ものづくり事業部

月別アーカイブ:2011年 8月

第3回 標準原価を求める

基本的な原価の求め方は
前回までコストダウンを進めるにあたっての基礎知識と標準原価の考え方、標準原価を活用したコストダウン実践ステップを紹介しました。今回は、「売価は、どのように求められるのか。」、具体的に「標準原価の算出の仕方」について考えてみましょう。

売価は、小売や卸などの販売業の場合、仕入れた商品の代金(仕入原価)にある一定の比率を乗じて、売価を求めます。この比率とは、販売活動で発生する広告 宣伝や販売員の給与などの販売費、人事、経理などの社員の給与など管理活動のための一般管理費、そして利益を加えることを意味しています。
つまり、売価=仕入価格×(1+一般管理・販売費比率)×(1+利益率)、または売価=仕入価格×(1+粗利益率)ということです。
ここでの粗利益率とは、売価から仕入価格を差引いた残りを粗利益といい、売価に対する粗利益の割合のことです。
これに対して製造会社では、仕入価格の代わりに、製品をつくるために発生する費用である製造原価になります。製造業の場合、一般に原価に占める製造原価の割合が一番大きいため、製造原価の算出が重要になってくるのです。
製造原価は、製品を形づくるための原材料や部品などを外部から調達することによって発生する費用(材料費)と社内で製品をつくるために部品加工や組立などの作業を行なうことによって発生する費用(加工費)に分けられます。つまり、製造原価=材料費+加工費で求められます。
したがって、製品の売価は、(材料費+加工費)×(1+一般管理・販売費比率)×(1+利益率)、あるいは(材料費+加工費)×(1+粗利益率)と考えられがちです。

また、製造業の場合には、材料や部品に何らかの新たなる価値を付加することによって収入を得るという見方もあります。つまり、外部から調達する費用(材料費)+付加価値と表すことが出来ます。付加価値の中は、新たなる価値あるものにするための加工費、一般管理・販売費、利益になります。
この見方を前出の計算式と比較すると、材料費に一般管理・販売費を乗じるか否かが異なっていることがわかります。
そして、材料費に一般管理・販売費を乗じる計算方法は、見積書に記載される金額の計算で用いられることがあります。
この計算方法では、高額な材料を用いて、簡単な加工した場合と安価な材料を用いて複雑な加工をした場合、どちらも同じ売価になってしまいます。つまり、製品のために何らかの新たなる価値を付加することが、まったく反映されないことになってしまいます。
このようなことから、材料費+加工費×(1+一般管理・販売費比率)×(1+利益率)、あるいは材料費+加工費×(1+粗利益率)が本来の正しい原価の求め方になります。これが、製造業の売価の算定です。

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第2回 コストベンチマークによるコストダウン

コスト算出のための基準を持とう
 前回、標準直接原価計算の重要性について説明させていただきました。
 今回は、標準原価のための基準の設定について、考えていきたいと思います。
 まず、基準は、誰が設定すべきものかから考えみます。
 そのためには、原価を発生させている部門と原価を集計している部門を整理しておくことが必要です。
 一般には、製品原価に占める割合の一番高いのは、製造原価であり、製品を作っている生産部門で発生しています。これに対して製造原価の算出は、経理部門で行なわれていることが多いようです。

 このようなお話をするともうお分かりだと思うのですが、基準は、生産部門と経理部門で打合せて決めることです。そして、肝心なことは、生産現場の方たちがコストダウンのために役立つ項目であり、その基準値を決めることです。
 ともすると経理部門が主体となっていることが多く、標準原価を算出するために必要な項目や数値も経理部門だけで決めてしまっている、あるいは実績原価から平均や適当な値を選択して設定いることがあります。
 これでは、結果としての数値のみの比較になって、単なる報告のための原価になってしまい、コストダウンに役立つ情報にはなりません。生産現場と共有できる項目と基準値を持って進めるべきです。
 具体的な項目としては、材料の単価や使用量、作業について設定される標準時間や標準の稼働率、余裕率など生産性に関する数値、そして単位時間あたりの加工費などがあります。

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販 売 第7章 販売ルートの考え方 3

成功する企業には新商品開発がある

7.販売ルートの考え方  - 新製品の収穫を得る -

7-3.新規ルートの開拓方法

〔開拓のベースづくり〕

● 顕在需要のみがメシのタネ
 新商品は技術革新によって、または新しいアイデアが創造されて生まれます。これに対して新市場は、従来から知られていた潜在需要が、新商品の開発供給を『認識』することによって顕在需要となり、さらにその需要集積が新商品の市場となって『創成』されます。
 しかしルートは、新市場が生まれた時点から、新商品販売への対応が「やっと始まり」ます。それはルートが商品を『仕入れ』て、需要の顕在している市場に『売り込む』ビジネス体だからです。
 つまりルートは顕在化市場に、新しく形成された需要を『飯の種』とするのであって、ルート自らの商品をもって潜在需要を『掘り起こし』、顕在化していくビジネス体ではありません。
 そういう市場構成ですから、メーカーの新規ルート開拓は、今まで自社商品を流通させていなかった既存ルートに「新しく取引を求める」ことを意味します。
 その意味から、自社ルート内に新市場開拓プロジェクトチームなどを創設し、新商品に対する『需要創成の活動』を始める場合でも、それが新規ルートの開拓になるわけではありません。要するに、『新市場開拓と『新ルート開拓』は別ものであるわけです。

● マーケティング力の弱い立場で
 またルート強化のために、新ルートを『別途に開設』する場合もあります。が、それは既存市場への『パイプを太く』する補強策であって、今まで自社になかったルートの新開拓にはならないのです。
 大企業の場合は、既存ルートの一部を「新市場に仕向け」結果的に新ルート開拓と同じ効果を生むこともできるでしょう。
 しかしマーケティング力が弱い中小企業や、全く販路をもたないニュー・ベンチャーなどは、従来『活用し切れなかった』既存ルートに、自社の新商品を流通させられれば、それが新規のルートを開拓することになるのです。
 この際、メーカーが独自に「需要を創造したか」「否か」にかかわりはありません。従来、取引がなければ、自社にとっては新ルートであり、新商品にとって新市場であれば、いずれはルート開拓をしたことになります。
 自社からルートへのはたらきかけは、図表7-14のルート側からみた取引先群の一角に、食い込みを図ることです。
7-14.jpg
 いわばルート自身が築いてきた『市場』や『得意先』『顧客』の団塊から『個々のお客様』など、掌握市場というルート独自の経営資源を「利用させていただく」のです。
 つまりメーカー側としては、ルートが独自にもっている『販売力』が「自社の経営資源だ」といえるまで、『ルートとの繋がり』を着実に築いていかなくてはなりません。

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事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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