1.人・もの・金づかいとみつけたり
企業経営は人々や社会に有益な『物資やサービス』をつくりだし、永続的な利益を得ることが最終目的になるはずです。ですから持てる経営資源をフル活用して企業を永続させることこそ経営実務になるわけです。ここでいう経営資源とは、いわゆる『人・もの・金』の基本3要素を指しているのです。
ただ、こうして要素別の相互関係を整理してみると、事業は『人がすすめる』のですから、当然ながら人的資源が最も重要な位置づけになることが分かります。つまり企業内の人々が有する情報や技術を以て『ものづくり』し、市場を開拓して築き上げた実績のもとに、企業の信用が構築されていくのです。
企業は『生きもの』ですから、お金は企業内を循環する血液とでもいうべき経営資源であって、資本や融資、債権、債務のような現金以外の血液までもが、売上金回収を主要因として順調に回っていなければ、企業は死滅します。
ですから経営者は、常に流動している『財的資源』を使って、好立地のもとに工場や商店などの『経営基盤』に設備投資し、原材料などの『ものを調達』します。『人的資源』は、この基盤のもとで製品や商品をつくって販売し、売上という新しい血液を注入して循環させてゆくのです。まさに企業経営とは『経営資源づかい』の実務だというわけです。
2.使い方の巧拙が死命を制す
あの難しい筆記試験や実務補修を突破して、やっと大臣登録ができたころの話です。ある経営者が「中小企業診断士は嫌いだ」というのです。経営者自身も自覚している経営上の不具合を、診断士は「あれが悪いこれが不備だ」と「傷口に塩を擦り込まれる」ようにあげつらうだけではないかというわけです。そんな嫌がらせみたいな指摘が「企業診断だ」と『勘違いしている輩』がいたのかもしれません。
たしかに企業が経営資源を使いこなしていく過程で、いろいろな『問題点』や克服すべき『課題』が生じるものです。その実態は経営の『執行責任』をもち、仕事をしたうえでの『結果責任』も負わなければならない当事者として、もちろん経営者ご本人は感じているところです。これらの『問題点』は「岡目八目」の例えのとおり、診断士が面倒な経営理論を振り回さなくても、経営の実務経験者なら誰でも気付くものです。
要は、如何にして「問題点を解決」するかです。ある時点で『人使い』に問題点があれば必然的に採用、教育、処遇、定着、組織化などの課題が生じます。同様に『金使い』では売掛金滞留、回転率不足とか経費節減などです。また『もの使い』では新製品開発、コストダウン、工程改善や設備老朽化、過剰在庫などの課題もでてきます。
そしてこの『資源使いの巧拙』は、確実に経営効率に影響してくるのですから、如何に上手く『資源を使いこなすか』が経営実務になるわけです。しかし企業単独では、容易に解決できない経営課題もいっぱいあるはずです。でも現業経営者の方々が直面する問題点や諸課題は、われわれ『ものづくり事業部』に任せてもらえば直ぐに「解決できると」言えば「実務を知らないコンサルタントだ」と嘲笑されること間違いないでしょう。
経営支援が本分のわが『ものづくり事業部』は、いろいろな産業分野で各種の職業経験を積んできた中小企業診断士、弁理士、税理士、行政書士などのメンバーで構成されています。また月例研究会などを通じてメンバー相互に情報交換を行って各自の英知を集め、問題点を明らかにし、解決策を立てていきます。
支援策の検討が『経営診断』を前提にすること自体は、依然として変わりないのです。ですから事例ごとに『経営実務に携わるトップ』に寄り添って、慎重なヒヤリングやバックデータによる基本診断を行います。具体的な提言は、基本診断を根拠に『現場に即した解決策』の創出になりますから、経営実務家に『恥じる支援策』を立てることはありません。このことこそ、経営実務に適した経営支援策であり、われわれメンバー各自の社会貢献の形式だと信じているからです。