ものづくり事業部

年別アーカイブ:2017年

第14回 PPAPの商標から学ぶこと

ピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン」の商標について、全く無関係の第三者が先に商標出願していたことは、話題になりましたのでご存知の通りです。このことから我々が学ぶべきこと、そして企業が経営革新を進展させるために大切なブランドを第三者から守るための術を考えてみました。

(1)商標は早いもの勝ち
何といっても、商標は早いもの勝ちであるということです。
もし、先に商標を使っていても、特許庁に申請していなければ、その商標が魅力的であればあるほど、他人に出されるリスクが高くなります。
そして、これまで、他人の先取り出願によって、1)屋号の変更、2)名刺・看板・パンフレット・カタログ・ちらしの差し替え、3)商標を付けたお皿,どんぶり等の差し替え、④ホームページの書き換えを余儀なくされた方々が数多くいらっしゃいます。

(2)ピコ太郎側の申請は、最終的に登録される可能性が高い。しかし、それは、たまたま
第三者による『PPAP』の商標申請が認められる可能性は低く、ピコ太郎さん側の申請は、最終的には晴れて登録になる可能性が高いと予想されます。しかしながら、それは、①ピコ太郎さんの『PPAP』が全国的あるいは世界で広く知られており、②B社の商標取得目的が先取り申請であるとある程度類推できるためです。
全ての人の商標が、ピコ太郎さんのケースと同様に、他人の先取り申請から守れるか?、というと、必ずしもそうとは言い切れないのが実情です。

(3)先取り申請があると、先取り申請が潰れるまで権利にならない
また、先取り申請があると、先取り申請が潰れるまで権利にならない、ということです。そして、長期化すると、登録まで3年以上待つはめになります。

(4)争いは不毛。やはり、使いたい商標は、早く申請するのがベスト
商標申請するにあたって、特許庁への費用のほか、弁理士への費用がネックになりますが、万が一トラブルが生じたら、かかる費用は、その数十倍です。商標申請をトラブル回避の保険とみる感覚も必要です。

(5)企業が経営革新を進展させるために大切なブランドを第三者から守るための術
第三者から守るための術ですが、何といっても、時間をかけてじっくりと検討されたブランド名がある日突然使えなくなったり、少しだけ変えたパクリ品を後発の他社が使い出したりする事態を何としても避ける、ということです。
そのためには、これで売り出すぞ、と決めた商品名については、速やかに商標申請されるということが最大の防御になります。

そして、万が一、他人が先に申請していても、直ちにはあきらめないことです。特許庁は、「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」として、自身の商標申請を直ちに断念しないよう、注意喚起を促しています。
⇒https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

商標申請について、少しでも分からないことがある場合は、商標のプロフェッショナルである弁理士に相談されることをお勧めいたします。

 

第13回 オープンダイアローグと企業支援シスエム

最近、オープンダイアローグが注目されています。オープンダイアローグとは、フィンランド一部地域にて行われている、急性期の精神病患者に対して、連絡後24時間以内に医師、看護士、カウンセラー等が患者の元に集結し患者を含めて会話をしながら治療するシステムです。すべての会話・検討を患者と共に行うので、このような名前になっています。速やかな対応が良好な結果を残しているそうです。

例えば、このようなシステムを企業支援のシステムに応用することはできないでしょうか?
もちろん、企業は患者ではないですが、対応すべき何らかがある点において共通するかもしれません。
例えば、自社で開発して、製造し、販売すること。これは大変重要ですね。
大変ですが、何といっても達成感があります。
しかし、確認すべき点があります。
特許権等の知財は大丈夫?
自社が出願することは任意ですが、製造する製品に関する特許権等を他社が持っていたとしたら。何となく厄介なことになるかも・・・チョット不安ですね。
しかも、「もうすぐ製造」。販売のメドがつき、いけそうなのに。取引先から知財の点で大丈夫かどうか聞かれることはよくあることです。
そんなとき、場合によっては、大丈夫かどうかを確認する作業が必要です。
そこで、弁理士の仕事(弁理士に限りませんが)の一つとして、権利関係等の調査があります。
製造予定の製品を実際に販売しても、特許権等を基に他社から文句を言われそうかどうかを確認します。
調査結果に問題がなければOK。問題があれば一緒に考えましょう。技術面、資金面、生産管理、製造コスト等も同時に検討しなくてならない可能性もあります。そのときには多くのプロフェッショナルが必要になるかもしれません。この点においてオープンダイアローグ的対応が必要かもしれません。
なんといっても「もうすぐ製造」なので時間がありません。
事業をより円滑に進めるために一緒に考えていきましょう。

なお、私事ですが、平成29年1月より、お茶の水内外特許事務所の所長となりました。よろしくお願いいたします。
事務所の場所は虎ノ門です。この場所にいながら、弊所の会議室の稼働率が低いことに気が付きました。会員の方でもし必要であれば、空いている時間に無料でお貸します。12人程度が囲めるテーブルが一つあります。本当に何のお構いもできませんが、よろしければどうぞご連絡ください。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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