
私は、2008年と2010年の2回、カンボジアの首都プノンペンを訪れ、ロジスティクスをテーマに各20名の4チームの経営診断実習の講師を務めた。経営診断実習とは、2日間の机上講義と2日間の企業の現地訪問、5・5日間の改善提案書の作成、半日の経営者への改善提案発表をすることです。
2008年と比較して、2010年の街は明るく清潔で、参加者は意欲的に実習に参加し、2年間の発展の様子に感嘆した。修了式での参加者への送る言葉として、明治時代の青春群像として「坂の上の雲」を紹介した。常に高みを目指す3人の青春群像が、当時のカンボジアの若者に重なって見えたし、そうあってほしいとの願いも込めてのテーマの選択でした。しかし、その後彼らの話題に上ることもないので、私に意図が通じたかは不明のままです。
NHKドラマ「坂の上の雲」初回放映は2009年11月ですが、2024年に再放送が開始された。幕末の四国松山に生まれた3人の、秋山好古は、満州の荒野で世界最強と恐れられたロシアのコサック騎兵と死闘を繰り返し打ち破った。好古の弟秋山真之は連合艦隊の東郷平八郎の参謀として、日本海海戦に参加し「皇国の興廃この一戦にあり」を発して隊員の奮起を促し、ロシアのバルチック艦隊を撃破した。正岡子規は、不治の病・肺病に苦しみながらも俳句の改革に没頭し、明治35年34歳で没した。
幕末に生まれ、明治初期に活躍した3人の青春群像は、貧しくとも常に高みを目指して活躍した明治人の生きざまに感銘を受ける。
最近のNHKは、「プロジェクトX」の復活や、「坂の上の雲」の再放送など姿勢の変化が感じられる。茹でガエルが惰眠を貪った「失われた30年」にハッパをかけようとしている(?)。
「明治は遠くなりにけり」など、のんびり感慨にふけるだけでなく、国家の危機感を背負って生きた明治人の気概を体感したいものです。