さいたま総研とは

協同組合さいたま総合研究所は、全国初の協同組合による経営コンサルティング・ファームです。
平成25年2月1日に、中小企業庁により経営革新等支援機関として公的に認定を受けました。
住所:〒338-0001 さいたま市中央区上落合2-3-2 mio新都心5F
TEL:048-859-6849、FAX:048-859-6827

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代表挨拶

令和7年5月31日、通常総会で理事長に就任しました奥野智洋です。
就任のご挨拶をさせていただきます。
さいたま総研は、全国初の協同組合による経営コンサルティング・ファームとして1990年に創立されました。35年の歴史をもつ組織の理事長に就任するにあたり、緊張とやりがいを感じています。

通常総会で行われた成功塾では、合田相談役がご推薦された増田辰弘先生のご講演「世界経済の変化から見えて来る日本企業の道標」がありました。合田相談役は、増田先生のご講演を通じて、『さいたま総研、過去という名の改札口を抜けよ』という強い警鐘を私たちに鳴らされたのだと受け止めました。
理事長最初の仕事として、変革「さいたま総研の過去と言う名の改札口:終身雇用、年功序列等居心地の良い組織をぶっ壊す」に取り組みます。任期終了時、「懐かしき改札を越え、未来のホームに立ち、わくわく楽しいさいたま総研になっている」ことを目標とします。
目標達成にあたり、協働していくお客様の皆様の協力をお願いします。わくわく楽しいさいたま総研は、参画していただく皆様とチャレンジしていくことで実現します。

令和7年5月
第8代目代表理事 奥野 智洋

最新のお知らせ

その会議、本当に必要ですか? ~ 会議の生産性を高めるには ~

「この会議、何のため?」

 

「この会議って、何のためにやっているのだろうか?」

 

会議室やオンライン画面の前で、そのような疑問を抱いた経験はないでしょうか。

しかし、そう感じながらも、誰も疑問を口にしないことがあります。その背景にあるのが、「今までやっていたから」という前例踏襲です。

 

日本企業では、定例会議が慣習として長年続いているケースが少なくありません。目的や成果を再定義しないまま、「月曜日だから」「毎月第一週だから」という理由で開催されています。一見すると安定的に見えますが、実は大きな機会損失を生んでいる可能性があります。

 

近年、「生産性向上」は日本企業にとって重要なテーマです。特に中小企業では、限られた人材で成果を上げることが喫緊の課題とされています。

 

一方で、米国の調査会社アトラシアンのレポートによれば、ビジネスパーソンは週平均31時間を会議に費やし、そのうち半分近くを「非生産的」と感じていると報告されています。国内でも、パーソル総合研究所の調査において「会議が長い・多いことが生産性を下げている」と回答した人が多数を占めています。

やること自体が目的化した会議は、時間という貴重な資源を奪います。しかしその一方で、コミュニケーション不足によるミスや認識のズレも発生しています。

 

会議は不要なのでしょうか。

それとも不可欠なのでしょうか。

答えは、「目的次第」です。

 

 

会議は手段。まずゴールを定める

 

第一のポイントは、「会議は手段である」と認識することです。

その会議が終わったとき、何が決まっていれば成功なのでしょうか。意思決定でしょうか。課題の洗い出しでしょうか。それとも情報共有でしょうか。

ハーバード・ビジネス・レビューでも、成果を上げる会議の条件として「明確な目的設定」と「アジェンダの事前共有」が重要であると指摘されています。ゴールが曖昧なまま集まれば、議論は拡散し、結論は先送りになってしまいます。

もし目的が情報共有のみであれば、メールやチャットツールで十分な場合もあります。マッキンゼーの報告では、社内コミュニケーションの約30%はデジタルツールで代替可能とされています。

一方で、複数の選択肢から何かを決定する場合は、事前準備が重要です。論点の整理、選択肢の明示、判断基準の共有を行うことで、議論は建設的になります。また、進行役(ファシリテーター)を明確にすることで、時間内にゴールへ到達しやすくなります。

 

オンライン会議の光と影

 

コロナ禍を経て、オンライン会議は一般的なものとなりました。移動時間の削減という観点から、生産性向上に寄与していることは事実です。総務省の調査でも、テレワーク導入企業の多くが「移動時間の削減による効率化」を効果として挙げています。

 

しかし、オンライン会議は万能ではありません。

心理学者アルバート・メラビアンの研究では、感情や態度の伝達において非言語情報が大きな影響を持つことが示されています。対面であれば表情や場の空気感から読み取れる微妙なニュアンスが、オンラインでは伝わりにくいことがあります。

 

特に、意見が対立しやすいテーマや、参加者間の関係性が十分に構築されていない場合、オンラインでは本音が出にくい傾向があります。発言のタイミングもつかみにくく、沈黙が同意なのか迷いなのか判断しづらいこともあります。

そのため、会議のテーマや参加者の関係性を踏まえ、「対面」「オンライン」「非同期コミュニケーション(メール・チャット等)」のどれが最適かを選択することが重要になります。

 

満足度を高めるファシリテーション

 

時間内にゴールへ到達することは重要ですが、それだけでは十分ではありません。

参加者が「この会議に参加してよかった」と思えることが、真の成功といえます。

心理的安全性の研究で知られるエイミー・エドモンドソンは、発言しやすい環境がチームの成果を高めると指摘しています。

 

・全員に発言の機会があること
・言いたいことが言える雰囲気があること

 

これらが満たされてこそ、納得感が生まれます。

そのためには、ファシリテーターの役割が重要です。最初に短い雑談を取り入れて場を温めます。発言の少ない方にさりげなく問いかけます。声の大きい人だけで議論が進まないよう配慮します。

自分の意見が採用されなかったとしても、「きちんと受け止めてもらえた」と感じられれば、人は結論に納得できます。

会議は決して悪いものではありません。しかし、目的のない会議は組織の力を確実に奪います。

 

「その会議、本当に必要ですか?」

この問いを持ち続けることが、生産性向上への第一歩です。会議を“習慣”ではなく“戦略”へと変えていく姿勢こそ、これからの組織に求められています。

                                         文責:K.K

CO2排出量算定ソフトおすすめ比較|選び方・機能を徹底解説

取引先から「Scope1〜3の排出量を提出してほしい」と言われた、サステナビリティ開示に向けて算定体制を整えたい、Excel管理が限界。
この記事は、CO2排出量算定ソフト(CO2排出量管理システム)を探している経営者・サステナ担当・総務/経理担当に向けて、ソフトで何ができるのか、導入メリット、主要機能、失敗しない選び方をわかりやすく整理した比較ガイドです。自社に合うツールを選べるよう解説します。

CO2排出量算定ソフトとは?なぜ今必要なのか

CO2排出量算定ソフトとは、電力・燃料・物流・購買などの活動量データを集め、排出係数を掛け合わせて温室効果ガス(主にCO2e)を算定し、レポート化まで行うツールです。
従来はExcelでの集計が一般的でしたが、拠点や品目が増えるほど入力・換算・証跡管理が複雑化し、ミスや属人化が起きやすくなります。
近年は取引先要請や開示制度の流れで、Scope3まで含めた算定・説明責任が求められ、データの一元管理と監査耐性が重要になりました。
その結果、算定を「年1回の作業」から「継続的な経営管理」へ変えるために、ソフト導入が現実的な選択肢になっています。

CO2排出量算定とは何をするのか

CO2排出量算定は、企業活動で発生する排出を「活動量×排出係数」で数値化し、期間・拠点・部門・製品などの切り口で集計する業務です。
活動量は、電力使用量(kWh)、燃料使用量(L、m3)、輸送距離(km)、購買金額(円)など多岐にわたります。
排出係数は、国や業界団体が公表する係数、電力会社別係数、LCAデータベースなどを用い、適用根拠を説明できる形で管理する必要があります。
算定のゴールは「数字を出す」だけでなく、削減施策の優先順位付け、目標管理、取引先・投資家への説明に耐えるレポートを作ることです。

Scope1Scope2Scope3の基礎知識

GHGプロトコルでは排出をScope1〜3に分類します。
Scope1は自社が直接燃やす燃料(ボイラー、社用車など)の排出、Scope2は購入した電力・熱の使用に伴う排出です。
Scope3はサプライチェーン全体(原材料調達、物流、出張、通勤、販売した製品の使用・廃棄など)で、カテゴリ1〜15に分かれます。
実務上は、まずScope1・2を固め、次に影響が大きいScope3カテゴリから段階的に精度を上げるのが一般的です。
ソフト選定では「Scope3にどこまで対応できるか」「カテゴリ別のデータ収集を回せるか」が成否を分けます。

企業に算定が求められる背景

算定ニーズが急増している背景は大きく3つあります。
1つ目は脱炭素経営の加速で、削減目標(SBT等)を掲げるには現状把握が必須です。
2つ目は取引先要請で、サプライヤーにScope1〜3の提出や削減計画を求める企業が増え、未対応だと評価・受注に影響します。
3つ目は開示・規制の流れで、サステナビリティ情報の開示高度化により、算定根拠やデータ品質の説明が求められます。
この3点が重なり、単発の集計ではなく、継続運用できる仕組みとして算定ソフトが選ばれています。

CO2排出量算定ソフトを導入するメリット

算定ソフトの価値は「計算ができる」ことよりも、データ収集〜換算〜証跡〜レポートまでを業務プロセスとして標準化できる点にあります。
Excel運用では、担当者のスキルに依存し、係数更新漏れや集計ロジックの不一致が起きがちです。
ソフトを入れると、入力フォーマットの統一、係数の自動反映、権限管理、監査向けのログ・証憑管理がしやすくなります。
結果として、算定のスピードと信頼性が上がり、削減施策の意思決定にもつながります。

算定業務の効率化・自動化

最も分かりやすい効果は工数削減です。
請求書・会計データ・電力明細・燃料実績などを取り込み、活動量を自動で整形できるソフトでは、手入力や転記が大幅に減ります。
拠点が多い企業ほど、回収依頼→督促→集計→差し戻しのループが負担になりますが、入力ワークフローや進捗可視化があると回収が回りやすくなります。
また、月次で自動集計できれば、年次の「一気にやる」負荷が減り、異常値の早期発見にもつながります。

データの正確性向上と監査対応

開示や第三者保証を見据えると、正確性と説明可能性が重要です。
算定ソフトは、排出係数の適用ルールを統一し、計算式のブラックボックス化を避けつつ、誰がいつどのデータを更新したかの履歴を残せます。
証憑(請求書、検針票、燃料伝票など)をデータに紐づけて保管できる機能があると、監査時の確認がスムーズです。
Excelだとファイルが散在しやすく、版管理が崩れると再現性が担保しにくいため、監査対応の観点でソフト化のメリットは大きいです。

サプライチェーン対応・取引先評価向上

取引先からのアンケート(CDP、独自調査票など)では、Scope3の算定状況、削減目標、再エネ比率などを問われることが増えています。
算定ソフトでカテゴリ別にデータを整理しておくと、依頼が来たときに「出せる形」で回答しやすく、対応スピードが評価につながります。
また、サプライヤー別・品目別に排出を把握できると、調達先の見直しや共同削減の提案も可能になります。
単なる守りの対応ではなく、取引継続・拡大のための基盤として算定が位置づく点がポイントです。

ESG経営・ブランディングへの活用

算定結果は、統合報告書やサステナビリティレポート、採用広報、金融機関との対話など、幅広い場面で活用されます。
特に、削減施策の効果を定量で示せると、ESGの取り組みが「姿勢」から「実績」へ変わります。
ソフトのダッシュボードで部門別の排出を見える化すれば、現場の行動変容(省エネ、物流改善、購買方針)にもつながります。
結果として、社内外の信頼を得やすくなり、脱炭素を経営の競争力に変える土台になります。

CO2排出量算定ソフトの主な機能

算定ソフトは製品ごとに強みが異なりますが、比較するときは「データ収集」「係数管理」「Scope3」「可視化・レポート」「連携」の5領域で見ると整理しやすいです。
自社の課題が、入力工数なのか、Scope3の難しさなのか、監査対応なのかで必要機能は変わります。
また、同じ“Scope3対応”でも、金額ベースの簡易算定が得意なもの、サプライヤー一次データ収集まで支援するものなど幅があります。
導入前に、現状のデータ所在(会計、購買、物流、エネルギー管理)を棚卸しし、どこをソフトで補うかを決めるのが近道です。

活動量データの収集・管理機能

活動量データの収集は、算定業務のボトルネックになりやすい工程です。
拠点担当が入力するフォーム、CSV一括取込、請求書データ連携、API連携など、収集手段が多いほど運用が安定します。
加えて、単位変換(L→GJなど)や、拠点・部門・勘定科目へのマッピングをテンプレ化できると、毎年の作業が軽くなります。
進捗管理(未提出拠点の可視化)や差し戻し機能があると、回収の手間が減り、締め日運用がしやすくなります。

排出係数の自動反映・最新データ更新

排出係数は更新が発生しやすく、手動管理だと適用ミスの原因になります。
ソフト側で係数データベースを持ち、年度更新や電力会社別係数の反映を支援してくれると、算定の再現性が上がります。
また、マーケット基準/ロケーション基準など、Scope2の算定方法の違いに対応できるかも確認ポイントです。
係数の出典、適用条件、更新履歴を残せる設計だと、開示や監査で「なぜこの係数か」を説明しやすくなります。

Scope3対応機能

Scope3はカテゴリが多く、データの粒度も企業によって異なるため、ソフトの設計思想が出ます。
購買金額から推計する簡易算定は立ち上げが早い一方、精度向上には品目分類やサプライヤー一次データが必要になります。
そのため、カテゴリ別テンプレート、品目マスタ管理、サプライヤーへのデータ依頼機能、一次データと推計の併用(ハイブリッド)に対応できるかが重要です。
自社の成熟度に合わせて、段階的に精度を上げられるソフトが運用しやすいです。

レポート出力・可視化機能

算定結果は、社内報告・取引先提出・開示資料など用途が多いため、出力の柔軟性が重要です。
Scope別、拠点別、部門別、カテゴリ別の集計表やグラフを自動生成できると、報告資料作成の工数が減ります。
また、原単位(売上当たり、製品当たり)や、前年差分、削減施策の効果測定ができると、経営管理に使えるデータになります。
CSV/Excel/PDF出力、ダッシュボード共有、権限別閲覧など、運用に合う形で提供できるかを確認しましょう。

他システム(会計・ERP)との連携

算定を継続運用するなら、会計・購買・ERP・エネルギー管理など既存システムとの連携が鍵です。
会計データ連携が強いソフトは、勘定科目から活動量推計をしやすく、立ち上げが速い傾向があります。
一方、製造業では生産量・BOM・物流データとの連携が効くと、製品別の排出把握や改善に踏み込みやすくなります。
APIの有無、連携実績、データマッピング支援の範囲(ベンダーがやるのか自社でやるのか)まで確認すると失敗しにくいです。

CO2排出量算定ソフトの選び方【失敗しない5つのポイント】

おすすめソフトは「会社の状況」で変わります。
拠点数、海外有無、Scope3の深さ、監査・開示の予定、社内のデータ整備度によって、最適解は異なります。
そこでここでは、製品名のランキングではなく、選定で外せない5つの判断軸を提示します。
この5点を先に決めてから比較表を見ると、デモや見積もりの精度が上がり、導入後のギャップも減ります。
特に「Scope3をどこまでやるか」と「データ収集を誰が回すか」は、要件定義の最重要ポイントです。

自社の算定範囲(Scope3の有無)を明確にする

まず、今年どこまで算定するか(Scope1・2のみか、Scope3までか)を決めます。
Scope3までやる場合も、カテゴリ1〜15を一気に高精度でやるのは現実的でないことが多いです。
影響が大きいカテゴリ(例:購入した製品・サービス、輸送配送、出張、通勤、販売した製品の使用など)から優先順位を付け、推計→一次データ化のロードマップを描きましょう。
ソフトは、そのロードマップに沿って「簡易算定から精緻化へ」移行できる柔軟性があるかが重要です。

データ収集体制との相性

算定の成否は、データ収集の設計で決まります。
拠点担当が入力するのか、本社で会計データから集めるのか、サプライヤーに依頼するのかで、必要な機能が変わります。
例えば、拠点入力型ならワークフロー・権限・差し戻しが重要です。
会計起点なら、請求/仕訳データの取り込み、勘定科目マッピング、AI推定などが効きます。
現場の負担が増えすぎると定着しないため、「誰が、いつ、何を、どの粒度で」集めるかを先に決めてから選びましょう。

法規制・制度対応状況

算定は、GHGプロトコル準拠かどうかが基本線になります。
加えて、国内外の開示要請や業界ガイドラインに合わせた出力が必要になるケースもあります。
そのため、係数の出典管理、算定方法(Scope2の基準など)の切替、監査向けの証跡、第三者保証を見据えたログ管理があるかを確認しましょう。
海外拠点がある場合は、多言語・多通貨・海外係数への対応も論点です。
「今の要件」だけでなく、1〜2年後の開示レベルを想定して選ぶと買い替えリスクを減らせます。

サポート体制・コンサル有無

初年度は、データ整備・境界設定・カテゴリ解釈など、ツール外の論点が多く発生します。
そのため、ベンダーがどこまで伴走するか(導入支援、算定設計、係数選定、運用設計、教育)を確認することが重要です。
社内に経験者がいない場合、ツールだけ導入しても運用が止まりがちです。
一方で、内製化を進めたい企業は、テンプレやナレッジ提供が充実しているか、問い合わせのレスポンス、コミュニティ/勉強会の有無なども比較ポイントになります。

費用対効果と料金体系

料金体系は、拠点数・ユーザー数・データ量・Scope3範囲・サポート内容で変動します。
月額/年額のライセンス費に加え、初期設定費、連携開発費、導入コンサル費がかかることも多いです。
比較では「初年度総額」と「2年目以降の運用費」を分けて見積もり、どこまでが標準でどこからがオプションかを確認しましょう。
また、削減施策の意思決定に使えるレベルまで可視化できるなら、単なる事務コストではなく経営投資として回収しやすくなります。

よくある質問(FAQ

最後に、検索ユーザーがつまずきやすい論点をQ&Aで整理します。
「Excelで十分では?」「中小企業でも必要?」「Scope3はどこまで?」といった疑問は、導入判断のブレーキになりがちです。
結論は一律ではありませんが、判断基準を持つと迷いが減ります。
自社の取引要請、開示予定、拠点数、データの散らばり具合を踏まえて、必要なレベルを見極めましょう。

Excelでは対応できないのか?

Excelでも算定は可能ですが、規模が大きくなるほど限界が出やすいです。
具体的には、版管理の崩れ、係数更新漏れ、計算式の改変、証憑の紐づけ不足、拠点からの回収遅延などが起きやすくなります。
また、Scope3のカテゴリ別集計や、取引先提出用のフォーマット対応を繰り返すと、属人化して引き継ぎが難しくなります。
小規模・単拠点で年1回の概算ならExcel、拠点/品目が増え継続運用するならソフト、という切り分けが現実的です。

中小企業でも導入は必要?

中小企業でも、取引先からの要請があるなら優先度は高いです。
特に大手のサプライチェーンに入っている場合、排出量提出や削減計画が取引条件に近づいています。
ただし、最初から高機能・高コストのシステムが必要とは限りません。
まずはScope1・2と主要なScope3カテゴリを、簡易算定で回せる体制を作り、必要に応じて精緻化するのが現実的です。
無料ツールや低価格帯から始め、運用が回る段階で本格システムへ移行する選択肢もあります。

Scope3はどこまで算定すべき?

基本は、影響が大きいカテゴリから優先して算定します。
全カテゴリを同じ精度でやるより、排出の大半を占めるカテゴリを押さえ、改善につなげる方が実務的です。
例えば、製造業ではカテゴリ1(購入した製品・サービス)やカテゴリ4(輸送配送)、小売ではカテゴリ1やカテゴリ12(販売した製品の廃棄)など、業種で重点が変わります。
取引先から指定がある場合はそれに合わせつつ、社内のデータ入手可能性も踏まえて段階的に範囲を広げましょう。

コンサルに依頼すべきか?

初年度に不確実性が高い場合は、コンサルやベンダー伴走を活用すると立ち上げが早くなります。
境界設定、Scope3カテゴリ解釈、係数選定、データ収集設計は、経験があるほど手戻りが減るためです。
一方で、毎年外部依存だとコストが膨らむため、運用は内製化し、難所だけスポット支援を受ける形がバランス良いこともあります。
「ツール導入支援に含まれる範囲」と「別途コンサル費が必要な範囲」を見積もり段階で明確にしておくと安心です。

まとめ|CO2排出量算定ソフトおすすめの選び方総整理

CO2排出量算定ソフトは、算定を継続運用し、開示・監査・取引先要請に耐える形へ引き上げるための基盤です。
おすすめを選ぶ近道は、製品名の人気ではなく、自社の算定範囲とデータ収集体制に合うかで判断することです。
最後に要点を整理します。

  • まずはScope1・2、Scope3は優先カテゴリから段階的に精度を上げる設計にする
  • データ収集(拠点入力/会計起点/サプライヤー依頼)の運用に合う機能を重視する
  • 係数の出典・更新・履歴、証憑紐づけなど監査耐性を確認する
  • レポート出力の柔軟性(取引先提出・開示・社内KPI)で“使えるデータ”にする
  • 初年度総額と2年目以降費用、サポート範囲を分けて費用対効果を判断する

比較検討では、候補を2〜3製品に絞ってデモを受け、実データ(電力明細、燃料、購買、物流)で試算できるかを確認すると失敗しにくいです。
自社の目的が「提出対応」なのか「削減の意思決定」なのかを明確にし、長く使える算定基盤を選びましょう。 (文責:F.S.)

DXで変わる中小企業経営

―低コストで始めるデジタル化の第一歩―

中小企業を取り巻く環境は、原材料高騰・人手不足・競争激化と厳しさを増しています。その中で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、大企業だけのものではなく、むしろ限られた経営資源を最大化するための中小企業こそ必要な経営戦略です。

しかし、多くの経営者がこう感じています。

  • ITに詳しい人材がいない
  • 何から始めればよいかわからない
  • コストがかかりそう

本記事では、中小企業診断士の視点から、低コストで始められるDXの第一歩を、実践的に解説します。

 

1.DXとは何か? ― IT導入との違い

DXは単なる「ITツール導入」ではありません。

DX=デジタルを活用して、ビジネスモデルや業務プロセスを変革し、収益構造を強くすること

例えば、

  • 紙の受注管理をクラウド化する
  • 電話注文中心からEC販売へ拡大する
  • Excel管理からクラウド会計へ移行する

これらは単なる効率化に見えますが、実は「経営の見える化」「意思決定の迅速化」「新規顧客獲得」につながる重要な変革です。

 

2.なぜ中小企業こそDXが必要なのか

① 人手不足対策

限られた人員で生産性を上げるには、業務の自動化・標準化が不可欠です。

② 利益率の改善

業務時間の削減=固定費削減
データ活用=値引きに頼らない経営

③ 意思決定スピード向上

数字がリアルタイムで見える経営は、改善サイクルが速くなります。

中小企業は意思決定が速いという強みがあります。DXはその強みを最大化します。

 

3.低コストで始めるDXの第一歩

STEP1:アナログ業務の棚卸し

まずは次を洗い出します。

  • 紙で管理している業務
  • 二重入力している作業
  • 属人化している業務

ここに改善余地があります。

 

STEP2:無料・低価格ツールの活用

いきなり大規模システム導入は不要です。

① クラウド会計

→ 経理作業時間削減、資金繰りの見える化

② 業務管理ツール

例:Chatwork
→ 社内情報共有の効率化

③ EC・予約管理

例:Shopify
→ 低コストでオンライン販売開始

月数千円レベルから始められるものが多数あります。

 

STEP3:数字の見える化

DXの本質は「データ活用」です。

最低限、以下を毎月把握しましょう。

  • 売上(商品別・顧客別)
  • 粗利率
  • 広告費対効果
  • 人件費比率

データが可視化されると、「どこを改善すべきか」が明確になります。

 

4.小さな成功事例(製造業A社)

従業員15名の部品製造業A社では、

  • 受注管理をExcel共有化
  • クラウド会計導入
  • 原価を商品別に算出

その結果、

✔ 利益率の低い製品を把握
✔ 値上げ交渉を実施
✔ 赤字案件を停止

1年で営業利益率が3%改善しました。

DXは派手なAI導入ではなく、「見える化」から始まっています。

 

5.DXで失敗する企業の共通点

  • ツール導入が目的化する
  • 現場に説明せずトップダウンで進める
  • 数字を見ない

DXは「経営改革プロジェクト」です。
必ず目的(利益改善・業務削減)を明確にしましょう。

 

6.成功のための3つの原則

① 小さく始める
② 全員を巻き込む
③ 数字で効果測定する

特に重要なのは「小さく始める」ことです。

 

7.経営者が持つべき視点

DXはITの話ではなく、収益構造改革の話です。

  • どの業務が利益を生むのか
  • どこに無駄があるのか
  • どの顧客が本当に重要か

データを武器に経営判断を行うことが、これからの中小企業経営の基本になります。

 

まとめ

DXは大きな投資が必要なものではありません。

✔ 紙を減らす
✔ クラウドを使う
✔ 数字を見える化する

この3つだけでも、経営は確実に変わります。

中小企業は、意思決定が速いという強みがあります。
だからこそ、小さなデジタル化を積み重ねることで、競争力を大きく高めることができます。

まずは一つ、アナログ業務をデジタルに変えることから始めてみてください。

DXは「今すぐできる経営改善」です。

(文責:K.I)

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