世界遺産とは「地球の生成と人類の歴史によって生み出され,過去から引き継がれた貴重な資産」と定義され、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。
今回はベトナム社会主義共和国にある文化遺産ミーソン聖域(遺跡)を紹介します。
ベトナムは、面積約33万㎞、南北約1,650㎞と南北に長い国土で、人口約1億人の東南アジアの国です。日本が面積約38万平方㎞、人口1億2千万人と近く、地形もなんとなく似ています。日本は1992年に経済協力を再開し、現在ベトナムにとって日本は最大の援助国となっています。
ミーソン聖域は世界遺産の多く集まるベトナム中部に位置し、6世紀から13世紀頃まで栄えたチャンパ王国の遺産となっています。チャンパ王国とは現在では少数民族となっているチャム族が築いた王朝で、宗教は主にヒンドゥーシヴァ派ですが、それにとらわれることなく、インド文化を柔軟に取り入れていたとされています。
海沿いに王国を築いたチャンパ王国は中国やインド、オランダなどの欧米まで交易の手を広げ、レベルの高い建築技術を取り入れていたと考えられています。建築物はセメント等を使用せずに建てられています。しかし、チャンパ王国の滅びた後は、フランス統治時代にフランス人に見つかる前は大自然に囲まれた森林でしかありませんでした。
ベトナム戦争にて、かなりの範囲が破壊されてしまいました。空爆によってできたクレーターが今でも残っています。その後1999年に世界遺産に登録されました。
現在でもその発掘作業は途上段階です。この時代には、カンボジアのアンコールワットにも見られるようヒンドゥー文化が東南アジアに伝来した時代でもあり、それらのつながりを知るとより深く当時の歴史を学ぶことができます。
(経営承継事業部 平出重浩)