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カテゴリー:経営承継成功事例

経営承継 成功事例 第4回 株式会社丸山工務店様

企業名  株式会社丸山工務店

面談者  代表取締役社長 廣瀬 正美 様
面談日時 2013年 1 月 22 日
経営承継事業部担当者  岡田 弘

ヒアリング項目

1.現社長の経歴 
社長歴  11年(社長就任 2001 年 10 月 当社 3代目)

前社長との関係: 義理の息子
 
社長就任までの職歴
社外:佐藤工業(株)5年 施工管理(1年)、設計(4年) 、 設計事務所勤務 3年   
社内:技術部長、専務取締役を経て代表取締役社長に就任  現在に至る

2.経営承継時(承継後)に新たに取り組んだこと・・・以下ヒアリング結果
社長就任の準備   

実施項目:
・前社長より会社の計数管理、資金繰りについて引継ぎを兼ねて指導を受ける。
成果:
・資金管理の精度を上げ、資金繰りを改善するとともに、現金支払いを増やして信用を高めた。

経営ビジョン、経営方針
実施項目:
・経営理念:思いやり輝業・・・客先ニーズに応える仕事をし、自分たちも輝く
               志し高き・・・顧客満足を高める注文住宅設計を目指す(MYワークス設計室としての理念)
成果: 
・「安くていい家」を安全な資金計画で手に入れてもらえるよう努めており、注文住宅の顧客増加につながっている。

経営戦略
 実施項目:
・公共事業(営繕工事)中心から民間事業へのシフト。社内にMYワークス設計室(一級建築士事務所)を組織化。
・秩父地域の建設業者・不動産業者・建築設計事務所と連携して、土地選び~設計~施工を一貫サポートする「田舎生活」を提案(国交省 新分野進出モデル事業実施)
・未来志向・レトロ志向等様々な提案型商品の開発・提供(経営革新計画の承認を得て実施)
・秩父産木材を利用した住宅の提案
             
(埼玉県の地域材利用開発補助金を活用し、モデルハウスを建築・展示)
成果:
・住宅設計施工、リフォーム事業の比率を大幅に上げて、売上高を1.5~2倍程度まで拡大した。
・ 「田舎生活」の提案は、秩父地域の自治体等との連携を強め、空き家バンク事業に発展した。
・ 他の事業者との連携により、当社の地域における知名度や信用も高まり、リフォーム等の受注拡大につながった。
・ローコスト住宅(一人暮らし等)、二世帯住宅、福祉施設リフォームなど提案型商品の開発により、当社の事業の柱を増やすことにつなげている。

人事・労務
 実施項目:
・リーダー制による3つのフラットな組織(財務・設計・施工)に改変。
・民間コンサルタントによる社員教育(キャリア形成促進助成金を活用)
・若手人材の育成(建築技術者育成事業委託による若年人材の研修受け入れ)
成果:
・社員の意識改革・企業体質の改善につながった。
・計数管理能力が向上し、新規受注における資金管理が改善された。
・OJTと外部講師による指導で2級建築士に合格した研修生を正規社員として採用した。

設備投資
 実施項目:
・事務所の改修
・敷地内にモデルハウス(高齢者向けのリフォームハウス)を設置。
成果: 
・社内組織体制に合わせたレイアウトを実現した。
・モデルハウスを活用し、展示会・見学会による販促活動を推進している。

 3.経営承継時(あるいは承継後)に苦労したこと
苦労した事項:
・資金繰り(資金ショートが発生)
 対応策
・契約条件を見直した(住宅代金の分割回収)
・仕事の閑散期が発生する公共事業中心から民間事業中心に転換した。
苦労した事項:
・職人気質の組織で、計画的な取り組みが不足していた(どんぶり勘定)
対応策
・管理体制を見直し、社員教育によってグループリーダーを育成した。

 4.経営承継成功の秘訣・アドバイス
・経営者として、常に新しいことに挑戦し続ける意志と行動力を持つこと。
・地域や顧客に愛されるような人物、企業であり続ける努力が必要(顧客志向が大事)
・地域のいろんな活動に参画することが勉強になる。

経営承継成功事例 第2回 大塚プラスチック工業様

企業名 大塚プラスチック工業(株)
面談者 大塚輝之代表取締役社長

 

 

面談日 平成24年6月18日                                                         経営承継事業部担当名 佐藤 節夫

【ヒアリング項目】

1.現社長の経歴

  社長歴 4年(社長就任 平成20年7月 当社2代目)
  前社長との関係:長男

  社長就任までの職歴  社外:社外職歴なし
                      社内:21歳の3月入社以来、製造・技術・営業を経験し、
                      前社長の下、帝王学を学ぶ

2.経営承継時に新たに取り組んだこと、変更したこと

  1)社長就任の準備

   ■実施項目:①社内技術部立ち上げ 
           ②若手経営者塾(群馬工業振興課・プラスチック工業振興協会) 
           ③外部セミナー(機械メーカ主催)

   ■成果:①仕事の流れ及び社長業の意識醸成 
       ②業界ネットワークの展開
         ③最新技術情報・動向のキャッチアップ

  2)経営ビジョン、経営方針

   ■実施項目:前社長のやってきたことを踏襲・文書化

   ■成果:「会社案内」「ホームページ」の刷新

  3)経営戦略

   ■実施項目:承継時は仕事が順調で、受注をこなすので精一杯。
           2年ほど前より、新製品開発に取り組む。

   ■成果:DIP・蒸着の設備を導入し新製品開発し、                                                                                      全国中小企業団体中央会から、モノづくり中小企業製品開発等支援補助金を獲得した。                                                         何か新しいものをやっているというパフォーマンスの面で、得意先より評価していただけた。

  4)人事・労務

   ■実施項目:①従業員の高齢化に伴い、今後に備え定期新卒の採用 
         ②市場動向の激変に対応するため営業部新設

   ■成果:①社内が明るく活性化してきた                   
         ②新規得意先を開拓するための先兵として,経験者(50歳)2名を中途採用、今後に期待

  5)設備投資

   ■実施項目:①新工場建設計画中止(2008年リーマンショック影響)
         ②新製品開発に伴う設備(蒸着・DIP・・・・補助金活用) 
                     ③成形機更新(受注の変化に対応し小型→中型機)
                     ④3次元CAD導入

       ■成果:既存製品の受注が激減している中、新製品対応するためには必要な設備投資であり、今後に期待

    6)マネジメントシステムの構築

       ■実施項目:①ISO9001取得(2008年10月)
                       ②電算データ類の分散管理

       ■成果:①品質管理の切り口のひとつ                    
                 ②得意先の図面等の管理徹底

3.経営承継時に苦労したこと

   ■苦労した事項①
    ●社長業が分からなかった
    ●哲学とか確固たるものがない
    ●漠とした不安
    ●いつまでこの仕事が続くのか

   ■対応策①
    ○前社長との併走期間が長い方がいい
    ○3年ぐらいの期間があった

  ■ 苦労した事項②
    ●ヒト・モノ・カネでいえば、「ヒト」
    ●社長と従業員のモチベーションのギャップ

   ■対応策②
    ○どうやって従業員の能力を引き上げようかと力んでいた
      ○今なら、気負わない・自然体

4.経営承継成功の秘訣

   ■前社長との意思疎通
   ■前社長がいつまでも居続けず、手を引き、任せてくれたこと
   ■時の運、もし今だったら、失敗していたかも・・・

 

経営承継成功事例(はじめに)

経営承継成功事例集掲載の目的

 経営承継事業部は、平成19年12月発足以来、円滑な経営承継に向けての成功の秘訣
を研究し、コンサルティングやセミナー、執筆を通して研鑽を重ねてきました。

 発足当初は、事業承継事業部の名称でスタートしましたが、現在は経営承継事業部
に名称を変更しています。その理由は、事業承継には資産の承継(財産の相続)と経
営権の承継がありますが、一般的に軽んじられている経営権承継の重要性を世に訴え
ることにあります。

 研究の成果は、セミナー用のパワーポイント資料として、「事業承継実践セミナー」
(110シート)、「これで万全!経営承継・虎の巻」(240シート)、「円滑な経
営承継のための経営革新(150シート)、税理士向け月刊専門誌「税理」(ぎょうせ
い社刊)への24ヶ月連載(4ページ×24ヶ月、96ページ)などがあります。

 これらの研究成果を活かして、個別企業のニーズに合わせたコンサルティングや、団
体様への出張セミナー、当事業部主催の集合セミナーなどを開催しています。

 今回の企画は、経営承継に成功をおさめた企業様を訪問し、経営承継時に行なった
「社長就任の準備」、「経営戦略」、「人事・労務」、「設備投資」、「マネジメント
システムの構築」、「経営承継時の苦労話」や「経営承継成功の秘訣・アドバイス」な
どをお伺いして掲載いたします。

 経営承継は、100社100様ですが、その中から自社に役立つヒントを見出していただけ
れば、所期の目的は達成されたことになります。今後にご期待下さい。

経営承継事業部 一同

経営承継成功事例(第1回)

企業名     小原歯車工業株式会社
面談者     代表取締役社長 小原 敏治様
面談日時  2012年 8 月 3 日
経営承継事業部担当者     長谷川 勇

ヒアリング項目
1.現社長の経歴 
    社長歴  12 年(社長就任 2001 年 8 月 当社 4 代目)
        前社長との関係: 長兄
    社長就任までの職歴
         社外: アメリカの得意先で約1年間研修
         社内: 大阪営業所勤務 2年間
             製造部 生産管理課勤務 4年間
             営業本部長 5年間 (取締役)
             常務取締役 3年間
     
2.経営承継時(承継後)に新たに取り組んだこと

      社長就任の準備
        実施項目:
        ・創業者の初孫としてかわいがられて育てられ、自然に後継者を意識し
         て成長した。
        ・社長の誕生日に創業者がなくなられ、創業者の生まれ変わりを意識し、
           後継者としての運命を自覚した。
        ・大学卒業後、1年間イギリスに語学留学をして、国際感覚を磨いた。
        ・入社後、アメリカの得意先で1年間海外研修をして、海外業務にも
      従事し、国際ビジネスマンとして磨きをかけた。
        ・帰国後、大阪営業所、生産管理課、営業本部長、常務取締役と社内
           の主要業務を経験した。
        成果:
          グローバル化が真剣に議論される以前に、先を読んで1年間のイギ
           リスへの語学研修や、入社後直ちにアメリカの得意先での海外研修
           に従事することで、その後の海外展開の原動力になった。現在の海
           外取引先は26社に達し、海外売上比率は12%である。平成15年
      に、関東経済産業局より、国際化貢献企業として表彰された。

   経営ビジョン、経営方針
        実施項目:
       代表取締役就任を機に、経営理念と経営方針を策定した。
            経営理念:信頼のマーク 「KHK」
            経営方針:信頼と満足の提供
        KHKグループは、歯車を主体とした物作りとサービスを通じて、
             皆様に信頼と満足を提供し、社会貢献いたします。
        成果:
       経営方針実現の一環として、ISO9001(品質)とISO
            14001を全関連会社で取得し、信頼される品質の製品作りと
             環境影響を配慮した活動を行い、総合技術力の高度化に取組んで
      いる。

   経営戦略
    実施項目:
      「歯車工房」(追加工システム)の稼動。標準歯車を、お客様の要望
      に沿って追加工し完成品としてお届けする受注システムである。設計
      コストの削減とリードタイム短縮を実現した。
    成果:
       145品目、9300種の標準歯車を常時在庫して、注文に応じて追加工
      することで、①約束した日に必ずお届けする、②完成品としてお届
      けする、③すぐ使えるという安心をお届けする をすることで、設計
      コストの削減と製造期間の短縮を実現している。多品種・少量・短
      納期生産システムを確立した。

   人事・労務
    実施項目:
      組織的経営に移行した。外部環境要因は管理不可能要因であるが、
     内部環境要因は企業にとり管理可能要因である。経営方針とポリシー
     を明示することで、各組織は各自コントロールする。
    成果:
      経営者が示した経営方針とポリシーに従った各組織の決定事項を
     尊重することで、各組織は自律的に経営に参画している。

   設備投資
     実施項目:
        社長就任に際して、歯車工房(追加工システム)稼動させ、
       そのための旋盤加工機や穴あけ加工機、キーみぞ加工機を導入
       した。
     成果:
        歯車工房の稼動により、設計コストの削減や製造期間の短縮が
       可能となり、直ぐに使える完成品を約束の納期に必ずお届けする
       仕組みが完成し、当社の強みとなっている。

   マネジメントシステムの構築
     実施項目:
        関連会社全社で、ISO9001(品質)とISO14001(環境)を取得
       している。
     成果:
        ISO9001とISO14001は、統合マネジメントシステムとして運用
       している。マネジメントシステムのための経営方針(信頼と満足
       の提供)ではなく、経営方針を実現するためのシステムづくりと
       してISOを運用し、強い組織づくり活用している。

3.経営承継時(あるいは承継後)に苦労したこと
    苦労した事項:     特に無い。
    
4.経営承継成功の秘訣・アドバイス
   経営承継時の環境は、100社100色であり、成功の秘訣として伝えることは
  ない。よく質問を受けるテーマではあるが、各社は各社の経営環境に応じて
  100様の対応策から、自社の適した方法の選択が求められる。

   後継者として入社し、営業・製造・海外市場開拓などに従事し、現場での
  経験、人と人とのふれあい、研修や勉強会などを通して自身の経営観を築い
  てきた。

   社長就任と同時に、自身の経営観を経営理念と経営方針として打ち出した。
  経営理念である「信頼のマークKHK」は、社会に信頼され社会貢献のでき
  る企業を目指している。「会社は私的なものではなく、社会貢献する義務が
  ある」ことを意味し、企業見学やインターンシップを数多く受入れている。

   経営方針の「信頼と満足の提供」は、コンプライアンス経営と、CS(顧
  客満足)・ES(従業員満足)・SS(社会満足)を意味し、全従業員に定
  着させている。
   「心技体」のうち、「心」を最も重視している。誠意を持って仕事をし、
  製品やサービスを売るに際し、礼儀正しい姿勢を最も大切にしている。

   国際化の時代、海外でのビジネス経験は経営者にとり必須の時代である。
  大学卒業後のイギリスへの1年間の語学研修や、入社直後のアメリカの得意先
  での実務研修は、海外市場開拓成功の基礎になっている。

事業部紹介

経営承継事業部は、円滑な経営承継を実現するための、コンサルティング・セミナー・執筆研究を実践する経営コンサルタントのグループです。
経営承継、円滑な経営承継を実現するための経営革新、後継者に選ばれる企業にするための企業再生などの一体的商品開発により、クライアント満足を優先させることを基本方針として貫いています。

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