ものづくり事業部

第47回 試される信頼関係

このコロナ禍において、世の中のパラダイムが転換しようとしています。
これまで当たり前だったことが当たり前ではなくなる、そんな時代になっていくのだと思います。
その象徴と言えるのが、在宅勤務です。在宅勤務の広がりによって仕事に対する考え方が様々なレベルで変わりつつあることを痛感しています。

例えば、新人研修。
実践とフィードバックにより基本的な考え方を身に着け行動できるようにしていくもので、社会人の土台をつくる大事な時間です。私自身、特に、新人研修は対面で実施することに価値がある、という考えを持っていました。しかし、実際にオンラインで実施してみると、オンラインでもできることはたくさんあることに気づかされました。また、オンラインだからこそのメリットがあることも発見できました。コロナ収束後も、対面でないと実施できないという言い訳は通用せず(対面ではないと実現できないこともありますが)、オンラインとリアルを上手く活用した効果性の高い研修が求められていくのだろうと感じています。

新人研修は一例ですが、多くの方が自分の身の回りに起こっている事柄から、これまでの常識が通用しない世の中が到来する、ということを感じておられるのではないでしょうか。

一方、在宅勤務が広がるにつれて、組織内のコミュニケーションが問題となるケースが増えているようです。

1)ちょっと聞きたいことがあるが、ミーティングをするほどでもない
・・・・ちょっとしたことを確認・相談しにくく、もやもやが蓄積してしまうケース

2)18:00からの1時間は子供をお風呂に入れる役割を担っているので、この時間だけは予定を入れたくないのだが、言いにくい
・・・・家庭内における役割(家事分担など)や自分の抱えている事情を組織のメンバーに言い出せずにストレスを抱えてしまうケース

上記はほんの一例ですが、このようなコミュニケーションの問題は、在宅勤務ならではの問題なのでしょうか?
私はそうは思いません。在宅勤務によって明らかになった、というだけで、もともとあった問題と捉えています。つまり、土台の関係性が脆弱な場合にこのようなことが起こるのです。

下記の図は、元MIT教授のダニエル・キムが提唱した、「成功循環モデル」です。関係性の質を高める事が成果の質に繋がる、ということを立証した大変有名な理論ですが、組織で活動した経験のある方なら、誰もが納得感を持たれるのではないでしょうか。
私は、関係に質には段階があると考えています。

レベル4は関係性の最終段階と言え、これが実現できている組織は多くありませんが、少なくともレベル2以上でないと、仕事やプロジェクトをうまく進めていくことは困難です。

ご自身の会社・組織の関係性レベルはいかがでしょうか。関係性の状態が、日常のコミュニケーションにどのような影響を与えているでしょうか。

この機会だからこそ、振り返ってみることをお勧めします。

 

 

第46回 RPA使用事例のご紹介

1.RPAとは
RPAとは人間が行うPC作業を、ロボットを使って自動化する技術のことです。(RPA:Robotic Process Automation) SCSK販促資料より

PC業務の転記、再入力、突合、集計といった業務はRPA(PC操作をロボットにさせる)で自動化できます。

2.RPAの狙いは
(1) 「働き方改革」による生産性の向上
(2) 残業時間の削減
本来「人」がするべき業務に集中できるようにしたい。
RPAは導入効果が明確です。

人が行うPC作業時間 単位:時間
Before B時間 After A時間 効果C時間=A-B

時間単価を2,000円/時間と想定すると、
2,000/時間×C時間(効果)=2,000C円・・・これが導入費用を上回るかどうか。
導入費用10万円/月と想定すると2,000C>10万円
Cが月50時間以上あれば、十分導入に値します。1日あたり2.5時間。
おおよそですが、PC担当者4人以上が目安です。

◎上記の計算は削減時間だけでした。
狙いは、削減した時間を人がすべき業務に振り替えることです。ここで効果を出すことが重要です。

3.RPA事例
事例1:厚生労働省 膨大な量の単純・繰り返し作業・定型業務等の効率化
事例2:大阪府 RPAを活用した庁内業務の効率化にむけた実証実験の実施
事例3:総務省 スマート自治体構築へ AI・RPA等の共同利用を推進する
事例4:IT導入補助金 活用事例にRPAがトップに3つ掲載される(2019及び2020)

4.これからのRPA
新型コロナ対策であるテレワーク、在宅勤務を支援するRPAの活用を考えることが重要です。
⑴業務分担、業務プロセスを再考して、テレワーク(在宅)者と会社出勤者の共同作業をつくる
⑵会社ではなく、一人ひとりがRPAのユーザー権を持ち、ワードやEXCEL、メール等と同様に使う
テレワーク、在宅勤務が定着することで、通勤費、交通費、社内ファシリティー等の固定費削減が考えられます。その削減費用でITCを活用し、生産性を向上できます。

5.お願い
1)SCSKでは無料RPA講習を開催しています。興味をお持ちの企業があれば、お声がけください。
「協賛さいたま総研」となります。RPA講習実績があれば、次年度ポリテク研修に応募できます。
2)これからはAI+RPAが求められます。
「事例3:総務省 スマート自治体構築へ AI・RPA等の共同利用を推進する」に代表されます。
私も、AIを学びたいと考えています。ビジネスマンがAIを学ぶ良い機会がありましたら、教えてください。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

第45回 急がれるHACCP対応

2018年6月に改正食品衛生法が可決し、食品の製造・加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者はHACCPの義務化の対象となることが決定しました。2年後の2020年の6月に施行され、1年間の猶予期間が設けられていますが、2021年6月からは完全に義務化されることになります。この時点でHACCPの衛生管理を導入していない食品等事業者は、食品衛生法の違反になります。食品等事業者は、保健所に営業許可を届け出る必要があるため、事業者が衛生管理計画の策定やその遵守を行っているかについて、保健所等が、営業許可の更新時や通常の定期立入検査等の際に確認することとなります。

HACCPの概要
HACCP とは、HA(Hazard Analysis:危害分析)とCCP(Critical Control Point:重要管理点)のことで、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析( Hazard Analysis )します。その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じれば、より安全な製品を得ることができるかという重要管理点( Critical Control Point )を定めます。そして、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法です。
例えば、食品の原材料の受入から出荷までの工程ごとに、微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測(HA)した上で、危害の防止につながる特に重要な工程である熱処理工程(CCP)の殺菌温度や時間を連続的・継続的に監視し、記録することにより、製品の安全性を確保します。

HACCPの導入状況
農林水産省の平成30年度、食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査によると、「導入済み」の企業は 41.9%、「導入途中」を加えると61.6%でした。しかし、売上規模別にみると、売上規模が 50 億円以上の企業では9割が「導入済み」だが、売上規模 5,000 万円から1億円未満の企業で約2割、5,000 万円未満の企業では約1割でした。「HACCPには施設・設備の整備資金が必要」や「HACCP導入後に係るモニタリングや記録管理コストがかかる」などの認識があるため売上規模が小さくなるほど導入割合は下がり、小規模企業へのHACCPの周知、導入が大きな課題となっています。

コストのかからないHACCPの衛生管理導入
厚生労働省では、小規模事業者が対象となる「食品製造におけるHACCPによる衛生管理普及のためのHACCPモデル例」を製品事例ごとに作成して公表しています。この手引書は、温度管理や手洗い等の手順を定め、簡便な記録を行うことで、比較的容易に取り組めるものです。HACCP は工程管理の基準であり、必ずしも施設設備等の整備を求めるものではありませんので現行の施設設備を前提とした対応が可能です。
厚生労働省のHACCPモデル例:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126913.html

埼玉県のHACCP導入支援
埼玉県では、食品等事業者向けHACCP支援講習会の開催や「彩の国ハサップガイドライン」を設けて、必要最小限の衛生管理要件を抜き出した埼玉県独自の衛生管理指針を作成しています。また、『埼玉県食品衛生自主管理優良施設確認制度』では、衛生管理が、一定水準を満たしていることを確認し、確認済票の交付と県のホームページで施設名等を公表する取組みがあります。詳しくは、 施設を所管する保健所へお問い合わせください。
埼玉県のHASSP導入支援:
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/haccp/haccp-top.html

 

第44回 2020年補助金始動!

2020年度の政府・自治体予算案が確定しつつあり、今年も各種補助金公募が間近となってまいりました。
今年の補助金の特徴や主な変更点を追ってみます。

  1. ものづくり補助金
    2020年は、一般型以外にグローバル型等5類型に多様化/最低賃金要件追加と賃上げ年1.5%要件化/創業者優遇加点(3年内モノ補助交付者減点)/3か月ごと複数回採択/全面Jグランツ電子申請等が変化点および特徴です(3月~公募開始予定)。
  2. エネルギー合理化補助金
    SIIが公募する省エネ補助金以外に、エネルギー合理化補助金生産設備枠が新設されて、マシニングセンター・レーザー加工機・射出成型機・プレス機・印刷機等の最新型式が対象となります。補助率は1/3ですが、高額設備の場合は上限1,000万円のものづくり補助金よりも高額補助となり得ます。
  3. IT補助金・事業承継補助金
    2019年と類似のIT補助金および事業承継補助金が予算化されています。市販のITソフトウエア購入ならIT補助金を(A類型上限150万円・B類型上限450万円)、2017年4月以降に経営者が交代して新たな取組を行う場合は事業承継補助金(経営者交代型225万円・M&A型450万円<通常>)を申し込めます。
  4. 省エネCO2リサイクル設備高度化補助金
    廃棄物・3R財団が78.3億円の予算を基に、プラスチック&非鉄金属リサイクル事業者のマテリアルリサイクル国内循環に資する破砕・選別・洗浄・造粒等の設備投資の1/2補助を複数回募集します。
  5. 電子申請システム「Jグランツ」
    大半の補助金申請が「Jグランツ」という電子申請に統合され、「Jグランツ」を利用するためには「GビズID【gBizプライム】」を事前申請・取得する必要があります。

補助金のご相談はさいたま総研(TEL:048-859-6849/E-mail:soken@ss-net.com)まで。

第43回 先端設備等導入計画や経営力向上計画の認定で、税制支援が受けられます

国は、中小企業の設備投資を後押しするため、様々な施策を用意しています。本稿では、先端設備等導入計画の認定で受けられる固定資産税の特例、経営力向上計画の認定で受けられる法人税の特例についてご紹介します。

1.先端設備等導入計画と固定資産税の特例について
先端設備等導入計画とは、中小企業・小規模事業者等が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。認定された事業者は、生産性を高めるための設備を取得した場合、固定資産税の軽減措置(3年間、ゼロ~1/2の間で市町村の定める割合に軽減)を受けることができます。

例えば、耐用年数12年、15,000千円の機械装置を購入するにあたり、事前に先端設備等導入計画の認定を受けていれば、固定資産税が3年間で最大約480千円軽減されます。

2.経営力向上計画と法人税の特例について
経営力向上計画とは、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画です。認定された事業者は、計画に基づき一定の設備を新規取得して指定事業の用に供した場合、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができます。

例えば、耐用年数12年、15,000千円の機械装置を購入する場合を考えます。設備取得年度の税負担軽減目的なら即時償却を選択し、長期の法人税額合計を減少させる目的なら税額控除を選択します。10%税額控除なら、1,500千円の税額控除となります。但し、補助金10,000千円を受給して圧縮記帳の適用を受ける場合は、圧縮記帳後の金額(5,000千円)が設備取得価額となりますので、その10%(500千円)の税額控除となります。また、税額控除額は、その事業年度の法人税額の20%を限度とするなどの注意点があります(1年間の繰り越しは可)。

3.まとめ
先端設備等導入計画や経営力向上計画の認定による税制支援は2021年3月までの時限措置です。計画認定を受けるためには、設備投資によって労働生産性を一定程度向上させる事業計画を策定しなければなりません。先端設備等導入計画では、導入設備が先端設備等の要件を満たすことを証明する工業会証明書が必要です(経営力向上計画は工業会証明書を用いた申請方法と別な申請方法とがあります)。

設備投資を予定されている事業者様におかれましては、補助金・助成金の利用と併せてこれらの計画認定をご検討されることをお勧めします。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

詳細はこちら >

執筆者

月別アーカイブ

このページの先頭へ