経営承継事業部

カテゴリー:休憩室

風の盆恋歌

     

町流し          諏訪町通り(日本の道百選)

二百十日の初秋の風が吹く毎年9月1日から3日にかけて「おわら風の盆」は行われます。舞台となるのは江戸時代から越中と飛騨の交流拠点として栄えた富山市八尾町。蚕種、生糸、和紙などの産業により発展を遂げ、格子戸の旅篭宿、白壁の土蔵、造り酒屋など、昔の面影を今も残す風情ある坂の町です。八尾の町の人たちが、哀調のある三味線、胡弓の音色と越中おわら節の唄声に合わせ街筋を流して踊りを披露する、延べ20万人の人が訪れる伝統行事です。

私が、「おわら風の盆」を知ったのは今から三十数年前。その時勤務していた会社の人事部にいたころ。偶然同じ高校の出身でもあった上司のカラオケの十八番が「風の盆恋歌(石川さゆり)」であったことでした。その方は休み時間は常に読書、またカバンは持たず文庫本一つを手に携えて会社に出勤するというスタイル。お酒は弱いけど毎日終業後は居酒屋に誘ってくれて、常に柔和な笑顔を絶やさない、当時30歳手前の私には憧れの上司でした。    その後、私は家庭事情により転職することとなりその上司とお会いする機会もない日々が続きましたが、ずっと心の底にあった「おわら風の盆」。2018年9月、初めて訪れることとしました。八尾の街に到着するや否や聞こえてくる哀調のある胡弓の調べと越中おわら節の澄んだ唄声。編み笠を深くかぶった女性が無言で踊るその振り、所作の気品高さにすぐに魅了されました。公式には踊り行事は23時までとされていますが自然発生的に踊りが始まるという話も聞き、町流しや踊りの輪を求めて各町を未明まで歩き続けました。いつか上司と再会し「おわら風の盆」の思い出を報告しようと思っていた矢先の2018年11月、思いもよらない訃報を聞くこととなりました。

「おわら風の盆」はコロナ禍で2年間中止を余儀なくされていました。2022年は一定の制限の中ではありましたが3年ぶりに開催されたとのこと。私は、今度は小説「風の盆恋歌」(作:高橋治 新潮文庫)を読んで、再度訪れようと思っています。

センチメンタルジャーニー(4)ゲーテ作「ファウスト」

      

人生に大きな影響をもたらした1冊が、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ原作の「ファウスト」である。当時の大学の主要3学部である法学、医学、神学をすべて修めた大学者であるファウストは、現状に満足せず自分の魂と引き換えに悪魔メフィスト(メフィストフェレス)と契約して、魔力を借りて人生を謳歌しようとする。象牙の塔を出たファウストは、メフィストを伴って旅に出る。自分の魂と引き換えに、地上で大いなる快楽を得られるようにメフィストが手配する契約をむすぶ。旅立ちの初めに、悪魔の厨(厨房)に行き、魔女が調合する霊薬を飲み若返る。
若返ったファウストは、穢れを知らない若きグレートヒェンに出会い、近づく二人に反対する母親と兄を騙して殺害し、罪の意識で混乱し子供をも殺してしまい、殺害の罪で刑に処されてしまう。初めて恋をする喜びを知ったが、グレートヒェンの死により悲劇に終わる。
愛する人を失ったファウストは、魔力を利用して神々の存在したギリシャの世界に向かいます。トロイ戦争の原因となった絶世の美女ヘレーネを生き返らせ結婚し息子を授かり幸福な生活を送る。しかし、息子の死によりヘレーネとの幸せな生活は悲劇に終わる。
悲劇を生んだ因果応報で、霊力に光を奪われ死期が近づく。皇帝から頂いた土地の干拓を進め、美しい領地を領民に分け与え領民に尽くす喜びを感じる。人生で最高の喜びを感じて「時よとまれ! お前は美しい!」と口にして絶命する。人生に満足した時に、魂を悪魔にわたす約束の時が訪れた。
しかし、天上の天使が降りてきて、ファウストの魂を天使の歌声に乗せて天上に運ばれファウストの魂は救われる。
「芸術は長く、人生は短し」と言われますが、私は「芸術家の人生は永く、凡人の人生短し」と読み替えています。芸術家は永遠の課題に挑戦し続け、「時よとまれ!お前は美しい!」と叫べる自分の作品に出合える時に恵まれるのだろうか? 凡人の自分においておや?

バイオマス発電


那珂川バイオマス発電所

日本の再生可能エネルギーの発電割合は、2020年速報ベースで20.8%となったと報告されている。太陽光8.5%、水力7.9%、バイオマス3.2%、風力0.86%、地熱0.25%と初めて太陽光が首位になった。2014年太陽光1.9%、水力8.0%、バイオマス1.5%、風力0.47%、地熱0.24%で再生可能エネルギー比率12%に比べ、太陽光の進展が著しい。
毎回の記事は、実際に現地で体験した内容を記載しているが、バイオマスだけは見学できずにいた。今回見学を希望していた、栃木県のバイオマス発電所は、コロナ禍で見学中止となっていたが、6月下旬には見学コース再開とのニュースが入った。一段落したら、是非見学し、報告したい。
那珂川バイオマス発電所の見学は、以下のHPから確認できる。
(窓口)山林舎 http://3rin-sha.com/
学生の夏休みの研究にもってこいです。林業体験他も可能。
廃熱を利用して、マンゴーの生産をしており、パフェも食べられる。
バイオマス発電については、電話ヒアリングとネット情報を使った。
<バイオマス発電>
定義:木屑や燃えるゴミなどを燃焼する際の熱を利用して電気を起こす発電方式
カーボンニュートラル:植物は燃やすとCo2を排出するが、成長過程ではCO2を吸収し、プラスマイナスゼロとの計算による
バイオマスエネルギーの種類:木質燃料・バイオ燃料・バイオガス
木質燃料;建築廃材、製材廃材、林地残林
バイオ燃料:サトウキビ・トウモロコシ由来のエタノール
バイオガス:生ごみ・家畜の糞尿由来のメタンガス
日本の木質バイオマス発電は、2020年2.13GW、2030年6.26GW。を計画しているが、現状バイオマス発電所を所有運営している民間企業の見解は、暗いものがある。
電力会社の発電所から送電網へのアクセス費を企業が負担すること。木質系の燃料の確保は企業が行うと、コスト高な上、ウクライナ禍に端を発した、燃料費の高騰予測で、新たな設置意欲は急速に衰えている。
食の安全保障の観点から、畜産の国内回帰・糞尿処理増に伴うバイオガスの方が安定的かも知れない。

世界遺産巡り アンコールワット

世界遺産とは「地球の生成と人類の歴史によって生み出され,過去から引き継がれた貴重な資産」と定義され、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。

今回はカンボジアにある文化遺産アンコールワット遺跡を紹介します。
夜明け前にツーリストは宿泊先からtuk-tukで一斉に集まります。日の出とともに、遺跡前にある池に映る逆さアンコールワットを写したものが1つ目の写真で、定番のスポットです。

アンコールワットは、クメール王朝が12世紀にヒンズー教寺院として建立したもので、16世紀に仏教寺院に改修されました。日本人との関りもあり、朱印船貿易に伴い1632年日本人の森本右近太夫一房が祇園精舎と勘違いし参拝し、壁面に墨書を残しています。

近隣の遺跡群を含めて屋根が修復されていない建物もあり、個人的にはRPGのドラゴンクエストに出てくる廃墟の街を連想してしまいました。

また、革命により政権をとったポルポト率いるクメールルージュが、1979年内戦により敗走し最後の軍事拠点としたことから、遺跡には生々しい弾痕が多数残っています。

余談ですが、遺跡のあるシェムリアップの街中にも、当時クメールルージュによる大虐殺の処刑場であったキリングフィールドの一つがあり、数えきれないほどの頭蓋骨が展示されていました。キリングフィールドはノンフィクション映画のタイトルにもなりました。劇中では悲惨な映像が多い中、主人公がクメールルージュ幹部からフランス語で話しかけられ、(知識人は真っ先に処刑となるため)理解出来ないフリをする場面が印象的でした。

アンコールワットは1992年の世界遺産登録となりますが、同時に危機遺産でもありました。悲劇の場となった歴史も含めての文化遺産であることを考えるとより一層灌漑深くなります。

センチメンタルジャーニー(3)若きウェルテルの悩み

   

    新潮文庫         作者 ゲーテ        シャルロッテとウェルテル

学生時代、京都国連協会の会長から忠告を受けた。新聞を読むより総合雑誌を読め。雑誌を読むより単行本を読め。最新刊の単行本より、古典を読めと。現代ものの知識はあすの命も知れないが、古典は時代の荒波を乗り越えて現在に生き、古典の知識は、生涯に渡って血となり肉とると。

先日、書店で偶然「教養としてのゲーテ入門(「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで)」を見つけて購入した。「ファウスト」は人生の指針となった古典であるが、今回はウェルテルについて触れたい。本書は、独身の若者が、友人のウィルヘルムに送る書簡の形式(書簡体小説)で、心情の激しい起伏を表現している。友人と園遊会に行くとき、シャルロッテを拾い同乗する。美しいシャルロッテには許婚がいると友人より忠告されたが、深い恋に陥ってしまう。シャルロッテの家をたびたび訪れ、幼い妹や弟たちから慕われ、シャルロッテも好意を見せるが、許婚のアルベルトが旅先から帰り、ウェルテルはその地を去る。

別の地で官職につくが、上司や同僚となじめない。親切な伯爵家でのパーティで上流貴族から屈辱を受け、職を辞して元の地に戻る。旧知の作男が未亡人への恋心から殺人を犯した。作男の運命を自分に運命に重ね合わせたウェルテルは自殺を決意する。旅に出るのでピストルを貸してほしいとアルベルトに少年を遣わせる。アルベルトはシャルロッテに、少年にピストルを渡すように命じる。シャルロッテは、ウィルテルの自殺を予感しながら少年にピストルを渡した。ウィルテルは、恋しいシャルロッテの手のにおいを感じながら引金を引いて命を絶つ。

「教養としてのゲーテ入門」の著者によると、ドイツの特定作家のファンは絶命危惧種であると。ゲーテファンとしては寂しい限りである。

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