信頼できる人口予測によれば、2100年、日本の人口は明治維新の頃の3300万人に限りなく近づき、高齢化率は40%を超え、東洋の小国に逆戻りする。一方、インド15億人、アルジェリア8億人と人口爆発し、移民の国米国は4億人、美・食・愛の国フランスは7000万人に拡大する。中国は3億人減少して10億人規模となる。
地球温暖化は進行しており、2℃上昇すると、インド、アフリカ、中国等、砂漠化が拡がり、干ばつによる食糧危機が起こるとみられる。
さて、近未来の日本の農業について述べてみよう。農家数は、現在の3分の1以下、42万戸程度に減ると推測した。
農業産出額は、2014年8.4兆円、1984年11.7兆円、生産農業所得は、2014年2.8兆円で、1984年4.5兆円と、大きく低下している。現在の状況としては、助成金、補助金等政策的な拠出金は、4兆円近くになる。食料自給率はカロリーベースで39%と、日本の基本穀物の生産高は、途上国に輸出できる状態ではない。
現在就農者の平均年齢は67歳になっている。先進国のフランス、ドイツ、米国等の農業経営者の平均年齢は40、50代半ばで、農産物市場は開放されており、商品開発がしっかりしている。しかし、日本の40、50代層は、青年期に消費社会を迎え、就農するより会社員生活を選んだ。都市近郊農家では多くが兼業農家になった。
おそらく、10年後には就農者数は激減し、このままでは農業産出額は国民の需要を満たせなくなるほど低下してしまう。将来の日本は、食料輸入がひっ迫し、戦後のような食糧危機の再来が懸念される。
今、日本農業は転換期、イノベーションが必要とされている。しかし十分対応できていない。
45歳までの新規就農支援制度で、農業に取り組みやすくなった。3年間の所得補償、低利の貸付等、農業に参入する環境は整っている。しかし、途中で離農する者も多い。定着するのは1万人程度である。
農業は、新しい仕組みを取り入れ、脱皮しなければならない。大規模化、六次化、生産性向上といった農業改革に迫られている。新しい時代の農業は、家業から農業ビジネスに転換しなければ成り立たない。様々な農業ビジネスモデルが生まれると予想できる。その萌芽として、二つの事例を紹介する。
一つ目は、、イオンアグリに代表される。全国に圃場や次世代園芸施設を有し、生産から販売まで一貫したリテール型(製造小売)農業モデルを展開している。似たモデルとして、ワタミ、カゴメがある。どのような農産物がいつどれくらい必要なのか、そのためにどうするのかといった基本的なことがビジネスモデルに組み込まれ、農業ビジネスとして、さらに進化しつつある。
二つ目は、 地産地消六次産業型農業で、各地に、特徴的な成功事例が続出している。地域の生産者が、その地域に適した農産物、伝統的に作ってきた農産物を、その地域の消費者に適した商品として提供するビジネスモデルで、新鮮さや風土になじんだ美味しさが、地域還流の経済にも適している。地域ごとに、お金が落ちて、地域の中で回る経済が、地域の活性化にも貢献している。
以上、二つのモデルは、マーケティングを主流にしたビジネスモデルで、大きくとらえれば、これからは顧客志向型農業をめざすべきといえる。以上、将来の主流となる農業のモデルを示した。