6月になりました。日本では例年、7月~10月にかけて大雨・台風による水害が多く報告されています。大雨・台風では、川の氾濫や土石流、がけ崩れ、地滑りなどが発生しやすく、甚大な被害をもたらす危険性があります。本稿では、水害に備えて、ハザードマップの確認と事業継続力強化計画の策定について記載します。
1.温暖化で豪雨が増加する
近年、短時間に狭い範囲で非常に激しく降る雨が頻発しています。記録的大雨という言葉も新聞でよく見かけるようになりました。気温が高いほど大気に多くの水蒸気を蓄えられるため、豪雨災害につながりやすいというわけですが、IPCC第6次評価報告書によると、産業革命前からの気温上昇が1.1度である現在は、大雨の頻度が1.3倍になっていると報告されています。今後更に地球温暖化が進み、産業革命前からの気温上昇が1.5度、2度になると、大雨の頻度はそれぞれ1.5倍、1.7倍になると予想されています。事実、日本では、大雨の年間発生回数は、1976年~1985年までは平均174回、2008年~2017年までは平均238回であり、この30年間で1.4倍に増加しています(中小企業庁:「中小企業白書2019年版, 第3部第2章防災・減災対策」より)。今後も気候変動の影響により、日本では水害が頻発することが懸念されています。
2.ハザードマップを確認しましょう
前掲の中小企業白書によると、自然災害への備えに取り組んでいない企業の理由として最も多い回答は「何から始めれば良いか分からない」であり、そのように回答した企業の7割以上がハザードマップを確認していないと報告されています。更に、ハザードマップを見たことがない企業の3割は、水害による浸水リスクを抱えているとされています。まずは、ハザードマップを確認することを推奨します。代表的なハザードマップは以下の通りです。
○J-SHIS(地震ハザードステーション) http://www.j-shis.bosai.go.jp/
○国土交通省ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/
○地域の自治体HP(国土交通省HPからアクセス可)
3.水害に備えて事業継続力強化計画を策定しましょう
事業継続力強化計画とは、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために必要な項目を盛り込んだもので、将来的に行う災害対策などを記載するものです。計画策定の目的は、1)防災・減災の事前対策を行うこと、2)災害時の迅速な行動力を養うことであり、実効性を担保するためには、継続的な見直しと教育訓練が不可欠です。効果的かつ効率的に進めるためには、専門家の活用が有効です。
ぜひ、さいたま総研にご相談下さい。