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第25回 タンザニア国のカイゼンの状況

私は、JICAの第Ⅱ期タンザニア国・品質・生産性向上(カイゼン)PJに参加して、タンザニア国のカイゼン普及支援事業に従事致しておりますので、タンザニアのお国柄とタンザニアのカイゼンの状況についてご紹介致します。

1 タンザニアってどんな国
(1)概要・地理
タンザニア連合共和国、通称タンザニアは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国です。ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、ザンビア、マラウイ、モザンビークと国境を接し、タンガニーカ湖対岸にはコンゴ民主共和国があり、またインド洋に面しています。タンザニアの面積は945,087km²であ、世界31位の広さでエジプトに続き、ナイジェリアとほぼ等しいです。また、日本の約2.5倍です。北東部には、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山(5,895m)があり、北部にアフリカ第一のビクトリア湖、西部にアフリカで最も深いタンガニーカ湖があります。この南のニアサ湖を含めアフリカ三大湖が存在します。これらはアフリカ大地溝帯が形成したものです。中部には高原が広がり、東部海岸は蒸し暑い気候で、ザンジバル島(ウングジャ島)がすぐ沖合にあります。

タンザニア気候は国土の大半がサバナ気候に属し、中央部がステップ気候、南部と北部の高原部が温暖冬季少雨気候です。降水量は海岸部やビクトリア湖岸、キリマンジャロ周辺では年間1000mmを超えますが、内陸部では500mm程度のところが多いです。植生は、海岸部に熱帯半落葉降雨林が、内陸部にミオンボ(またはミヨンボ)と呼ばれる熱帯広葉雨緑乾燥林指導風景が広がっています。
生態学上貴重な野生公園が数多くあり、日本からも多くの熟年観光客が野生動物を見るため押し寄せています。 また、人口は5,557万人(2016年:世銀推計)です。


(2)風土・民族・宗教

アフリカでも有数の大自然に恵まれ、文化的にもスワヒリ語を国語とし、アフリカ在来の言語が大きな役割を果たしている数少ない国家です。公用語としては、スワヒリ語と英語です。民族にはスクマ族,ニャキューサ族,ハヤ族,チャガ族,ザラモ族等を始めとして、約130の部族がいます。部族が多いことが幸いしてか、1つの部族のみが強大な力を持つことが難しいため、民族間紛争が起きにくく、国内は政治的安定が保たれています。宗教はイスラム教(約40%),キリスト教(約40%),土着宗教(約20%)のとなっていますが、インドからの印僑も多く、ヒンズー教の寺院がダニエスサラームには多く存在しています。

(3)政治・経済
1)政治
1996年に立法府の議事堂が法律上の新首都ドドマに移転されましたが、ダニエスサラームには、政府官庁が存在するなど、事実上の首都機能を有しています。また、ダニエスサラームは経済面でも中心となっています。しかし、ダニエスサラームがタンザニア国土の東のはずれに位置していること、都市の混雑が激しいとの理由から、現在、政府機関の大規模な移転がダニエスサラームからドドマに行われており、政治都市のドドマと経済都市のダニエスサラームとの分離が急速に進んでいます。私達のPJが関係している、カウンターパートの政府機関も近々の内に、ドドマへの移転が計画されています。
2)経済の概要
タンザニアは、1961年の独立後,社会主義経済政策を推進していましたが、1980年代に入り経済は危機的状態に陥り、1986年以降、世銀・IMFの支援を得て、社会主義経済から市場経済へと転換しました。規制緩和等を通じ経済改革を推進しましたが、90年代は経済が停滞しました。その後、2000年頃より経済成長し、鉱業・情報通信・運輸・建設等の産業が順調に伸び、一定程度バランスのとれた成長がみられる様になりました。また,貧困削減に向け、労働人口の約7割を占める農業分野の成長と生産性向上に努めています。主要産業の生産額の比率では、農林水産がGDPの約19%、農業従事者は労働人口の約66.9%で、主な生産品は、メイズ・豆類・コメ・カシューナッツ・タバコ・小麦・コーヒー・綿花等です。鉱業・製造・建設分野がGDPの約24%、サービス分野がGDPの約38%となっています。

その中でも、タンザニアの観光業は重要な産業で、成長を続けています。タンザニアにおける観光業はGDPの17.5%を占め、外貨収入の25%を占めており、金の輸出についで第2位の外貨獲得産業となっています。2004年にタンザニアに入国した観光客数は約60万人であり、1995年の2倍に達しました。さらに2016年には観光客数は130万人となっており、増加の一途を辿っています。観光客の目的はモロゴロ保全地域やセレンゲティ国立公園などでのサファリ、キリマンジャロへの登山、ザンジバル島のストーン・タウンなど歴史遺産やザンジバルでのビーチリゾートなど多岐に渡っています。

(4)日本国政府のタンザニアへの開発協力
タンザニアは, 1961 年の日本との外交関係樹立以降, 穏健な外交方針と安定した内政の下, 国際場裡及び二国間関係において日本と良好な協力関係を維持してきた友好国です。また、タンザニアは、近年, 毎年年率7%近い経済成長を達成し, マクロ経済指標が安定的に推移し、 「タンザニア開発ビジョン2025」に掲げる2025年の中所得国化に向けて経済・社会開発を推進しています。1人当たり国民所得は過去5年で30%以上の伸びを見せています(2010年700ドル→2015年920ドル)。近年探査が進む天然ガスを始めとする豊富な資源, 域内最大規模の人口等の諸条件を踏まえれば, 今後の日本企業によるアフリカでのビジネス展開の拠点となる潜在性は高く, タンザニアとの間で広く関係強化を図ることの意義は大きいと日本政府は捉えています。

さらに、重点分野として、経済成長のけん引セクターの育成を1つの柱として掲げており、その中で工業化を最優先課題とするFYDPⅡの下, ビジネス環境改善, カイゼン等を通じた活力ある企業部門の育成などに取り組むことが大きなテーマの1つになっています。カイゼンについては、活力ある企業部門の育成・強化の観点で、全国のカイゼン運動の展開を通じて、製造業を含む幅広い業種・部門におけるタンザニア全体の生産性向上を通じた企業競争力強化を支援することが期待されています。

2 タンザニア国のカイゼン活動の状況
上記の流れの中で、私が従事しているタンザニア国カイゼン・プロジェクト【正式名称:タンザニア国品質・生産性向上(カイゼン)による製造業強化プロジェクト フェイズ2】が第1フェイズの後続プロジェクトとして実施されています。本プロジェクトは、全期間中で、カイゼン指導企業を100社(内大企業30社、中小企業70社)、更に、カイゼン指導員120名を育成する目標で3年間に亘り全国8州で実施される予定になっています。私が第1バッチで指導する、企業は8社、カイゼン指導員は17名となります。企業の業種は縫製業、建築鋼材製造業、食品加工業、プラスチック加工業、金属加工業、化学産業で、従業員規模も、大は2000名から小は20名の企業まで業種も従業員規模も様々です。

カイゼン研修員も、中小企業振興公社職員、貿易産業省職員、輸出特区職員、大学工学部教授、政府系銀行職員、工業団体職員と様々です。カイゼンの指導は、5S、ムダ取り、レイアウト変更、標準化を主体とするBasic カイゼンとQC storyによる高度な問題解決に取り組むAdvanced カイゼンの2つのコースから構成されています。研修生も企業のカイゼン担当者や、熱心に活動に取り組んでおり、発展途上国のカイゼンは濡れ雑巾を絞ることに似ており成果が直ぐに出てくるため、皆カイゼン活動を楽しんでいる様に見え、今後も活動が大いに期待されています。

指導風景アフリカでは、JICAにより、カイゼン普及PJがタンザニアの他エチオピア、エジプト、ジュニジア、ガーナ、ケニア、ザンビア、マラウイ、カメルーン他で実施されています。2016年の8月にケニアのナイロビで開催されたTICAD Ⅵで、安部首相が1万人の工場経営者の育成支援を約束しました。このため、今後ともアフリカでカイゼンを導入する国が益々増えてきます。アフリカ諸国からは、多くの資金を要さず、製造業の品質・生産性向上に大きな成果をもたらす、日本のカイゼンに熱い視線が注がれています。

<研修員による企業でのカイゼン指導風景>

 

 

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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