さいたま総研とは

協同組合さいたま総合研究所は、全国初の協同組合による経営コンサルティング・ファームです。
平成25年2月1日に、中小企業庁により経営革新等支援機関として公的に認定を受けました。
住所:〒338-0001 さいたま市中央区上落合2-3-2 mio新都心5F
TEL:048-859-6849、FAX:048-859-6827

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代表挨拶

令和7年5月31日、通常総会で理事長に就任しました奥野智洋です。
就任のご挨拶をさせていただきます。
さいたま総研は、全国初の協同組合による経営コンサルティング・ファームとして1990年に創立されました。35年の歴史をもつ組織の理事長に就任するにあたり、緊張とやりがいを感じています。

通常総会で行われた成功塾では、合田相談役がご推薦された増田辰弘先生のご講演「世界経済の変化から見えて来る日本企業の道標」がありました。合田相談役は、増田先生のご講演を通じて、『さいたま総研、過去という名の改札口を抜けよ』という強い警鐘を私たちに鳴らされたのだと受け止めました。
理事長最初の仕事として、変革「さいたま総研の過去と言う名の改札口:終身雇用、年功序列等居心地の良い組織をぶっ壊す」に取り組みます。任期終了時、「懐かしき改札を越え、未来のホームに立ち、わくわく楽しいさいたま総研になっている」ことを目標とします。
目標達成にあたり、協働していくお客様の皆様の協力をお願いします。わくわく楽しいさいたま総研は、参画していただく皆様とチャレンジしていくことで実現します。

令和7年5月
第8代目代表理事 奥野 智洋

最新のお知らせ

建設業における補助金活用の事例紹介 

はじめに:なぜ今、建設業に補助金が必要なのか 

建設業界は社会基盤を支える重要な産業ですが、直近では「2025年問題」と呼ばれる構造変化に直面しています。団塊世代の大量退職により熟練労働者が一斉に引退し、人手不足が急速に進むことが予想されているためです。技術継承が不十分なまま高齢化が進むことで、現場の人材育成が追いつかず、生産性低下や安全面のリスクにつながる可能性があります。また、工事完了から代金受領までの期間が長く、資金繰りを圧迫するという建設業特有の課題も指摘されています。さらに資材・人件費の高騰が利益率を押し下げ、経営を難しくしている状況です。こうした背景から、DXや省力化を通じて生産性を向上させるための設備投資と、資金繰りを支援するための公的補助制度が求められています。特に中小企業にとって補助金の存在は新規投資への心理的ハードルを下げ、競争力強化のきっかけになります。 

  1. 建設業に補助金が必要な理由

建設業が補助金活用を検討すべき理由は複数あります。まず、上述の通り人手不足と高齢化による技術継承の危機です。現場作業員の高齢化と若年層の入職者不足により、経験とノウハウが途絶えるリスクが高まっています。次に、長期の資金回収サイクルという構造的問題です。受注した工事の代金は着工から完工、検査、請求、支払いまで多くの工程を経るため、他業界に比べ現金化が遅くなりがちで、資金繰りがタイトになります。また、資材や人件費の上昇が利益率を圧迫し、企業体力を弱らせています。 

さらに最近では、建設現場におけるIT活用や省力化設備の導入が急務となっています。測量や設計、施工管理においてデジタルツールを使うことで、作業効率や品質を大幅に向上させることが可能ですが、こうした設備投資には多額の費用が必要です。政府はこの分野を支援すべく複数の補助制度を設けており、企業が自社の課題に合った制度を選択し活用することが重要になっています。次に、主要な補助金制度の概略と、活用事例を紹介します。 

  1. 主要な補助金制度と活用状況

新事業進出補助金 

「新事業進出補助金」は、企業が既存の事業を活かしつつ新分野へ進出する際の設備投資やIT投資を支援する制度です。2025年度第1回公募では、応募3,006件中1,118件が採択され、採択率は約37.2%でした。業種別に見ると、製造業が51.9%と最も高い採択率を誇りますが、建設業も36.5%と平均に近い割合で採択されています。これは建設業が新事業分野への投資意欲を高めている証しであり、既存の施工技術を生かしてリフォームや再生エネルギー設備など新たな分野へ参入する例も増えています。 

省力化投資補助金 

一方、「省力化投資補助金」は、ロボットや自動化設備の導入による省力化を目指す事業者を支援する制度で、2025年度一般型公募では建設業が採択全体の11.3%を占め、業種別で2番目の高さとなりました。この補助金の特徴は、単に機械を導入するのではなく「人手で行っていた作業を機械化・自動化し、労働時間や人員を削減すること」が評価軸となる点です。効果が大きく投資回収が早い計画ほど採択されやすいとされ、省力化による削減人数や工程短縮を数値で示すことが求められます。  

  1. 活用事例の紹介

事例1:鉄骨製造工程の自動化(省力化投資補助金) 

愛媛県のA社は、大型建築用鉄骨の製造を一貫体制で行う企業です。材料の切断、溶接、組み立てなど多くの作業に熟練技能を要しますが、工場内に自動運転の天井クレーンやロボット溶接機を導入することで鉄骨製造工程を大幅に自動化する計画を立て、省力化投資補助金を活用しました。導入後は、クレーンが自動で鋼材を移動し、ロボットが溶接を行うため作業員の移動が減少し、溶接品質のばらつきも抑制されました。結果として従来人手で行っていた工程の多くが機械に置き換えられ、熟練工の負担軽減と生産能力の向上に寄与しています。また、機械化によって溶接不良の再加工が減り、資材の無駄も削減できました。このように、設備投資による工程自動化は職人不足への対策と品質管理の双方に効果を発揮しています。 

事例2:測量・設計業務のDX化(省力化投資補助金) 

北海道のB社は、測量や設計を手がける企業で、従来は現地測量から図面作成まで多くの工程をアナログで行っていました。省力化投資補助金を活用して、UAV(ドローン)や3Dレーザースキャナーを導入し、高精度測量と3Dモデル化を同時に実現しました。これにより、従来数日を要していた測量が数時間で完了し、3次元データをクラウド上で共有して設計・施工に活用することが可能になりました。さらに、データを活用したシミュレーションや合意形成がスムーズになり、顧客への提案力も向上しています。省力化によって削減された人員や時間は、新規受注への営業活動や高度な解析業務に再配置され、企業全体の生産性向上につながりました。 

  1. 補助金活用のポイントと注意点

補助金を有効に活用するには、次の点を意識する必要があります。 

  • 省力化の定義を理解する:省力化投資補助金では「これまで人手で行っていた工程を機械化・自動化し、労働時間や作業人数を削減すること」が評価の対象となります。単に新しい機械を入れるだけでなく、具体的な削減効果を示すことが重要です。 
  • 効果を定量化する:補助金申請時には、工程短縮率や削減人数などの効果を数値で説明し、投資回収がどれくらいで実現するかを明確にする必要があります。 
  • 再配置計画を盛り込む:省力化で生まれた余剰人員をどのように活用するかを事前に計画し、経営全体の生産性向上につなげる構想を盛り込むことが重要です。例えば現場の安全管理や新規事業開拓への配置転換など、人的資源を有効活用する計画が求められます。 
  • 適切な制度を選択する:補助金にはそれぞれ対象経費や要件があり、利用できる枠も異なります。自社の課題や投資内容に合致する制度を選び、最新情報を確認しながら申請準備を進めることが成功への近道です。 
  • 早めの準備:公募期間は限られており、申請書類には事業計画や財務データなど多くの書類が必要です。専門家の支援を早めに受けることで、スムーズな申請につながります。 
  1. 補助金申請プロセス

補助金を申請する際の主な進め方は次の通りです。 

  1. 現状課題の特定:自社の課題(人手不足、資金繰り悪化、業務の非効率など)を明確にし、どのような投資が必要か整理します。
  2. 適用可能な補助金の検索:国や自治体の公募情報を調べ、自社の課題に合った補助制度を選択します。複数の補助制度を組み合わせることも検討します。
  3. 事業計画の策定:投資目的と効果を数値で示し、補助対象経費や投資回収の見込みを盛り込んだ事業計画書を作成します。省力化効果の定量化や人的再配置計画が重要です。
  4. 申請書類の作成・提出:必要書類(履歴事項全部証明書、決算書、見積書など)を揃え、募集期間内に申請します。電子申請が主流となっているため、オンライン手続きに慣れておくと良いでしょう。
  5. 採択後の実行と報告:採択通知を受けたら計画どおりに設備導入やシステム構築を進めます。補助金は事後精算が多く、完了後に実績報告書や支払証憑を提出する必要があります。効果測定を行い、次回以降の投資計画に反映させましょう。

おわりに:中小企業診断士からのメッセージ 

現場の声を聞いていて最も多く挙がるのが、「人がいない」「仕事はあるが体制が整わない」といった声です。中小企業診断士として日々建設業の経営者と対話する中で、この課題が深刻化しているのを実感しています。こうした課題に対して、補助金は単なる一時的な資金援助ではなく、企業が新しい技術やビジネスモデルに挑戦するための“攻めの投資”を後押しするツールです。特に省力化投資補助金や新事業進出補助金では、労働力を補完しながら新分野へ進出する企業を積極的に支援しています。本稿で紹介した採択率のデータや事例からも、建設業が補助金を活用して生産性向上と事業拡大を実現していることがわかります。 

中小企業診断士として強調したいのは、補助金を活用するためには「自社の課題と目的を明確にし、投資効果を定量的に示す」準備が不可欠であるという点です。公募が始まってから動き出しても間に合わないことが多いため、平時から現場の課題を洗い出し、どの補助制度が活用できるかを検討しておくことをおすすめします。また、採択後の実行・報告プロセスを通じて、現場にデータ収集と改善の文化を根付かせることが次の成長の土台となります。補助金申請や投資計画で不明な点があれば、ぜひ専門家に相談してください。さいたま総研では、建設業の実情に即した支援や申請サポートを行っています。補助金を活用し、DXと省力化を推進することで、未来に向けた競争力を一緒に高めていきましょう。 

中小企業が今すぐ始めるべき脱炭素経営7つのステップ 

この記事は、中小企業の経営者や担当者の方々に向けて、脱炭素経営の必要性や具体的な進め方をわかりやすく解説するものです。 
脱炭素経営は大企業だけでなく、中小企業にとっても今や避けて通れない重要な経営課題となっています。 
本記事では、脱炭素経営の基本から、実践的な7つのステップを紹介します。 
これから脱炭素に取り組みたい方、何から始めればよいか悩んでいる方に最適な内容です。 

中小企業が今すぐ始めるべき脱炭素経営の必要性 

中小企業は日本の企業全体の99.7%を占め、温室効果ガス排出量の12割を担っています。 
近年、気候変動対策の強化やサプライチェーン全体でのCO2削減要請が高まる中、中小企業も脱炭素経営への対応が急務となっています。 
取引先や消費者からの信頼を維持し、今後のビジネスチャンスを広げるためにも、今すぐ脱炭素経営に取り組むことが重要です。 
また、補助金や税制優遇などの支援策も充実しており、早期の対応が競争力強化につながります。 

脱炭素経営とは?その基本概念を解説 

脱炭素経営とは、企業活動における温室効果ガス(CO2など)の排出を最小限に抑え、最終的には排出量を実質ゼロにすることを目指す経営方針です。 
単なる省エネやコスト削減にとどまらず、再生可能エネルギーの導入やサプライチェーン全体での取り組み、環境配慮型の製品・サービス開発など、企業価値の向上や新たなビジネスチャンス創出にもつながります。 
脱炭素経営は、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、企業の成長戦略の一環としても注目されています。 

  • 温室効果ガス排出量の削減 
  • 再生可能エネルギーの活用 
  • サプライチェーン全体での取り組み 
  • 環境配慮型製品・サービスの開発 

中小企業が抱える脱炭素化の課題とリスク 

中小企業が脱炭素化を進める際には、資金や人材、ノウハウの不足といった課題が立ちはだかります。 
また、脱炭素化への対応が遅れると、取引先からの受注減や新規取引の機会損失、社会的評価の低下といったリスクも高まります。 
一方で、国や自治体による補助金や支援制度の活用、外部専門家との連携などで、これらの課題を乗り越えることも可能です。 
早期に取り組むことで、競争優位性を確保し、持続的な成長につなげることができます。 

主な課題 

リスク 

資金・人材不足 

取引機会の損失 

ノウハウ不足 

社会的評価の低下 

脱炭素が求められる理由:気候変動と社会的影響 

地球温暖化による異常気象や自然災害の増加は、企業活動にも大きな影響を及ぼしています。 
国際的な気候変動対策の強化や、消費者・投資家の環境意識の高まりを受け、企業には脱炭素経営が強く求められるようになりました。 
中小企業も例外ではなく、サプライチェーン全体でのCO2削減要請や、環境配慮型製品への需要増加など、社会的な要請が高まっています。 
脱炭素経営は、企業の持続的成長と社会的責任を果たすための重要な取り組みです。 

  • 異常気象・災害リスクの増加 
  • 消費者・投資家の環境意識の高まり 
  • 国際的な規制強化 
  • サプライチェーンからの要請 

脱炭素経営を実現するための7つのステップ 

中小企業が脱炭素経営を実現するためには、段階的かつ計画的な取り組みが不可欠です。 
ここでは、実践的かつ効果的な7つのステップを紹介します。 
自社の現状把握から目標設定、具体的な施策の実行、社内外への情報発信まで、順を追って進めることで、無理なく脱炭素経営を推進できます。 
各ステップで活用できる支援制度や成功事例も参考にしながら、自社に合った取り組みを進めていきましょう。 

ステップ1:自社の温室効果ガス排出量の算定 

脱炭素経営の第一歩は、自社の温室効果ガス(GHG)排出量を正確に把握することです。 
排出量の算定には、エネルギー使用量や原材料の消費量、廃棄物の発生量などを集計し、国や自治体が提供する算定ツールを活用します。 
自社の現状を数値で可視化することで、どの部門や工程で多くのCO2が排出されているかを特定でき、効果的な削減策の立案につながります。 
算定結果は、今後の目標設定や社内外への説明資料としても活用できます。 

  • エネルギー使用量の集計 
  • 廃棄物・原材料の把握 
  • 算定ツールの活用 

ステップ2:具体的な削減目標の設定方法 

排出量の現状を把握したら、次は具体的な削減目標を設定します。 
目標は「2030年までに排出量を30%削減」など、数値と期限を明確にすることが求められます 
また、国や業界団体が示す基準や、取引先からの要請も参考にしながら、自社の実情に合った現実的な目標を立てましょう。 
目標設定は、社内の意識統一や、外部への説明責任を果たすうえでも大切なステップです。 

  • 数値と期限を明確に設定 
  • 国や業界の基準を参考 
  • 社内外への説明責任 

ステップ3:省エネ施策と再生可能エネルギーの導入 

削減目標を達成するためには、具体的な省エネ施策や再生可能エネルギーの導入が不可欠です。 
照明や空調の高効率化、設備の更新、運用改善による省エネ推進が基本となります。 
さらに、太陽光発電やグリーン電力の購入など、再生可能エネルギーの活用も効果的です。 
これらの取り組みは、コスト削減や企業イメージの向上にもつながります。 

施策 

効果 

高効率照明・空調 

電力消費の削減 

太陽光発電導入 

CO2排出量の削減 

ステップ4:サプライチェーン全体での取り組み強化 

自社だけでなく、取引先や協力会社と連携してサプライチェーン全体での脱炭素化を進めることが求められています 
取引先に対して環境配慮を求めたり、共同で省エネ活動を実施することで、全体のCO2排出量を大きく削減できます。 
また、サプライチェーン全体での取り組みは、取引先からの信頼向上や新規ビジネスの獲得にもつながります。 
情報共有や勉強会の開催など、積極的なコミュニケーションが成功のカギです。 

  • 取引先との連携強化 
  • 共同省エネ活動 
  • 情報共有・勉強会の実施 

ステップ5:中小企業向けの補助金や支援制度の活用 

脱炭素経営を進める際には、国や自治体が提供する補助金や支援制度を積極的に活用しましょう。 
設備投資や省エネ改修、再生可能エネルギー導入に対する補助金、税制優遇、専門家派遣など、多様な支援策が用意されています。 
これらを上手に活用することで、初期投資の負担を軽減し、スムーズに脱炭素化を進めることが可能です。 
最新の公募情報や申請方法は、各自治体や支援機関のホームページで確認しましょう。 

支援内容 

対象例 

補助金 

省エネ設備導入 

税制優遇 

再エネ設備投資 

専門家派遣 

省エネ診断 

ステップ6:社内環境教育と意識向上の重要性 

脱炭素経営を成功させるには、経営層だけでなく全社員の理解と協力が不可欠です。 
定期的な環境教育やワークショップを実施し、脱炭素の意義や具体的な行動指針を共有しましょう。 
社員一人ひとりが自分ごととして取り組むことで、現場レベルでの省エネ活動やアイデア創出が促進されます。 
また、社内報や掲示板を活用した情報発信も効果的です。 

  • 環境教育の実施 
  • ワークショップの開催 
  • 社内報・掲示板での情報共有 

ステップ7:脱炭素活動の成果と効果的なコミュニケーション 

取り組みの成果は、社内外に積極的に発信しましょう。 
CO2削減量や省エネ効果、再生可能エネルギー導入実績などを数値で示すことで、社員のモチベーション向上や取引先・顧客からの信頼獲得につながります。 
また、ホームページやSNS、プレスリリースなどを活用し、脱炭素経営の姿勢を広くアピールすることも必要です。 
透明性の高い情報発信が、企業価値の向上に直結します。 

  • 成果の数値化・見える化 
  • 社内外への情報発信 
  • ホームページ・SNSの活用 

まとめ 

実際に脱炭素経営に取り組み、成果を上げている中小企業の事例は多く存在します。 
これらの企業は、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用、サプライチェーン全体での取り組み強化など、さまざまな工夫を重ねています。 
脱炭素経営は、もはや大企業だけのテーマではなく、中小企業にとっても「生き残り」と「成長」の鍵となる経営戦略です。 

取引先や顧客からの信頼、補助金活用によるコスト削減、そしてブランド価値の向上など、得られるメリットは決して小さくありません。 

小さな一歩でも、今始めることが最大の競争優位につながります。 

自社の未来を持続可能にするために、今日から行動を起こしましょう。 

主体性を育む魔法のことば 

1.こんな悩みをもったことはないでしょうか?                                                                          

・・・指示しないと動かない。自ら行動してほしいのに・・・。  

上司としては、もっと自分から考えて動いてほしいのに、どうしても受け身の姿勢が抜けない社員が多いものです。そんな悩みを抱えている企業は少なくありません。 

指示内容に忠実に業務を遂行するのは良いことではあるのですが、それだけでは現代のビジネス環境に対応しきれないのが実情です。 

2. なぜ指示待ち人間が生まれるのか

なぜ、このような「主体性に欠ける社員」が数多く存在するのでしょうか。その背景をひも解くと、日本独自の企業文化と時代背景にたどり着きます。 

戦後から高度経済成長期にかけて、日本は驚異的な成長を遂げました。当時は国全体が右肩上がりで拡大し、製造業を中心に大量生産・大量消費のサイクルが確立していました。その時代に企業が成果を上げる最も確実な方法は、上からの指示に忠実に従うことでした。 

つまり、「上が言ったことをきちんとやれば成果につながる」――この成功体験が、企業文化として強く根付いてしまったのです。結果として、上意下達のスタイルが常態化し、社員は自ら考えるよりも「言われた通りにやる」ことが最も評価される風土ができあがりました。 

3. 時代は変わった――正解のない時代へ

しかし、時代は大きく変わりました。バブル崩壊から30年以上が経ち、もはや「上からの指示を忠実に実行すれば成果が出る」という前提は成り立ちません。 

現代はしばしば「VUCAの時代」と呼ばれます。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)が特徴で、さらに最近ではBANI(Brittle=脆弱、Anxious=不安定、Nonlinear=非線形、Incomprehensible=不可解)の概念も広まりつつあります。                                                        こうした社会においては、経営者でさえ「正解」を持っていません。つまり、経営層から新入社員に至るまで、全員が「自ら考える力」を発揮しなければならないのです。 

もし部下が「指示がないと動けない」状態にとどまっていると、組織全体のスピードは著しく低下します。仮に上司の指示通りに動いたとしても、それが本当に正しいかどうかは誰にも分かりません。時代はすでに変わっているのに、組織内のコミュニケーションが「これをやれ」「あれをやれ」という命令型のままでは、主体性ある人材は育ちません。 

さらに問題なのは、部下が「どうしたらいいですか?」と聞いたときに、上司がすぐに答えを与えてしまうことです。一見、親切で効率的に見えますが、これを続けると部下は「考えない人間」に育ってしまいます。 

4. 主体性を引き出す“魔法のことば”

では、どうすればよいのでしょうか。                                           

それは―― 

「あなたはどうしたいの? 
「あなたはどう思う?」 

という問いかけです。このシンプルな問いかけが、部下の主体性を育むのです。人は問われるとそこから初めて考え始める生き物です。聞けば答えを教えてくれる、とわかっている場合、自分で考えることはせずに分からないことはまず聞く、という行動パターンが定着してしまいます。その行動が繰り返されると、自分で答えを導くことができなくなります。 

しかし、「どう思うの?」「どうしたいの?」という問いを繰り返し投げかけることで、社員は次第に自ら考えるようになり、「自分はこう思います」「私はこうしたいと思います」と意見を述べるようになり、少しずつ主体性が育まれていきます。 

そして、この「答えを与えない」かかわり方は、上司にとっても簡単なことではありません。自分が教えたほうが早いのに、と思うこともあるでしょう。また、部下が出した答えに違和感があったとしても、寛容に見守る忍耐も必要です。 

5. まとめ:自ら考え行動できる人材は競争力の源泉

高度経済成長期に培われた「指示待ち文化」は、今日の不確実な時代には通用しません。経営者も現場の社員も、自ら考え、行動することが求められています。その第一歩として、部下に対して「あなたはどうしたいの?」と問いかけてみてください。                                        問われた部下は、初めは驚くかもしれません。なぜなら、そんなことを聞かれたことがないのですから。         

ですが、日々の会話の中に小さな問いを織り込み、社員一人ひとりが考え、動き出す環境をつくること。それこそが、これからの組織の成長を支える鍵となるのです。組織における「正解のない時代」においては、このような主体性こそが最大の競争力となるのです。 

6. おわりに:中小企業診断士からメッセージ

主体性を育むというテーマは、単に社員教育の問題にとどまりません。組織文化そのものを見直し、心理的安全性と挑戦を両立させる経営環境を整えることが重要です。経営者や管理職が「教える」立場から「考えを引き出す」立場に変わることで、社員一人ひとりの意欲と創造力が高まり、結果として企業の持続的成長につながります。中小企業こそ、こうした柔軟で人間中心の経営スタイルを取り入れることが、これからの競争環境を生き抜く鍵となるでしょう。 

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