「脱炭素経営が重要なのは分かっているが、具体的に何をすればよいのかわからない」
「SBTは大企業向けの制度で、中小企業には関係ないのでは?」
このように感じている中小企業経営者の方は、決して少なくありません。
しかし近年、脱炭素は一部の先進企業だけの取り組みではなく、中小企業にとっても避けて通れない経営課題になりつつあります。その中で注目されているのが、中小企業版SBT(Science Based Targets)です。
本記事では、
- 中小企業版SBTの基本
- なぜ今、中小企業にもSBTが求められているのか
- 中小企業がSBTを取得する具体的なメリット
- 導入時に注意すべきポイント
を、専門的かつ分かりやすく解説します。
SBTとは?中小企業版SBTの基礎をわかりやすく解説
SBT(Science Based Targets)とは何か
SBTとは、パリ協定が掲げる「気温上昇を1.5℃以内に抑える目標」と整合した温室効果ガス削減目標を、企業が設定・認定してもらう仕組みです。
この制度は、Science Based Targets initiative(SBTi)によって運営されており、国際的に高い信頼性を持っています。
中小企業版SBTが誕生した背景
従来のSBTは、
- 排出量算定が複雑
- 長期シナリオ分析が必要
- 専門知識・コストがかかる
といった理由から、中小企業にはハードルが高い制度でした。
そこでSBTiは、中小企業向けに要件を簡素化した「中小企業版SBT」を整備しました。
これにより、中小企業でも現実的に取得できる脱炭素認証制度として注目されています。
中小企業版SBTの主な特徴
中小企業版SBTには、以下のような特徴があります。
- Scope1(燃料使用)・Scope2(電力使用)を対象
- 2030年までに42%削減など、明確な削減基準
- 複雑な将来シナリオ分析は不要
- 比較的短期間・低コストで取得可能
つまり、脱炭素経営の入口として最適な制度と言えます。
なぜ今、中小企業にもSBTが求められているのか
① サプライチェーン全体での脱炭素が加速している
大企業を中心に、「自社だけでなく、取引先も含めて脱炭素を進める」という動きが加速しています。
その結果、
- 排出量削減への取り組み有無
- 環境方針の明確さ
- SBT取得の有無
が、中小企業であっても評価対象になりつつあります。
② 金融機関・投資家の視点が変わってきている
金融機関においても、
- ESG評価
- サステナビリティ対応
を重視する流れが強まっています。
将来的には、脱炭素への取り組み状況が融資条件や金利に影響する可能性も否定できません。
この点からも、中小企業 SBT メリットは年々大きくなっています。
中小企業版SBTを取得する5つのメリット
メリット① 脱炭素への取り組みを「見える化」できる
SBTを取得することで、「環境に配慮しています」という曖昧な主張ではなく、国際基準に基づいた削減目標を掲げている企業として説明できます。
これは、グリーンウォッシュ(見せかけの環境対策)対策としても非常に有効です。
メリット② 取引先・顧客からの信頼性が向上する
中小企業版SBTを取得していることは、
- 大企業の購買部門
- 公共案件
- 環境配慮を重視する顧客
に対して、信頼性の高いアピール材料になります。
「脱炭素に本気で取り組んでいる会社」として認識されることは、競合との差別化にもつながります。
メリット③ 補助金・支援制度との親和性が高い
脱炭素関連の補助金では、
- CO₂削減計画の明確性
- 中長期的な環境目標
が求められるケースが多くあります。
SBTを取得していれば、申請時の説得力が高まり、説明工数も削減できます。
これも、中小企業 SBT メリットの重要なポイントです。
メリット④ 社内の意識改革につながる
SBTを取得すると、「なぜ削減が必要なのか」「どのくらい削減すべきなのか」が数値で示されます。
これにより、
- 省エネ行動の定着
- 設備投資判断の基準明確化
- 社員の当事者意識向上
といった組織全体の意識改革が期待できます。
メリット⑤ 企業ブランディング・採用にも好影響
近年、求職者の中には「環境や社会に配慮している企業で働きたい」と考える人も増えています。
SBT取得は、
- 採用サイト
- 会社案内
- ホームページ
において、企業姿勢を示す強力なメッセージになります。
中小企業版SBT導入時の注意点
① 取得自体をゴールにしない
SBTは「取得して終わり」ではありません。
実際に排出量削減に取り組まなければ、形骸化するリスクがあります。
② 無理のない計画設計が重要
削減目標は明確ですが、
- 自社で対応できる範囲
- 外部支援を活用する範囲
を整理しないと、負担だけが増える可能性があります。
専門家の支援を活用することで、効率的かつ現実的に進めることが可能です。
まとめ|中小企業にとってSBTは「攻めの経営ツール」
中小企業版SBTは、単なる環境対策ではありません。
- 取引先・金融機関からの信頼向上
- 将来リスクへの備え
- 企業価値・ブランド力の強化
を実現する、中小企業のための経営ツールです。
脱炭素経営に踏み出せていない中小企業こそ、
中小企業 SBT メリットを正しく理解し、活用する価値があると言えるでしょう。
(文責:F.S.)
