ものづくり事業部

事業部トップ>執筆者:遠山 純夫

執筆者:stoyama

第56回 重大事故未然防止とリスクマネジメント

近年重大事故やリコールを切っ掛けとして、大企業が倒産したり窮境に陥る事例が頻発しています。それらを紐解いていくと、開発設計時点では「想定外」だったものの、事故後に検証してみるとデザインレビュー(DR)やリスクマネジメントの不備に行きつくことが多々あります。また自然環境の激変やコロナ禍をはじめ、過去の常識や経験だけでは防ぎきれない災害や事故が頻発しています。どうすれば重大事故・品質トラブルを未然防止して、事業継続を図れるのか?その考え方の基本を紹介します。

1.他社の失敗事例に敏感になろう!
一番大切なことは、他社等の失敗事例が報道される度に「当社は大丈夫だろうか?」と振り返ってみることです。重大事故未然防止の代表的成功例は、JR東日本の橋脚補強工事成果による新潟中越地震(2004/10/23)での新幹線脱線・死傷者ゼロ達成です。JR東日本は、1995/1阪神淡路大震災における阪神高速道路倒壊事故を受けて、即時自社設備の点検・補強工事を2度累計5年間に亙って実に18,000本の橋脚補強工事を行いました。1回目は地震多発地域の橋脚3,000本を補修しましたが、2003/5には対象外地域だった宮城県沖地震で橋脚30本にひび割れが発生した事実を重く見て東日本全域の橋脚15,000本を補強したのです。その後の度重なる大地震でも、新幹線に被害が出ていないのは、この時の橋脚補強工事の成果だとみています。

2.商品・システムの企画・設計・上市には「安全デザインレビュー」を行おう!
消費者製品や自動車のリコールは後を絶たないほど発生しています。これらの品質重大事故を防ぐためには、商品企画・開発設計時点での安全性やリスクの想定・確認・検証が極めて重要です。私はこれを「安全DR(デザインレビュー)」とよんで、開発度の高い製品への関係者全員による取組みを推奨しています。特に社会や人・経営に重大な影響を及ぼす品質事故をどう想定・リスク抽出して対策を講じるかが如何に大切かは、㈱タカタのエアバッグ暴発による倒産等の事例を見ると判ります。下図は経産省が推奨するリスクアセスメント手法「R-Map」を改良した「遠山式R-Map」です。ここにサンプル記載されている「タカタエアバッグ」や「福島原発事故」のようにならないようにリスク対策をしましょう。

第44回 2020年補助金始動!

2020年度の政府・自治体予算案が確定しつつあり、今年も各種補助金公募が間近となってまいりました。
今年の補助金の特徴や主な変更点を追ってみます。

  1. ものづくり補助金
    2020年は、一般型以外にグローバル型等5類型に多様化/最低賃金要件追加と賃上げ年1.5%要件化/創業者優遇加点(3年内モノ補助交付者減点)/3か月ごと複数回採択/全面Jグランツ電子申請等が変化点および特徴です(3月~公募開始予定)。
  2. エネルギー合理化補助金
    SIIが公募する省エネ補助金以外に、エネルギー合理化補助金生産設備枠が新設されて、マシニングセンター・レーザー加工機・射出成型機・プレス機・印刷機等の最新型式が対象となります。補助率は1/3ですが、高額設備の場合は上限1,000万円のものづくり補助金よりも高額補助となり得ます。
  3. IT補助金・事業承継補助金
    2019年と類似のIT補助金および事業承継補助金が予算化されています。市販のITソフトウエア購入ならIT補助金を(A類型上限150万円・B類型上限450万円)、2017年4月以降に経営者が交代して新たな取組を行う場合は事業承継補助金(経営者交代型225万円・M&A型450万円<通常>)を申し込めます。
  4. 省エネCO2リサイクル設備高度化補助金
    廃棄物・3R財団が78.3億円の予算を基に、プラスチック&非鉄金属リサイクル事業者のマテリアルリサイクル国内循環に資する破砕・選別・洗浄・造粒等の設備投資の1/2補助を複数回募集します。
  5. 電子申請システム「Jグランツ」
    大半の補助金申請が「Jグランツ」という電子申請に統合され、「Jグランツ」を利用するためには「GビズID【gBizプライム】」を事前申請・取得する必要があります。

補助金のご相談はさいたま総研(TEL:048-859-6849/E-mail:soken@ss-net.com)まで。

第35回 投資優遇税制を活用しよう

国内経済活性化と国際競争力向上を目指して、政府は数々の投資優遇税制を設けています。特に平成31年政府予算では、これらの投資優遇税制が拡充強化されています。今が投資のチャンスでしょう。そこで今回4つの優遇制度概要を紹介します。
1.経営力向上計画認定による中小企業経営強化税制:
 原則取得前に経済産業局の認定を受ければ、機械装置等取得額の法人税控除または即時償却と固定資産税3年間半減を得ます。2019/3月までの時限制度でしたが、2021/3月まで延長されました。

2.先端設備等導入計画認定による生産性向上特別措置法適用:
先端設備等を取得前に法認定された市区町村の認定を受ければ、固定資産税が3年間ゼロとなります。改良設備であることを証明する「工業会証明書」が必要です。
設備投資関連税制(出典:中小企業庁HPのH31年予算説明資料より抜粋)

3.地域経済牽引事業計画認定による未来投資促進法課税特例:
工事着工・設備取得前に道府県知事および担当大臣の認定を受ければ、取得額の一定比率の法人税控除または特別償却ができます。機械装置等は4%控除/40%特別償却、建物は2%控除/20%特別償却できます。2,000万円以上の投資で、先進性のある高額付加価値地方投資が対象(大企業でも適用可)です。建物への投資優遇が特徴です。

4.企業立地優遇制度による不動産取得税補助:
各県は企業立地優遇制度として企業立地促進補助金制度を有しています。一般的には、高額・広面積の事業用不動産を取得・進出した場合に、不動産取得税相当額が補助金還付されます。県ごとに要件や制度に差があり、大企業でも適用可です。

4を除く1~3はいずれも投資実行前に事業計画を認定しておくことが、課税特例適用の要件です。また資産区分ごとおよび国税・地方税ごとに、どの制度のメリットが大きいかは異なってきます。よって複数の認定を取得しておいて、税申告時点で最もメリットのある制度を選択適用するのが賢い節税となります。なお適用には各種要件がございますので、担当官庁またはさいたま総研にご相談下さい。

第12回 何故品質トラブルはなくならないのか?リスクアセスメントの勧め

大企業の製品リコールが度々発生しています。何故品質トラブルはなくならないのでしょうか?多くのものづくり企業は、技術力を駆使した製品を開発生産して販売しています。市場品質トラブルが発生すると多額の処理コストが発生して、経営に大打撃が当たってしまいます。どうやって大品質トラブルを防止したり、減らしたら良いのでしょうか?

まず第1は、人や機械はたまにミスやエラーを起こすという前提で対応することです。生産工程への適用を「検査」といい、設計工程への適用を「デザインレビュー(DR)」と言います。検査を自動化する例が増えていますが、検査・DR共にプロセス担当者以外に第3者(機械を含む)が検査・DRを行うことが、不良流出を防ぎます。

次に第2は、製品の使われ方や捨てられ方(製品ライフ)を想定して、甚大なリスクへの対策を未然に採っておくことです。これを「リスクアセスメント・リスクマネジメント」と言います。東日本大震災による原発事故で、放射能漏れが起きてしまい、未だに何兆円も掛けた対策を実施しているのは、生々しいトラブル事例です。万一「全電源喪失」となっても炉心溶融にならない為の対策が何年も前に議論されながら、しかも対策内容も判っていながら「そこまでの被害はありえないだろう」との想定が、取り返しのつかない甚大事故を発生させてしまいました。政治家や学者は、判断ミスによるツケを国民に背負わせることで逃げることができますが、企業経営者にとって甚大な品質事故は文字通り「企業生命」に係わってきます。そこで「リスクアセスメント」を学んで、企業生命に係わるリスクにだけは対策を講じておくことを勧めます。

「リスクアセスメント」のこつは、製品供給者が望まない使われ方や環境ではどうなるか?を想定してみることです。その場面で、人に危害が及んだり火災が発生するような大トラブル(事象)に着目します。製品が動作しないだけというマイナー?トラブルは無視します。もう一つのこつは、そのトラブルの発生確率はどれ位の頻度であるか?を考えることです。タカタのエアバッグ事故では、事例が数件になってから騒がれ始めました。そして最後に、重大品質トラブル要因は、「製造<設計<開発」ということを認識して対応することです。何ごとも初めての取組み(=開発)にはリスクがつきものであり、そのリスクはどの位の大きさでどれだけの発生頻度かを予測する取り組みが大切ということです(トヨタ自動車は、DRに変化点管理を持ち込んだ「DRBFM」という手法を開発して普及しています)。設計や開発のある中小企業は、ぜひ「リスクアセスメント」にも取り組んで、企業生命に係わるような大トラブルを未然防止しておきましょう。「リスクアセスメント」詳細は以下もご参照下さい。

リスクアセスメント・ハンドブック(経済産業省)
製品安全注意喚起リーフレット(nite)

第1回 商品化強力のツボ 商品化コーディネーターを育成しよう (遠山純夫)

ものづくり企業はとかく「生産力」に注力しがちですが、企業成長には「商品力」と「販売力」、
そして「経営力」が欠かせません。
ものづくり事業部の専門家がリレー連載して「ものづくり経営革新への道」と題して、
各種人材育成情報を提供していきます。

第1回は「商品力強化のツボ:商品化コーディネーターを育成しよう」です。
昨今世界中でキックススターターやファンドから融資を受けた「ものづくりベンチャー企業」が続々と
新開発商品を上市(販売開始)しています。
彼らは自ら強みである商品企画と開発設計にのみ注力して、その他の機能をアウトソースすることで
商品化の実現力とスピードを確保しています。経営資源の少ないものづくり中小企業が、
魅力ある新商品を上市するには、この「ものづくりベンチャー企業」方式を採用すると良いでしょう。
しかし不足する機能をアウトソースすると言っても、そもそも商品化には何が必要で
どこにアウトソースすれば良いのかわからなければプロジェクトは遅延・迷走・失敗します。
そこで「商品化コーディネーター」が、新商品のゴールである商品販売に漕ぎ着ける計画と実行を担います。

「商品化コーディネーター」は何をするのか?
商品化(新商品の企画・設計・生産~販売開始)の主な機能と業務は下記のようになります。

  1. 商品企画   :商品企画・市場調査・設計構想・商標登録
  2. 技術開発・知財:要素技術開発・特許取得・特許調査
  3. 基本設計   :メカ設計・回路設計・ソフト設計・要素部品設計
  4. 周辺設計   :金型・プリント基板・パッケージデザイン・タグデザイン・取扱説明書・生産工程設計
  5. 試作     :原理試作・二次試作・量産試作
  6. 試験・評価  :評価試験・デザインレビュー(DR)
  7. 品質保証   :信頼性・安全規格認証・フィールドテスト・リスクアセスメント
  8. 販売準備   :カタログ・Web広告・メディア広報・展示会・販売チャネル
  9. 間接業務   :アウトソース契約書・OEM先選定・輸出入管理・アフターサービス

これらの機能や業務の中で、自社にないもしくは弱いものはアウトソースすればよいのです。
しかしこれらの必要な機能を理解して、契約作成・日程管理・品質確認しない限り、
プロジェクト(商品化)の成功は望めません。
「商品化コーディネーター」が、商品化プロジェクト全体のガントチャートを作成し、
進捗管理を行うことでゴール達成をナビゲートします。
この「商品化コーディネーター」(プロダクトマネージャーから人事権・損益責任を取り除いた
機能横断スタッフ)が、商品化の成否をかなり左右します。
「商品化コーディネーター」経験専門家の支援を受けながら、
自社の「商品化コーディネーター」を育成していくことが、ものづくり企業の「商品力」を上げるポイントです。

なおものづくり部品メーカーの方は、「商品化」機能は必要ないとお考えの場合が多いようですが、
違います!
少なくとも設計機能を有するものづくり企業の全てが、商品化の質を上げる為に
「商品化コーディネーター」を育成することを推奨します。

中小企業診断士:遠山純夫

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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