ものづくり事業部

成功する企業はベストコストをつくり込む(40)

6.コストはデザインできるか

6-7 目標達成手段はいろいろ

● コストの創出術とでもいうか
 まだ数十年も経たない以前の話ですが『わが国固有』の概念として、原価企画という考え方が生まれました。発祥元は管理会計の分野なのですが、著者が初めにこの概念の存在を知ったとき、従来にはなく優れた思考であると思えました。
 というのは、その第一に原価企画が先行管理の考え方をすることです。コストダウンの見地からすれば『会計学的手法』は、どうしても後追い管理になってしまうと説明したものです。が、原価企画の考え方は、コストを予め『企画』していく積極性を感じます。
 予めという点では標準原価管理法でも、年間の予算制度と相俟って、事前に『原価計画』をたてます。つまり先の第4章 4-4.後追い管理になってはいないか(’12.12.19.掲載)で指摘したように、標準原価自体はP-D-C-Aサイクルの一環として存在し、生産活動後の『Check』や『Action』に重点が置かれて管理されるため、やはり後追いになるわけです。
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成功する企業はベストコストをつくり込む(39)

6.コストはデザインできるか

6-6 後からスペックダウンは許されない

● 品質水準はさまよう
 過剰品質はコストとの関連で、どのレベルに『限界』があるか、簡単にはわかりません。なぜなら比較対象が、他社製品との『差別化』という、ファジイ(あいまい)な存在だからです。
 たとえば、建築基準法などで「震度6まで耐えること」と決まっているとすれば『材質強度』と『建築構造』から支柱の太さが決まります。必要条件以下の柱を使えば、品質不安が残りますが、安全率を「見込み過ぎる」と過剰品質によるコスト高になるでしょう。  続きを見る >

成功する企業はベストコストをつくり込む(38)

6.コストはデザインできるか

6-5 過剰品質がコストへ及ぶは必然

● 品質の形成や維持にはコスト
 コストは品質に「ついてくる」のですから、あるレベルの品質を形成し、維持するためには製造品質はもちろん、設計品質にも市場品質でさえも、あるレベルのコストを要します。
 コストは前回の図表6-8に示したように、企業経営的な性格を異にしています。が、ベストコストはトータルコストです。ですから、性格の違うこれらのコストが『設計』『製造』『市場』それぞれにベストの『品質レベルを形成・維持』していなければなりません。
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成功する企業はベストコストをつくり込む(37)

6.コストはデザインできるか

6-4 要求品質が見えないかぎり

● 市場品質で勝負する
 お客様に提供する商品やサービスの品質は、図表6-8に示すところの製造品質だけを指しているのではありません。たしかにお客様に供給される品質は、設計品質で定められた諸要件を実現する製造段階で形成された製造品質がベースであることに違いありません。
 しかし、商品に求められる品質は『顧客満足(customer satisfaction:CS)を要件』とした市場品質において、最終的に決まるものです。つまり商品の『供給品質』は『需要品質』への適合で、その良し悪しのすべてが確定するわけです。
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成功する企業はベストコストをつくり込む(36)

6.コストはデザインできるか

6-3 品質にコストがついてくる

● 適正ではない適性コスト
 商品に『あるレベルの品質』をもたせてつくりこむためには、絶対に『あるレベルのコスト』が必要となります。
 ですから、まだ概念に過ぎないベストコストをつくりこむためには、はじめに『品質の水準』を具体化しなければなりません。つまり人々の生産活動において、品質第一主義はゆるぎないからこそ、ある品質レベルにおける市場での適性な販売価格が生まれてくるのです。
 したがって販売活動の側面からみた適性価格の根拠になる適性コストとは、あるレベルの品質を形成するために必要な、いわゆる「世間相場的、現実的」なコストの最低水準を指しているはずです。が、必ずしもそれが、適正コストとはいえません。
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事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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