ものづくり事業部

第34回 ものづくりは人づくり Part2

今回は働き方改革と人材育成について述べたいと思います。働き方の中で問題視されるものに残業があります。その残業時間を考える前に人の集中力について考えてみたいと思います。    

人間が集中できる時間は諸説ありますが、15分間から45分間とも言われています。デスクワークにおいても同様なことが言えると思います。また、人が作業をする時間は起床後13時間
[1] までが限界と言われています。つまり、朝6時に起きた人ならば夕方7時が限界になると言うことです。それ以降の時間は、「酒気帯び運転」と同じレベルの脳の状態しか得られないと言われています。15時間を超えると「酔っ払い運転」と同じレベルの脳の状態になるのです。つまり、残業をさせるという行為は、高い残業代を支払って酔っ払いの部下に仕事をさせているのと同じ事なのです。

この学術的見解から言えば、「部下に一か月で20時間以上残業をさせる人間は管理能力が著しく低い」と言わざるを得ません。上司が部下に仕事として行うことで一番大切なことは、仕事のタイムプランをたて「今やるべき事」と「後に回す事」を分けることを教えることで、やらなくてもよい事を部下にさせていないかを常に見直しをすることです。言い換えれば、上司の仕事で一番大切なことは、仕事の優先順位を部下に教えることなのです。残業をさせないで仕事を終了させることがいかに会社にとって有益なものかを理解する必要があります。

人材育成をする時に言えることは、教育を受ける立場にある人間(トレーニー)が教育をする立場の人間(トレーナー)の話を集中して聞いているかと言うことです。話す内容がトレーニーに正しく伝わっていることを計測するには、トレーナーがトレーニーにその話の内容を要約して貰うとよくわかります。自分では客観的に伝えたと思っていても、相手には自分が意図したように伝わっていないことがよくあります。コミュニケーションを取るタイミング、声のトーンやスピードなどで自分が気を付けることは多岐に渡っています。相手の体調も気にしなくてはいけません。伝達する時間などは極力午前中が良いと言われています。これらのことは集中力の話からも理解できると思います。そしてトレーニーが行ったことをトレーナーが的確に評価し、フィードバックに心がければ業務の生産性は飛躍的に向上していきます。人材育成のキーワードは「集中力」と「評価」です。今後、OJTを行う時には注意してみてください。

繰り返し述べますが、国会で審議されていた「残業時間を一カ月で30時間以内にする」などというのは、医学的にみても愚かな行為でしかないと言えます。残業自体が無駄な行為の典型だからです。人は「資源」であり「何物にも代え難い資産」でもあります。資源を有効に活用できない企業は、市場に生き残っていくことは難しいと考えるべきなのです。その為には、「工夫する」ことができる人を育成していくことを考えてください。岐阜県に残業禁止が会社の方針になっている従業員800名の中小企業があります。20年間も右肩上がりの数字を残しています。この会社は残業が禁止なために従業員同士がどうすれば時間内に仕事を終えられるかを絶えず工夫して考えていると本[2] に書かれていました。うちの会社には、到底できないことだからとあきらめる前に「やってみよう」と考えてみてはいかがでしょうか?今すぐに行動できるのが中小企業の利点でもあります。大企業には決して真似できないことです。まずはやってみましょう。

1 小室淑惠[2016]『労働時間革命』毎日新聞出版
2 山田昭男[2011]『日本一社員がしあわせな会社のヘンなきまり』ぱる出版


 

 

第33回 マーケットイン型の商品開発における成功要因

ものづくり企業では「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という考え方のもと、商品開発を進めていくことがあります。聞いたことがあるという方も多いかと思いますが、改めてご説明しますと、一般的に「マーケットイン」というのは、顧客や市場が欲しいと思うものや求められているものを開発しようとする考え方で、「プロダクトアウト」というのは、自社の持つ技術や設備など提供する側の発想から商品を開発しようする考え方と言えます。

一時は「顧客ニーズに合わせたものづくり」として、徹底したマーケットイン型の商品開発が支持されたこともありましたが、やはり顧客の声だけでは画期的なイノベーションは生まれず、プロダクトアウトの思考で開発することも重要だと再認識されています。この二つはどちらが良い悪いではなく、自社のコア技術や主力製品、自社と取り巻く環境やマーケットに合わせて、柔軟にその対応を変えていく必要があります。

私の知っている企業で、「マーケットイン型の商品開発」に取り組み、ヒット商品を開発した部署がありました。営業・マーケティング部門の徹底した調査・現場からの情報収集、それに対応する素材研究や設計に対応した開発部門、さらに外注に頼ることなく、自社のコア技術で製造できるラインを構築した製造部門。まさに三位一体の取り組みにより、メーカー側では検討もしなかった製品ができあがったのです。

しかし、この成功に至るにはさまざまな障壁がありました。顧客のニーズに対して、「こんなものが売れるのか」「作るのが難しい」「在庫が残ったらどうするんだ」など、部門間のコンフリクトが発生しました。これに対して、部署を牽引するマネージャーは3部門がうまく情報を共有することができるようリーダーシップを発揮し、各部門のモチベーション維持を図りながらプロジェクトを統率しました。

戸崎図表

 ヒット商品の開発において、いずれのアプローチにしても開発・製造・営業の各部門が一体となって取り組まなければ成功はありません。自社のコア技術を中心に部署のリーダーが各部門をマネジメントし、ひとつの目標に向かって互いの情報を共有しながら進めていくことは、マーケットイン型商品開発の成功要因の一つと言えるでしょう。

 

 

 

第32回 i-Constructionとものづくり補助金

i-Construction(アイ・コンストラクション)とは、2016年から国土交通省が推進している『「ICTの全面的な活用(以降ICT土工と略す)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取組』です。

i-Constructionには3つの大きな施策があります。ICT土工、全体最適の導入、施工時期の平準化です。このうち中心となるのはICT土工です。具体的にはドローンやパノラマカメラの活用による3次元測量、ICTブルドーザーやICT油圧ショベルなどのICT建機導入、工程や検査のICT管理です。このICT土工により、建設土木工事の大幅な生産性向上、女性や若年建設技能者の採用による人出不足解消が実現します。またICT土工は公共工事受注審査時の加点項目となっています。

さて、今回の29年度補正ものづくり補助金では、ICT土工関連機械が初めて補助対象となりました。実際に採択もされています。次回のものづくり補助金ではICT土工関連機械での申請が相当盛んになると予測しています。

ICT土工関連機械は、ものづくり補助金だけでなく、固定資産税の特例や中小企業経営強化税制が受けられる経営力向上計画や、固定資産税の軽減(ゼロから1/2)が受けられる先端設備導入計画が申請できる設備投資となります。さらにこれらの計画申請はものづくり補助金の加点項目ともなります。このようにi-Constructionは建設土木事業者様や支援者の方々には極めて魅力的な政策ですので、積極的なご活用をお奨めします。

 

第31回 直流のお話

電気を送るのに交流が良いか直流が良いかは、昔アメリカでエジソン(直流)とテスラ―(交流)が争いテスラ―が勝利したことは良く知られています。今日では、家庭やオフィスへの低圧配電(AC100V)から、発電所から遠くの変電所までの高圧送電(数万Ⅴ)まで、全てが交流で行われていました。その最大の理由は、交流は変圧器(トランス)によって電圧を容易に変換できるからです。

しかしここに来て、敗北した直流送電が見直されています。まず長距離の高圧送電です。なぜ長距離は高圧で送るかと言えば、同じ電力を送る場合、電流値を小さくできるため、電力線で消費される電力ロスが少なく抑えられるからです。しかし交流を銅線で送る場合、表皮効果と言うやっかいな問題があります。交流は銅線の中心部分は流れず表面しか流れません。このためロスが大きくなります。

しかし以前は、高圧を直流に変換することは困難だったのですが、最近の技術進歩(高圧素子の開発)により可能となりました。このため長距離の高圧送電に直流を用いる方法が実際に行われています。特に、太陽光や風力等の不安定な自然エネルギーを安定化させて広域に送るスマートグリッドでは、高圧直流送電が一般的になってきています。

では、家庭向けの低圧配電ではどうでしょうか。家庭内のテレビやAV機器、パソコン等は全て直流です。コンセントに取り付けられたACアダプターだけでも大変な数になり、これ等は皆待機電流を消費します。また、ノートパソコンを出張に携行する時は、必ずACアダプターも持って行きます。やはり家庭やオフィスでも、ACアダプターの不要な直流配電があれば便利です。これを解決できるかも知れない鍵がUSB-typeCのPower Deliverryです。

下図は、そのコネクターの配置図です。

第31回図表

 

 

 


これまでのUSBは電圧が5Vでしたが、このコネクターは20Vの電圧も対応しており、最大100ワットまで供給可能ですから、通常の電子機器やパソコンでも充分に電力供給が可能です。これまでのUSBはパソコンから周辺機器に電力を供給するのみの一方通行でした。しかしこの規格は双方向で、USBを通じて電源供給を受けることもできます。つまり、出張にACアダプターを携行しなくてもパソコンが使える時代が来るかも知れません。

実際に村田製作所と戸田建設は、USB 3.1(Type-C)に対応した電源・通信システム機器を、国内では初めて、ホテル「御宿野乃奈良」に導入したと言うニュースが出ています。残念ながら、このコネクターを装備したノートパソコンはまだあまり販売されていないようです。早くこのコネクターを装備した電子機器が出回るようになって欲しいものです。

第30回 技術を特許にする?ノウハウにする?その見極め方

自社で編み出した大切な技術。
特許にしようと思いつつも、特許にすると、1年半後に全世界に公開されるというリスクがあります。
かといって、完全に秘密にし、ノウハウ化しようとしても、ライバル会社が特許をとってしまうと、たとえ先に技術開発していても、その技術を使うことができなくなってしまいます。

そこで、開発型企業にとっては、技術を特許にする?ノウハウにする? その見極めが非常に重要になってまいります。
実は、技術を特許にする?ノウハウにする? ここでは簡単な見極め方を2つ紹介します。

(1)その製品を販売する予定ですか?
販売する予定がないものを特許にしても、意味がありません。
そこで、まずは販売する予定があるかどうかをチェックします。

(2)ライバル会社がその製品を手に入れた場合、ライバル会社は、その製品の技術的な特徴を見破ることができますか?
見破ることができる場合、ライバル会社がパクる可能性がありますので、特許化を検討します。
反対に、見破ることができない場合、あえて1年半後に全世界に公開する理由がありませんから、ノウハウ化を検討します。

上記2つのチェックポイントを頭の片隅にとどめ、開発した製品をサンプル出しするときには、これら2つのチェックポイントを確認されることをお勧めします。

事業部紹介

ものづくり事業部では単に製造業に限らず第一次産業でも第三次産業でも、人々の生活を豊かにする「ものづくり」機能全般にわたって企業支援をいたします。
「ものづくり」は単に、物財の製造だけを指しているのではありません。私たちは、人々の生活を豊かにし、企業に付加価値をもたらす財貨を産み出す総ての行為こそ「ものづくり」だと捉えているのです。
ものづくりの原点にかえって、それぞれの企業に適した打開策をご相談しながら発見していくご支援には、いささかの自信があります。

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