ものづくり事業部

年別アーカイブ:2011年

新商品と情報 第3章 情報モンスター 3、4

成功する企業には新商品開発がある

3.情報モンスターに挑む  - 新製品開発の幹を構築 -

3-3.能動的な情報活動

〔実際の調査ステップ〕

● 能動的な情報
 情報活動の「中心は調査」です。調査とは「積極的に情報を集めにいく」ことが第一要件です。そして次の調査要件は、収集した大量の情報を整理・分析し、社内で使える情報レベルまで質を高めることです。調査ステップは、常識的ですが図表3-10に示すとおりです。
3-10.jpg

● 受動的な情報はない
 仮に何らかの機会に『耳寄りな話』を受けたとしても、自分の関心事でなければ、また「その気になって」聴かないかぎりは、情報になることはありません。 ですから新聞・雑誌の一般的に『受動的な情報』のケースであっても、積極的に受け入れなければ「情報にならない」わけです。
 一般的な調査対象から得られる基本情報は、まったく常識的な図表3-11のようなものです。
3-11.jpg
 また、一般的な調査対象としては情報の三要素に類別すると、これも常識的な図表3-12が考えられます。ですから一般的な調査はいずれも、全く常識的な内容になるのですから、調査のもうひとつの要件である整理、分析が加わらないと、調査にならないわけです。
3-12.jpg

● 基礎知識とは違う調査テクニック
 ただ、実施段階では調査テクニックが、効率性と調査品質を決めます。調査対象が個別的・専門的な内容であれば、前工程の調査実行で高度なテクニックを要し、一般的、常識的な内容であれば、後工程の整理・分析段階で工夫を求められます。
 それにしても、新商品企画のためと勢い込んだところで「どこかに潜り込んで極秘情報を得る」的な、産業スパイもどきの活動が、調査担当者に要求されるわけがありません。
 また、アップストリームに情報を求めるときは、至極当然ながら調査テクニックよりも『技術的な基礎知識』の方が要求されます。経済的知識がなければ、経済調査ができないのと同じで、これは調査テクニックと違います。

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新商品と情報 第3章 情報モンスター 1、2

成功する企業には新商品開発がある

3.情報モンスターに挑む  - 新製品開発の幹を構築 -

3-1.新商品フレームの検証

〔情報源を求めて〕
● 人にとって情報とはなにか
 かなり以前に、情報という言葉は森鴎外の造語だと聞きました。つまり「情(なさけ)を通じて報(しらせ)を知る」ことからきたといわれます。明治の大文豪が「心そこにあらざれば、もの見えず」とつぶやいたかどうか、知る由もありません。が、情報洪水とか、情報公害とかいう言葉さえ聞かれる現代、その対象に関心がなければ、同じ情報が入っても何の反応もないことは、たしかに経験するところです。
 この実感からすると、コンピュータの世界で『情報処理』という言葉が使われるのは、『信号処理』というべきです。信号は、機械で処理できますが、情報は人間でなければ処理できません。

● 勘や閃きと情報
 新商品企画のために、情報そのものに対する知識は、たしかに必要です。が、情報を収集し、処理し、活用していくうえで、情報の性質を整理して理解しなければ、絶対に活用できないものでもなさそうです。
 新商品開発に際しては閃きが貴重です。もちろんこれらがはたらくのも、豊富 な『知識という情報』の蓄積があればこそですが、「あのとき、なぜ閃いたか」といったような詮索は不要です。これに拘りだすと『インスピレーションの由 来』など、情報の活用法と離れたところに関心事が流されるおそれがあるわけです。こうなると、新商品開発で「占いによる地震予知」のような側面が強まり、 およそビジネスの話でなくなります。

● 鶏が先か卵が先か
 さて情報収集の話が、商品コンセプトの後にきた意味です。たしかに、情報とコンセプト樹立は「鶏と卵の関係」にあります。鶏を先におけば、情報収集しないでコンセプトなど立つはずがないという理屈です。が、筆者は卵を先におき、周辺分野という『仮親』に『商品コンセプトの卵』を生ませます。
 そんな『タマゴッチ』のような理由を一言でいうと、自社の商品フレームが「どちらに向かっている」のか、「どのような領域にある」のかということがはっきりすれば、情報に対する集中力が増加することです。
 集中力が増し、情報マインドが高まると、情報源が定まって上質の情報が大量に入ります。ですから、商品コンセプトが先に必要だという主張です。
 ただ、ここでは新商品企画の必要性から、情報の受け手側が積極的に収集しようとする情報だけを主体として考えます。
 つまり新商品開発には、企画、実施計画、設計・試作、生産・販売すべての段階に情報が不可欠です。ですから論点を限定しないと、この情報というモンス ターにはとてもかなわないでしょう。ただし情報自体は、についてどの段階においても、その本質に変わるところはありません。

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事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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