値を産むようになった典型は、コンピユータのソフトウエアです。さらに今後は、ものごとの考え方の価値自体が、ますます上がっていくはずです。また、経済のソフト化・サービス化傾向がこれに拍車をかけるでしょう。
 現にイベント・プログラムなど、企画の創造性は特定の分野で計画や実施と切り離され、考え方のみが単独で取引されるようになっています。それを意図的に創造し、実務的に実施できるようにすれば、成功する企業の新サービス開発になるはずです。
● 予測機能
 企画の創造性は、未来の未知な事象に向かって発揮されるのですから、未来の姿・状態を予測しないと企画が成立しません。予測は、過去のデータと現在の状況把握を前提にしています。
 つまり諸情報を駆使して予測するため、企画はすなわち情報収集だと勘違いする向きさえあります。が、ともかく企画によって、人間は未来に向かって挑戦的な行動を起こします。
● 統合調整機能
 企画は、複数の人間が一致した特定の目的を、組織的に遂行するためにも必要です。ある企画のもとに、複数の人々が演出され、行動して目的を達成していくのです。
 したがって企画が、複数の人々の考え方を調整し、組織を統合した行為を引き出していくことになります。
 考え方の違った組織構成員が、企画を承認する形式で統合され、企画の実行に参加します。参加者は、企画を通じて相互に調整されているわけです。
企画の有するそれぞれの機能には、図表1-3のような相互の関連があるものです。
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以上、第3回につづく

2007年11月22日

成功する企業には新商品開発がある

第1回  山﨑登志雄


シリーズのメルマガ掲載にあたって

● 企業が成功する訳
 新製品開発や新サービス開拓、つまり企業の販売対象たる商品の新開発や新規の開拓は、成功する企業の訳として、最も大きなことでしょう。その事実は、いま成功している企業でも、磐石の経済基盤を有する大企業でも同じです。
 ただ、経営革新のリーディングファームたる当『さいたま総研』としては、未だ成功から遠く、日々の事業に追われ放しの中小企業こそ、この成功の訳をご理解いただきたいところです。

● この連載のカテゴリー
 実は、このブログ連載のカテゴリーと筆者の関わりは、16年も前に『新製品の企画開発術-その創造力のすべて-』を上梓したことに始まります。さらにその後、ビデオ『新製品開発力アップ対策』の監修や『新商品開発の正しい実務手順(発想から企画書作り・売り方まで)』の執筆がありました。
 次の『売れる新商品の開発手順が見える本』は、日刊工業新聞の平成11年1月5日号の書評にも取り上げられたものですが9年が経っては、さすがに廃刊されています。ご興味の方は次のURLで、のぼる経営のHPを覗いてみてください。
    http://www6.ocn.ne.jp/~yamazfam/

● メルマガの活用
 それはともかく、経営環境の変化が激しい時代です。特にリーディングファームとして、インターネットの普及は、これ以上ない大きな変化要因です。おかげで23年も続いた旬刊誌『中堅企業の経営相談室』も廃刊の止むなきに至りました。
 しかし反面、企業家の方々に直接語りかけることができ、ご質問でもご意見でも即座にお聞きできる経営支援の環境が到来しました。筆者が現役のうちに、ネット上に執筆できる時代が来ようとは、夢にも思わなかった変化です。

● はじめが肝心
 さて新製品やサービスが、容易に生まれない訳は、技術者がいなかったり、お金がなかったりと、先に経営資源の限界を考えがちです。その点では9年経っても、あまり変わっていないのですが、経営資源は決して与えられたものだけではありません。
 ここで素晴らしい新商品や新サービスが考えられるなら、その獲得に必要な資源を何とか工面するのが、企業経営というものです。
 だとすると「なにを開発するか」という、はじめの考えが大切です。間違った考え方をして、それに貴重な資源を注ぎ込むと、やがて企業は立ち行かなくなります。したがって「こんな新製品はどうだろう」とか「あんなサービスもあるな」と、はじめに考えるところが新商品開発の極意です。これはまさに『成功する企業の訳』の始まりです。

● 誰にでもできる
 だからといって、ひたすら慎重に考えれば、新商品の獲得、新サービスの創生が約束されるわけではありません。
 一体に新商品開発や開拓は、まずアイデアを練り上げて、ハードやソフトの研究、設計、試作、試行を展開し、生産もしくは実施できなければ実現しないのも確かです。さらに開発された新商品は、売れて利益が上がらなければ、企業経営にとって無用です。
 経営が成功する訳は「何がつくれるか、やれるか」ではなく、「何をつくるか、やるか」ですから「何が売れるか」を考えることを意味します。
 ただ、ものごとを考えるにはその方向や手順が、効率性や結果の成功率を決めてくるものです。それはアイデア開発だけでなく、R&Dも生産も、販売促進にも共通していえることでしょう。ですからここでは、これらのプロセスすべてを考えます。
 これさえマスターできれば、喉から手が出るくらいに欲しい新商品を、だれでも手にすることができるわけです。誰でもですから当然、中小企業にも新商品開発ができます。

● 理論より実務
 このような考え方を筆者は、企業経営の実務体験と企業支援の現場において会得しました。それを述べようとする『さいたま総研』のメルマガとブログは、企業家の方々が実際に新商品を開発し、企業を成功させていく実務面で、きっとお役立ていただけると確信いたします。
 やや長丁場になりますが『成功する企業の訳には新商品開発がある』は、1ヵ年以上にわたって連載していくつもりです。次に挙げる項目はシリーズの目次ではなく、いわば内容の予告です。
 お気付きの点がありましたら、それこそインターネットの双方向性を活用し、ご質問、ご意見を賜れれば幸いです。


とりあえず、シリーズの内容予告です

● 新商品は企画から - 新商品をものにする土壌づくりのはなし -
 ポイント:[基本]売れる新商品・新サービスはこうして創る
 ・企画とはなにか  〔企画と計画はどう違う〕〔企画の機能を考える〕
 ・なにを指して新商品  〔よいモノをつくる会社〕〔新商品でよいモノを〕
 ・新商品開発する態度
  (技術シーズへの依存)  〔技術と技能の違い〕〔新商品開発での思考〕〔新商品開発の経営
  原則〕 〔環境変化の適応サイクル〕
  (商品企画担当者とは)  〔担当者の職務遂行能力〕〔企画担当者は予測する〕
● 新商品コンセプトの樹立 -新商品の根っ子の部分をしっかりと-
 ポイント:[ターゲット]新商品のターゲットを絞り込む
 ・商品フレームを組み上げる
  (新商品フレームとは)  〔まず、コンセプト〕〔新商品企画のはじまり〕
  (フレーム設定へのアプローチ)  〔フレーム設定の方向性〕〔成功率を上げるため〕〔技術
  シーズと有望市場の認識〕
 ・商品戦略を考える  〔マトリックス上の認識〕〔セグメンテーション戦略の誤解〕〔全社の統
  一認識〕
● 情報モンスターに挑む - 新商品開発の幹を構築-
 ポイント:[情報]生きた情報が商品を育てる
 ・情報に基づく検証  〔情報源を求めて〕〔フレームの洗礼〕〔フレーム検証の手順〕
 ・情報力で商品展開  〔人につく情報力〕〔人がもたらす情報力〕〔対人情報の類型〕
 ・能動的な情報活動(調査活動の実際)  〔調査ステップ〕〔調査上の留意点〕
  (調査書を作ろう)  〔記録を残す意義〕〔調査書の整理方法〕
● 中心課題アイデア開発 -新商品の発芽は逞しく -
 ポイント:[着想]企画力を強める方法はこんなにある
 ・新商品イメージを描く
  (製品イメージとアイデア)  〔イメージが必要なわけ〕〔領域の中でのイメージ〕〔商品機能
  が着眼点〕
  (アイデアと情報)  〔アイデアの深さ〕〔思い込みの危険性〕〔ユーザーニーズとアイデア開
  発〕〔提案型のアイデア開発〕
 ・発想技法とアイデア開発
  (技法上の留意点)  〔技法の共通原理〕〔BS進め方のコツ〕〔発案ローテーション〕
  (アイデアの阻害要因)  〔制約条件を与えない〕〔結果責任はトップにあり〕
  (新商品イメージへの接続)  〔猫でなければ〕〔BSをまとめたイメージ〕
● アイデア評価は企画書で - 新商品には優れた苗だけを -
 ポイント:[企画書]説得力のある企画書をつくる
 ・新商品企画書の作り方  〔企画書の役割〕〔企画書の要件とスタイル〕〔企画書づくりのコツ〕
 ・アイデア評価のポイント  〔入・出力の大きさ〕〔絶対評価と相対評価〕〔開発リスクと評価
  基準〕
 ・動機づけに活かす  〔評価票の作成目的〕〔評定の苦しみ〕
● 開発管理の要点 - 新商品の果実を結ぶ -
 ポイント:[開発]商品開発のコツをつかもう
 ・開発環境の整備  〔経営者精神と技術者意識〕〔投資水準の決定〕〔研究開発施設の要件〕
 ・開発管理の手法
  (開発計画がはじまり)  〔管理嫌いのわけ〕〔計画策定のポイント〕
  (予算管理の要領)  〔お金の側面から計画〕〔決めるときが肝心〕
  (開発スケジュール)  〔期間管理は価値を生む〕〔早ければ早いほど〕〔管理者の役割〕
 ・新技術導入と開発管理 〔新技術考〕
  (技術は人から)  〔ピカ一技術者の特性〕〔金の卵を生ませる〕
  (新技術考)  〔名監督の秘策〕〔技術水準の向上策〕〔異分野への進出策〕
 ・開発から生産へ 〔意外な障壁〕〔立ち上がりの阻害要因〕〔ドキュメントの整備〕〔製造品質
  で勝負〕
 ・販売への連結  〔商品化計画の機能〕〔価格設定の真髄〕〔ネーミングとパッケージ〕
● 販売ルートの考え方 - 新商品の収穫を得る -
 ポイント:[販売]販売ルートを引き込もう
 ・ルートとともに  〔マーケティングルートの特性〕〔直接サービスの提供〕〔情報の直結は〕
  〔新市場に既存ルートはない〕〔ルートとともに歩む道〕
 ・ルートへの攻勢  〔販売促進策をもって〕〔情報キーマンを攻める〕〔身方はあざむかない〕
  〔技術的知識を身につける〕
 ・新規開拓の方法  〔開拓のベースづくり〕〔既存ルートに食い込む〕〔パプリシティの活用法〕
  〔各種の新規ルートに挑戦〕〔ルートの選択〕

                                                以上、第2回につづく